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~番外編~
理想の夫婦
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こちらは2012年にどこでも読書さんの『秋のエタニティフェア2012』に参加させていただいたSSです。編集さんの許可をいただきましたので、こちらに投稿しました。
千鶴が朧と知り合ってすこし経った頃のお話です。
********************************************
この世に生まれて二十……ともうすぐ九年。
一年くらい前の自分には想像もつかなかった、この現状……
まさか……
まさかまさかまさか、中学時代からオタク!! BL大好物ですけど何か!? な腐女子のこの私が……
「千鶴さん、今日はコイツの奢りですから遠慮せずに食べて下さいね」
「それ俺の台詞じゃないかなー? まぁいいけど。ホント遠慮しないでねちーちゃん。あ、朧ほっけ食べようほっけ」
「……骨とんのめんどい」
「俺がとってやるからー。ね?」
美青年三人に囲まれて居酒屋で晩御飯とか!!
そして幸村先生、朧さんに甘ァ!! 萌ぇ!!
……こほん。落ち着け、落ち着け私。
ええっと……
私の名前は柏木千鶴。昨年、今お隣に座っている黒髪眼鏡のイケメン高校教師・柏木正宗さんとお見合いで出会い、結婚した。
正宗さんとの出会いはたぶん、神様が一生に一度の幸運を授けて下さったんだと私は今でも思っている。でなかったら、こんな素敵な男性と結婚なんてできなかったろう。
なんせ私、中学時代に同級生の男の子と付き合った(と言えるのかすらわからない短い交際期間だった)くらいで、ずっと「彼氏? 何それ美味しいの?」なオタク女子だったから。
恋愛経験なんて、恋愛ゲームの中だけでしかない(あ、これカウントしても良いですか?)私の一体どこがお気に召したのか未だにわからないが、正宗さんは見合いの後もその……デ、デートに誘ってくれて……
数か月の交際期間を経て、プ、プロポーズもしてくれて……
けっ、ケコン……じゃない!! 結婚し、してくれて。
今は夫婦として仲良く……暮らしている……と思う。
いまいち自信が無いのは、平々凡々な私に対して旦那様がハイスペック過ぎるからだ。
イケメンで背も高くて眼鏡で。(あ、私眼鏡男子萌えなんです)
穏やかで優しい性格で、私はこう……甘やかされているなぁ申し訳ないなぁっていつも思う。
……惚気ましたすみません!!
話を戻そう。……で、今私達夫婦の向かいに座っているお二人。
正宗さんの向かいに座っているのが、正宗さんのご友人で同じ職場(私立高校)の養護教諭を務めていらっしゃる幸村真さん。私は幸村先生と呼んでいる。
その隣。私の向かいの席に座っているのが、幸村先生の恋人さんの水無月朧さん。おぼろづきの「朧」と書いて、「ろう」と読む。彼は美術大学に通う院生で、とても美人だ。
朧さんは女性と見紛うほどの美しさをおもちだが、正真正銘男性である。
つまり、幸村先生と朧さんは同性愛な関係で……
最初に知った時は目玉が飛び出るかと思うくらいびっくりした。だってまさか身近に同性愛カップルがいるなんて腐女子としてこの上ない幸せしかも目にも麗しい美形同士のカップリングとかホントに腐女子の神様(いるのか!?)ありがとうございます本当にありがとうございます……ッて!!
すみませんまた興奮しました……
と、とにかく。
まさか自分が、こんな素敵な旦那様と結婚できるなんて思ってもみなくて。
そしてこんな素敵なお知り合いができるなんて思ってもみなくて。
人生って本当に、何が起こるかわからないよなぁと思いながら、私はお店のメニュー表に目をやった。
さっき正宗さんや幸村先生が言っていたように、今夜は幸村先生の奢りで皆で飲もう!! ということになったのだ。
なんでも、「いつもちーちゃんのご飯、ご馳走になってばっかりだから」と。
確かに幸村先生(時々朧さんも)がウチに来てご飯を食べてお酒を飲んで……のパターンが多いけど、気にしなくていいのに。
幸村先生は言動が軽く見えるけど実はとても気のきく人で、ウチに来る時には必ずお酒や料理やお菓子なんかを手土産に持参してくれるし、何より……
(私は幸村先生と朧さんが……もしくは幸村先生と正宗さんが会話しているだけでじゅうぶん萌え……ごほん!! 幸せ、なんだけどなぁ……)
イケメンが二人並んで仲良くしててくれるだけで幸せである。
だから幸村先生達が遊びに来てくれるのは大歓迎なのです。
しかしながらせっかくのご厚意。無下にするのも……ということで。
幸村先生おススメのこの居酒屋さんで晩御飯、となったのです。
初めて入ったこのお店は、居酒屋さん……というわりにとても静かで落ち着いたお店だった。
お客さんの年齢層も高めで、皆さん静かにお酒とお料理を楽しんでいる……といった雰囲気。
お通しを持ってきてくれた店員さんに、料理とお酒を注文して……(ちなみにお通しは、翠の小鉢に入った山芋と梅の和えものでした!! さっぱりとろーりで、美味しい!!)。
しばらくすると、お酒と料理が運ばれてくる。
正宗さんと幸村先生は生ビール。朧さんは日本酒で、私は梅酒。
梅酒はここの料理長さんが漬けたやつなんだって!! いい香り~!!
「それじゃ、カンパーイ」
幸村先生の音頭で、私達はそれぞれカチっとグラスを合わせた。
そして梅酒をくぴり……と一口。
んんー!! ウマァー!!
「美味しいです!」
「良かったぁ。ささ、どーんどん食べて」
「はい!」
テーブルの上には、注文した料理が所狭しと並んでいる。
料理長のおススメサラダ(季節の旬野菜を自家製ドレッシングで和えたもの)に。
鶏のもも肉と砂肝の唐揚げ。もも肉はジューシーで、砂肝はジャクジャクと楽しい食感!! それから大盛りのフライドポテトには、レモン塩が振られていてさっぱりほくほく!!
それから大粒の茹でた枝豆に……
鯛とサーモンのカルパッチョ!! これは魚の切り身が薔薇の花みたいに飾り付けられてて、とっても綺麗!! それに……美味しーい!!
やばいやばい。どんどんお箸が進んでしまいますな~!!
……っと。
調子に乗って飲み食いしていたら……お手洗いに行きたくなっちゃった。
「すみません」と席を立って、お店の奥にあるお手洗いへ……
そして用を足し席に戻る途中、ふいに目に留まったのはカウンター席に座っている老紳士と老婦人。ご夫婦……かな?
(……なんか、素敵だなぁ……)
お二人はとても和やかな雰囲気でお酒を飲んでいる。
時々、カウンターの向こうに立つ料理人さんに声を掛けながら、楽しそうに。
そして老婦人がにっこりと、お隣の老紳士の杯にお酌をすれば……
老紳士もにっこりと、老夫人の杯にお酌を。
まさに比翼連理。仲睦まじいって、感じがして。
心がほっこりします。
(……素敵なご夫婦だなぁ……)
お年を召しても、こうして一緒にお出かけしてさ。
素敵なお店のカウンター席に並んで、美味しいものを食べて。
美味しいお酒を、飲んで。
笑い合えたら……
それはとっても幸せなことだと、思うんだ。
席に戻って、また四人でお酒を飲んで美味しい料理に舌鼓を打って。
お腹もじゅうぶんに満たされた頃。
それじゃあお会計して帰ろうか、となって。席を立った時。
奇しくも同じタイミングで、席を立たれたカウンター席の老夫婦。
「あ、どうぞお先に……」
にこっと愛嬌のある笑顔で老夫婦に先を譲る幸村先生。
それに、「ありがとう」と微笑んで応えるお二人。
そしてお二人の後に、幸村先生が会計をして。
私達はそろって、お店を出た。
「ふぁー、美味しかったぁ。ご馳走様でした、幸村先生」
少し冷たい夜気が、お酒で火照った頬に気持ち良い。
「喜んでもらえて良かった。またご飯食べ行こうよ」
「ぜひ」
喜んでぇ!! っと、あれ……
お店の外。駅の方へ向かう道を、先ほどの老夫婦がゆっくりと歩いている。
その、仕立てのいい外套の袖から覗く手は……
(わぁ……)
しっかりと、握られていた。
(……仲良しだ……)
その姿に、既視感を覚える。
どこかで見たような光景……そうだ、あれは……
「千鶴さん?」
ずっとお二人の姿を目で追っていた私に、傍らの正宗さんが声を掛ける。
「あっ、す、すみません」
「いえ……、どうかしたんですか?」
「え、えっと……」
私は大分小さくなったご夫婦の後ろ姿を見つめながら、言った。
「とても仲の良いご夫婦だな……って思って。……あの、昔……」
「昔?」
「はい。あの、昔、テレビのCMで……お年を召した夫婦が二人仲良く手を繋ぎながら帰る、っていうシーンがあって。それ、すごく印象に残ってるんです。歳をとっても仲良し!! って、感じがすごく素敵だなって……自分もいつか、そんな夫婦に……」
って!! な、何語っちゃってるの私!?
は、恥ずかしい……
「千鶴さん?」
「えっ、えっと……そんな夫婦に……なりたいな……って」
そう。あれはまだ、大人になれば誰でも自然に結婚できるもんだと疑いもしていなかった小学生の頃……に見たCMだ。
自分もいつか誰かと結婚するんだろう。そして、結婚するんなら……
歳をとって皺くちゃのおじーちゃんおばーちゃんになっても手を繋いで歩いてくれるような人と……って、思っていた。
「…………」
ヤ、ヤバイ顔が熱い……
「……俺も」
「え……?」
「何年経っても。何十年経っても。あのご夫婦のように、千鶴さんと手を繋いで、歩きたいです」
「ま、正宗さ……」
ぎゅっと、握られた手。
微笑みかけてくれる、旦那様。
この人となら……なれるかな……
あのお二人みたいな、理想の……夫婦に。
千鶴が朧と知り合ってすこし経った頃のお話です。
********************************************
この世に生まれて二十……ともうすぐ九年。
一年くらい前の自分には想像もつかなかった、この現状……
まさか……
まさかまさかまさか、中学時代からオタク!! BL大好物ですけど何か!? な腐女子のこの私が……
「千鶴さん、今日はコイツの奢りですから遠慮せずに食べて下さいね」
「それ俺の台詞じゃないかなー? まぁいいけど。ホント遠慮しないでねちーちゃん。あ、朧ほっけ食べようほっけ」
「……骨とんのめんどい」
「俺がとってやるからー。ね?」
美青年三人に囲まれて居酒屋で晩御飯とか!!
そして幸村先生、朧さんに甘ァ!! 萌ぇ!!
……こほん。落ち着け、落ち着け私。
ええっと……
私の名前は柏木千鶴。昨年、今お隣に座っている黒髪眼鏡のイケメン高校教師・柏木正宗さんとお見合いで出会い、結婚した。
正宗さんとの出会いはたぶん、神様が一生に一度の幸運を授けて下さったんだと私は今でも思っている。でなかったら、こんな素敵な男性と結婚なんてできなかったろう。
なんせ私、中学時代に同級生の男の子と付き合った(と言えるのかすらわからない短い交際期間だった)くらいで、ずっと「彼氏? 何それ美味しいの?」なオタク女子だったから。
恋愛経験なんて、恋愛ゲームの中だけでしかない(あ、これカウントしても良いですか?)私の一体どこがお気に召したのか未だにわからないが、正宗さんは見合いの後もその……デ、デートに誘ってくれて……
数か月の交際期間を経て、プ、プロポーズもしてくれて……
けっ、ケコン……じゃない!! 結婚し、してくれて。
今は夫婦として仲良く……暮らしている……と思う。
いまいち自信が無いのは、平々凡々な私に対して旦那様がハイスペック過ぎるからだ。
イケメンで背も高くて眼鏡で。(あ、私眼鏡男子萌えなんです)
穏やかで優しい性格で、私はこう……甘やかされているなぁ申し訳ないなぁっていつも思う。
……惚気ましたすみません!!
話を戻そう。……で、今私達夫婦の向かいに座っているお二人。
正宗さんの向かいに座っているのが、正宗さんのご友人で同じ職場(私立高校)の養護教諭を務めていらっしゃる幸村真さん。私は幸村先生と呼んでいる。
その隣。私の向かいの席に座っているのが、幸村先生の恋人さんの水無月朧さん。おぼろづきの「朧」と書いて、「ろう」と読む。彼は美術大学に通う院生で、とても美人だ。
朧さんは女性と見紛うほどの美しさをおもちだが、正真正銘男性である。
つまり、幸村先生と朧さんは同性愛な関係で……
最初に知った時は目玉が飛び出るかと思うくらいびっくりした。だってまさか身近に同性愛カップルがいるなんて腐女子としてこの上ない幸せしかも目にも麗しい美形同士のカップリングとかホントに腐女子の神様(いるのか!?)ありがとうございます本当にありがとうございます……ッて!!
すみませんまた興奮しました……
と、とにかく。
まさか自分が、こんな素敵な旦那様と結婚できるなんて思ってもみなくて。
そしてこんな素敵なお知り合いができるなんて思ってもみなくて。
人生って本当に、何が起こるかわからないよなぁと思いながら、私はお店のメニュー表に目をやった。
さっき正宗さんや幸村先生が言っていたように、今夜は幸村先生の奢りで皆で飲もう!! ということになったのだ。
なんでも、「いつもちーちゃんのご飯、ご馳走になってばっかりだから」と。
確かに幸村先生(時々朧さんも)がウチに来てご飯を食べてお酒を飲んで……のパターンが多いけど、気にしなくていいのに。
幸村先生は言動が軽く見えるけど実はとても気のきく人で、ウチに来る時には必ずお酒や料理やお菓子なんかを手土産に持参してくれるし、何より……
(私は幸村先生と朧さんが……もしくは幸村先生と正宗さんが会話しているだけでじゅうぶん萌え……ごほん!! 幸せ、なんだけどなぁ……)
イケメンが二人並んで仲良くしててくれるだけで幸せである。
だから幸村先生達が遊びに来てくれるのは大歓迎なのです。
しかしながらせっかくのご厚意。無下にするのも……ということで。
幸村先生おススメのこの居酒屋さんで晩御飯、となったのです。
初めて入ったこのお店は、居酒屋さん……というわりにとても静かで落ち着いたお店だった。
お客さんの年齢層も高めで、皆さん静かにお酒とお料理を楽しんでいる……といった雰囲気。
お通しを持ってきてくれた店員さんに、料理とお酒を注文して……(ちなみにお通しは、翠の小鉢に入った山芋と梅の和えものでした!! さっぱりとろーりで、美味しい!!)。
しばらくすると、お酒と料理が運ばれてくる。
正宗さんと幸村先生は生ビール。朧さんは日本酒で、私は梅酒。
梅酒はここの料理長さんが漬けたやつなんだって!! いい香り~!!
「それじゃ、カンパーイ」
幸村先生の音頭で、私達はそれぞれカチっとグラスを合わせた。
そして梅酒をくぴり……と一口。
んんー!! ウマァー!!
「美味しいです!」
「良かったぁ。ささ、どーんどん食べて」
「はい!」
テーブルの上には、注文した料理が所狭しと並んでいる。
料理長のおススメサラダ(季節の旬野菜を自家製ドレッシングで和えたもの)に。
鶏のもも肉と砂肝の唐揚げ。もも肉はジューシーで、砂肝はジャクジャクと楽しい食感!! それから大盛りのフライドポテトには、レモン塩が振られていてさっぱりほくほく!!
それから大粒の茹でた枝豆に……
鯛とサーモンのカルパッチョ!! これは魚の切り身が薔薇の花みたいに飾り付けられてて、とっても綺麗!! それに……美味しーい!!
やばいやばい。どんどんお箸が進んでしまいますな~!!
……っと。
調子に乗って飲み食いしていたら……お手洗いに行きたくなっちゃった。
「すみません」と席を立って、お店の奥にあるお手洗いへ……
そして用を足し席に戻る途中、ふいに目に留まったのはカウンター席に座っている老紳士と老婦人。ご夫婦……かな?
(……なんか、素敵だなぁ……)
お二人はとても和やかな雰囲気でお酒を飲んでいる。
時々、カウンターの向こうに立つ料理人さんに声を掛けながら、楽しそうに。
そして老婦人がにっこりと、お隣の老紳士の杯にお酌をすれば……
老紳士もにっこりと、老夫人の杯にお酌を。
まさに比翼連理。仲睦まじいって、感じがして。
心がほっこりします。
(……素敵なご夫婦だなぁ……)
お年を召しても、こうして一緒にお出かけしてさ。
素敵なお店のカウンター席に並んで、美味しいものを食べて。
美味しいお酒を、飲んで。
笑い合えたら……
それはとっても幸せなことだと、思うんだ。
席に戻って、また四人でお酒を飲んで美味しい料理に舌鼓を打って。
お腹もじゅうぶんに満たされた頃。
それじゃあお会計して帰ろうか、となって。席を立った時。
奇しくも同じタイミングで、席を立たれたカウンター席の老夫婦。
「あ、どうぞお先に……」
にこっと愛嬌のある笑顔で老夫婦に先を譲る幸村先生。
それに、「ありがとう」と微笑んで応えるお二人。
そしてお二人の後に、幸村先生が会計をして。
私達はそろって、お店を出た。
「ふぁー、美味しかったぁ。ご馳走様でした、幸村先生」
少し冷たい夜気が、お酒で火照った頬に気持ち良い。
「喜んでもらえて良かった。またご飯食べ行こうよ」
「ぜひ」
喜んでぇ!! っと、あれ……
お店の外。駅の方へ向かう道を、先ほどの老夫婦がゆっくりと歩いている。
その、仕立てのいい外套の袖から覗く手は……
(わぁ……)
しっかりと、握られていた。
(……仲良しだ……)
その姿に、既視感を覚える。
どこかで見たような光景……そうだ、あれは……
「千鶴さん?」
ずっとお二人の姿を目で追っていた私に、傍らの正宗さんが声を掛ける。
「あっ、す、すみません」
「いえ……、どうかしたんですか?」
「え、えっと……」
私は大分小さくなったご夫婦の後ろ姿を見つめながら、言った。
「とても仲の良いご夫婦だな……って思って。……あの、昔……」
「昔?」
「はい。あの、昔、テレビのCMで……お年を召した夫婦が二人仲良く手を繋ぎながら帰る、っていうシーンがあって。それ、すごく印象に残ってるんです。歳をとっても仲良し!! って、感じがすごく素敵だなって……自分もいつか、そんな夫婦に……」
って!! な、何語っちゃってるの私!?
は、恥ずかしい……
「千鶴さん?」
「えっ、えっと……そんな夫婦に……なりたいな……って」
そう。あれはまだ、大人になれば誰でも自然に結婚できるもんだと疑いもしていなかった小学生の頃……に見たCMだ。
自分もいつか誰かと結婚するんだろう。そして、結婚するんなら……
歳をとって皺くちゃのおじーちゃんおばーちゃんになっても手を繋いで歩いてくれるような人と……って、思っていた。
「…………」
ヤ、ヤバイ顔が熱い……
「……俺も」
「え……?」
「何年経っても。何十年経っても。あのご夫婦のように、千鶴さんと手を繋いで、歩きたいです」
「ま、正宗さ……」
ぎゅっと、握られた手。
微笑みかけてくれる、旦那様。
この人となら……なれるかな……
あのお二人みたいな、理想の……夫婦に。
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