8 / 525
第1章
第8話 スキルのレベルアップ
しおりを挟む
僕は引き続きスキルを試してみることにした。出すだけで消せないのは困っちゃうものね。さっきは魚が泳いでいるのをイメージしたら、泳ぐ魚が出てきてそのまま残った。
今度はそのまま扉の向こうに戻る姿をイメージしてみたらどうだろうか?
僕はそれを試してみることにした。今度はちゃんと魚を入れるカゴを用意したよ。
僕の目の前が発光する。
眩しい光の奔流に包まれて、再び僕よりも背の高い木で出来た扉が現れて、手も触れていないのに、扉が勝手に開いていく。
そしてまた海の中に突然移動したかのように、きらめく銀色の魚たちが、僕の頭上を、真横を、足元を、優雅に素早く泳いでいく。
僕はそのロアーズ魚の群れが、扉の向こうに戻る姿をイメージしてみたんだ。
するとロアーズ魚たちはクルリと向きを変えて、扉の向こうに泳いで帰って行った。
「──やった!……成功だ!
今度は1匹だけ出してみよう。」
1匹だけが泳いでくる姿をイメージする。
するとやはり1匹のロアーズ魚だけが、扉の向こうから泳いで来た。これなら欲しい数を出すことが出来るぞ!!
すると、頭の中に、【スキルがレベルアップしました】、という文字が浮かぶ。
レベルアップ……?
【《スキルレベル2・生命の海》名称指定したものを取り出すことが可能になりました】と、また再び文字が浮かぶ。
名称指定したもの?この魚のことかな?
僕はカゴの中のロアーズ魚を見つめる。
確かにロアーズ魚をイメージしたけど。
それともこれまでは、僕がイメージ出来るものしか出せなかったけど、これからはそうでないものも出てくるってことなのかな?
やった!これでなんでも手に入るぞ!
あとはそれがどの程度この国で必要とされるかと、僕が騙されないように、商売や相場を勉強しなくちゃだよね!
あとは……出すとしたら塩だな。けど、このまま出てきたら、集めるのが大変だよ。床に落ちた塩なんて、さすがに使えないし。
「えーと、ここに確か……。あった!!」
僕は以前父さまからいただいた、革の布袋を引き出しから出して広げた。
これは父さまから借りている物じゃないから、家を出る時返却しなくてもいいものだ。
そう思うと、僕の物ってほんとに少ない。
本当は水を入れる為のものだけど、これしか塩を入れられそうなものがないからね。
ええと、ここに塩が入るところをイメージして……と。
するとまた僕の目の前が発光して、木の扉が現れる。サーッと白い砂粒のような物が現れて、革の布袋の中へとおさまった。
「……やった!成功だ!
これは叔父さんへの手土産にしよう。」
僕はいたく満足した。
今日の夕ご飯は、僕の出したロアーズ魚だった。そのことを料理長が説明してくれる。
「スキルが使えるようになったのか。」
「はい、試行錯誤ですが。」
父さまの問いかけに答える。
「兄さま!これ美味しいよ!」
リアムが嬉しそうに言う。
「本当に魚を出すスキルなのですね……。
クスクスクス。」
エロイーズさんがそれを聞いておかしそうに笑っている。
「お前の今後の生命線だ、しっかりスキルの習得に励みなさい。」
「はい。」
ロアーズ魚は確かに美味しかった。
「そうだ、アレックス。セオドアから返事が来ていた。いつでも来てくれて構わないとのことだった。明日にでもたちなさい。」
「明日……、ですか?」
随分とまた急な話だ。まあ、スキル発覚から婚約破棄まで、全部がこの数日の出来事なんだものな、今更か。
「兄さま、行っちゃうの……?」
リアムが寂しそうな顔をする。
「うん。そうみたいだ。」
「今日も一緒に寝てくれる……。」
「ああ。もちろんさ。」
僕は笑顔で答えた。
「リアム、あなたはもう大きいのですよ?
そんなみっともないことはおやめなさい。
あなたは当主になるのですよ?」
僕らが仲良くするのが面白くないエロイーズさんが、リアムを強い口調で咎めた。母親に叱られてリアムがしょんぼりする。
「兄弟の今生の別れだ。構わないだろう。」
「ですが……。」
エロイーズさんはまだ不服そうだ。
「明日からアレックスは平民として生きるのだ。我々とは別世界の人間となる。それくらい許してやりなさい。」
父さまはもう、僕と関わる気がないんだろうな……。叔父さんにも年1回すら手紙を書かないし、僕とリアムもそうなるのだろう。
「リアム、良かったらお風呂も一緒に入ろうか?今日は僕が洗ってあげるよ。」
「うん!」
普段は従者が洗ってくれるけど、それを断って2人だけでお風呂に入る。
「リアムに僕のスキルを見せてあげるよ。」
「ほんと!?」
今度はそのまま扉の向こうに戻る姿をイメージしてみたらどうだろうか?
僕はそれを試してみることにした。今度はちゃんと魚を入れるカゴを用意したよ。
僕の目の前が発光する。
眩しい光の奔流に包まれて、再び僕よりも背の高い木で出来た扉が現れて、手も触れていないのに、扉が勝手に開いていく。
そしてまた海の中に突然移動したかのように、きらめく銀色の魚たちが、僕の頭上を、真横を、足元を、優雅に素早く泳いでいく。
僕はそのロアーズ魚の群れが、扉の向こうに戻る姿をイメージしてみたんだ。
するとロアーズ魚たちはクルリと向きを変えて、扉の向こうに泳いで帰って行った。
「──やった!……成功だ!
今度は1匹だけ出してみよう。」
1匹だけが泳いでくる姿をイメージする。
するとやはり1匹のロアーズ魚だけが、扉の向こうから泳いで来た。これなら欲しい数を出すことが出来るぞ!!
すると、頭の中に、【スキルがレベルアップしました】、という文字が浮かぶ。
レベルアップ……?
【《スキルレベル2・生命の海》名称指定したものを取り出すことが可能になりました】と、また再び文字が浮かぶ。
名称指定したもの?この魚のことかな?
僕はカゴの中のロアーズ魚を見つめる。
確かにロアーズ魚をイメージしたけど。
それともこれまでは、僕がイメージ出来るものしか出せなかったけど、これからはそうでないものも出てくるってことなのかな?
やった!これでなんでも手に入るぞ!
あとはそれがどの程度この国で必要とされるかと、僕が騙されないように、商売や相場を勉強しなくちゃだよね!
あとは……出すとしたら塩だな。けど、このまま出てきたら、集めるのが大変だよ。床に落ちた塩なんて、さすがに使えないし。
「えーと、ここに確か……。あった!!」
僕は以前父さまからいただいた、革の布袋を引き出しから出して広げた。
これは父さまから借りている物じゃないから、家を出る時返却しなくてもいいものだ。
そう思うと、僕の物ってほんとに少ない。
本当は水を入れる為のものだけど、これしか塩を入れられそうなものがないからね。
ええと、ここに塩が入るところをイメージして……と。
するとまた僕の目の前が発光して、木の扉が現れる。サーッと白い砂粒のような物が現れて、革の布袋の中へとおさまった。
「……やった!成功だ!
これは叔父さんへの手土産にしよう。」
僕はいたく満足した。
今日の夕ご飯は、僕の出したロアーズ魚だった。そのことを料理長が説明してくれる。
「スキルが使えるようになったのか。」
「はい、試行錯誤ですが。」
父さまの問いかけに答える。
「兄さま!これ美味しいよ!」
リアムが嬉しそうに言う。
「本当に魚を出すスキルなのですね……。
クスクスクス。」
エロイーズさんがそれを聞いておかしそうに笑っている。
「お前の今後の生命線だ、しっかりスキルの習得に励みなさい。」
「はい。」
ロアーズ魚は確かに美味しかった。
「そうだ、アレックス。セオドアから返事が来ていた。いつでも来てくれて構わないとのことだった。明日にでもたちなさい。」
「明日……、ですか?」
随分とまた急な話だ。まあ、スキル発覚から婚約破棄まで、全部がこの数日の出来事なんだものな、今更か。
「兄さま、行っちゃうの……?」
リアムが寂しそうな顔をする。
「うん。そうみたいだ。」
「今日も一緒に寝てくれる……。」
「ああ。もちろんさ。」
僕は笑顔で答えた。
「リアム、あなたはもう大きいのですよ?
そんなみっともないことはおやめなさい。
あなたは当主になるのですよ?」
僕らが仲良くするのが面白くないエロイーズさんが、リアムを強い口調で咎めた。母親に叱られてリアムがしょんぼりする。
「兄弟の今生の別れだ。構わないだろう。」
「ですが……。」
エロイーズさんはまだ不服そうだ。
「明日からアレックスは平民として生きるのだ。我々とは別世界の人間となる。それくらい許してやりなさい。」
父さまはもう、僕と関わる気がないんだろうな……。叔父さんにも年1回すら手紙を書かないし、僕とリアムもそうなるのだろう。
「リアム、良かったらお風呂も一緒に入ろうか?今日は僕が洗ってあげるよ。」
「うん!」
普段は従者が洗ってくれるけど、それを断って2人だけでお風呂に入る。
「リアムに僕のスキルを見せてあげるよ。」
「ほんと!?」
905
お気に入りに追加
2,075
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「近接は戦士に劣って、魔法は魔法使いに劣って、回復は回復術師に劣る勇者とか、居ても邪魔なだけだ」
パーティを組んでBランク冒険者になったアンリ。
彼は世界でも稀有なる才能である、全てのスキルを使う事が出来るユニークスキル「オールラウンダー」の持ち主である。
彼は「オールラウンダー」を持つ者だけがなれる、全てのスキルに適性を持つ「勇者」職についていた。
あらゆるスキルを使いこなしていた彼だが、専門職に劣っているという理由でパーティを追放されてしまう。
元パーティメンバーから装備を奪われ、「アイツはパーティの金を盗んだ」と悪評を流された事により、誰も彼を受け入れてくれなかった。
孤児であるアンリは帰る場所などなく、途方にくれているとギルド職員から新人の教官になる提案をされる。
「誰も組んでくれないなら、新人を育て上げてパーティを組んだ方が良いかもな」
アンリには夢があった。かつて災害で家族を失い、自らも死ぬ寸前の所を助けてくれた冒険者に礼を言うという夢。
しかし助けてくれた冒険者が居る場所は、Sランク冒険者しか踏み入ることが許されない危険な土地。夢を叶えるためにはSランクになる必要があった。
誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。
そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。
モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。
拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。
ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。
どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。
彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。
※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。
※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。
※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる