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~番外編~
鶴の恩返し
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こちらはブログ二周年記念リクエスト企画のSSとしてブログで公開していたお話です。
『鶴の恩返し』パロ。ちなみに鶴は正宗さんの方です(笑)
********************************************
昔々あるところに、千鶴という名の娘がいました。
千鶴は村はずれの小さな家に、一人で暮らしています。
両親は幼い頃に亡くなった……わけではなく、家と畑を娘に預けて都に働きに出ているのです。村は貧しく、都に出稼ぎに行かないと暮らしが立ち行かないのです。
弟もおりましたが、弟は両親と同じく都に――こちらは学問を学ぶために――行っておりました。
一人残された千鶴は畑を耕し、時には山に入って山菜などを摘みながら、つつましい生活を送っています。
そんな、ある日のこと。
「あらら……」
千鶴は山で、罠にかかった一羽の鶴を見つけました。
バタバタと羽を動かしもがいていた鶴は千鶴の姿を認めると、まるで観念したように静かになります。罠にかかった動物は普通、人が近づくといっそう抵抗激しくなるものなのですが……
千鶴は不思議に思いながらも、その鶴に近付きました。
大きな鶴でした。そして、羽の綺麗な鶴でした。こんなに立派な鶴は見たことがありません。
(美味しそう……って、いやいや!)
一瞬食欲に流されかけた千鶴でしたが、慌てて首を横に振ります。
だって、こんなに綺麗な鶴なのです。殺してしまうのは可哀相……
千鶴はそう思って、「ごめんね、ちょっと待っててね」と鶴に話しかけると、鶴を捕えている鉄の罠を外してやりました。
「さあ、お逃げ」
見たところこの罠は、狐をとるために仕掛けられたもののようですから、鶴を逃がしてやったところでなんら問題はありません。
鶴は解かれた罠を見て、それからじっと千鶴を見上げました。
おかしなことに、鶴は罠を外されても逃げる素振りがありません。
「ん? ほら、お逃げ」
千鶴がしっつしっと手で払う造作をすると、鶴は躊躇いがちに山の奥へと逃げていきました。
千鶴は善いことをしたなぁと思いつつ、山菜をカゴいっぱい摘んで、家へと戻りました。
その日の夜。
千鶴は摘んできた山菜を汁にして、麦飯と一緒にはふはふと頬張っていました。
そしてもう一杯……とおかわりをしようとしたところで、
「夜分に申し訳ありません。どなたかいらっしゃいますでしょうか?」
戸口の外から、若い男の声が聞こえます。
「何かご用ですか?」
千鶴は戸口に向かって声を掛けました。
「旅の者ですが、途中嵐にあって……。申し訳ありませんが、どうか一晩泊めていただけないでしょうか?」
「えっ……」
嵐? さっきまで晴れていたはずですが……
それに、声を聞く限り相手は若い男です。一人暮らしの女の元に泊まらせるのは、さすがに……
警戒し、逡巡する千鶴は立ち上がって裏口に近付きました。そして閂を外し、そっと戸を開けて外の様子を窺うと……
「!?」
外は大荒れではありませんか。風は強く強く吹き、大粒の雨はまるで叩きつけるように大地に降り注いでいます。こんな嵐の中を!? それは大変だと、千鶴は慌てて戸口を開けます。すると……
「!?」
千鶴はまたも驚き、息を飲みました。そこに立っていたのは、村ではお目にかかったことが無いような見目整った青年だったのです。
大雨に濡れた髪が白い肌にはりついて、とても寒々しく、なんとも哀れな風情でした。
「大変! さあ、中へどうぞ。今温かい物をお出ししますね」
「すみません。ありがとうございます……」
さきほどまでの警戒もどこへやら。こんな嵐ですっかり濡れ鼠になった青年への親切心でいっぱいになった千鶴は、なにくれとなく青年によくしてやり、宿を提供してやったのでした。
翌日は、昨日の嵐が嘘のような晴天でした。
青年は宿のお礼にと、率先して力仕事をこなしてくれました。井戸から水を汲んでくれたり、薪をたくさん割ってくれたり。いつも難儀していた千鶴は、とても助かりました。
それから、山に入っていって、珍しくて美味しい茸をたくさんとって来てくれました。
けれどその頃にはもう日が暮れかけていて、これから旅立つのは無理だろうと、千鶴はもう一晩泊まっていくように青年に言いました。
青年はとても嬉しそうに微笑んで、「ありがとうございます」と言います。その笑顔に、千鶴はどきっと胸が高鳴りました。
それに、青年と二人で食事をするのはとても……楽しかったのです。青年は口数が少なく、話が弾むわけではなかったのですが、ずっと一人でいた千鶴は、久しぶりに誰かと一緒に囲炉裏を囲み、ご飯を食べるのが嬉しくてしかたありませんでした。
それから、幾日、幾月が過ぎ……
青年は、千鶴の婿としてこの村に残ることになりました。千鶴が青年に想いを抱いたように、青年もまた、千鶴のことを愛おしく思ってくれたのでした。
青年はとてもできた婿でした。働き者で、真面目で、心優しい。
千鶴が「こんなに幸せでいいのだろうか……」と思うほどに。
(あっ……!)
その日、千鶴は家の中で摘んできた山菜の下処理をしていました。今日の夕餉は、山菜たっぷりの雑炊です。
(正宗さん、水筒とお弁当忘れてる……)
夫である青年――正宗は畑に出ているのですが、いつも持っていっている竹の水筒と握り飯のお弁当を忘れていっています。それに気付いた千鶴は夫に届けてあげようと、家を出ました。
家から少し離れた所に千鶴の畑はあります。そこには鍬を手に土を耕す夫の姿が……あるはずでした。
(……あれ?)
そこにいるはずの夫の姿はなく、代わりにいたのは畑の脇に座って羽を休めている一羽の鶴……でした。
大きくて、綺麗な鶴です。
まさかあの時助けてやった鶴だろうかと、千鶴はじっと目を凝らします。すると……
(!?)
鶴が立ち上がったかと思うと、その姿が人に……夫の正宗に変化したではありませんか。千鶴は衝撃のあまり、目を大きく見開きました。
(ま、まさか……)
夫の正体が、鶴……?
その時、千鶴の手から竹皮で包んだ握り飯がどさりと地面に落ちました。その音に、ようやく千鶴の存在に気付いた正宗が振り返り、「ああ」と小さく声を上げます。
「見つかって、しまいましたか」
「ま、まさ、まさむねさ、つ、つる、つる?」
「はい。俺は人ではありません。あの時、あなたに助けていただいた鶴です」
(正宗さん、鶴だった!!)
正宗はゆっくりと千鶴に歩み寄ると、彼女の足元に落ちた握り飯の包みを拾い上げ、ぱたぱたと土ぼこりを払い落します。
「あなたに恩返しをしようと思って、こうして人の姿で近付きました」
(あ……、やだ、どうしよう……)
その時千鶴の頭に浮かんだのは、母に教わった昔話です。
恩を返すため、人の姿になった狐がいました。けれど、正体を見破られてしまい……
(い、いなくなっちゃう!? いや、いやだ……)
泣きそうな顔で、カタカタと震えだした千鶴。正宗は申し訳なさそうに、痛ましそうに、千鶴の頬を撫でます。
ますます強まるお別れの気配に、とうとう千鶴の瞳から涙がぽろりと零れました。
「だめ……。いなく、ならないで……。いっしょに、いてくださ……」
「えっ? いなくなったり、しませんよ?」
「えっ!?」
あっさりと否定され、千鶴の目がまたまんまるになります。
「だ、だって正体を知られたら……」
いなくなるのが昔話のセオリーです。
ですが、正宗は一笑に付します。
「元々、いつか話そうとは思っていました。でも、正体を知られたら……人じゃないことが知られたら、千鶴さんに嫌われてしまうんじゃないかと思って、言えなかったんです」
「そ、そんなこと……」
彼の正体には衝撃を受けたけれど、それで嫌いになんてなりません。なれません。
だって千鶴はそれくらい、彼のことを愛しているのですから。
「ええ。俺が鶴でも、人じゃなくても、あなたは引き止めてくれた」
正宗は壊れ物を抱くように、そっと……千鶴の身体を抱き締めました。
「あの山で初めてあなたに出会った時から、俺はあなたに心惹かれていました。……ずっと、あなたの傍にいても良いですか? ずっと、俺のお嫁さんでいてくれますか?」
「もっ、もち、もちろん、です!!」
鶴の旦那様と、人のお嫁さん。
種族こそ違えど、二人はこの後も仲睦まじく暮らしましたとさ。
――おしまい。
************************************************
鶴の正宗さんは正体バレても帰りません!(笑)
これが逆でも(千鶴が鶴)帰しません!!(笑)
正体ばれたのもわざとらしいですよね。ええ、確信犯です!!
『鶴の恩返し』パロ。ちなみに鶴は正宗さんの方です(笑)
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昔々あるところに、千鶴という名の娘がいました。
千鶴は村はずれの小さな家に、一人で暮らしています。
両親は幼い頃に亡くなった……わけではなく、家と畑を娘に預けて都に働きに出ているのです。村は貧しく、都に出稼ぎに行かないと暮らしが立ち行かないのです。
弟もおりましたが、弟は両親と同じく都に――こちらは学問を学ぶために――行っておりました。
一人残された千鶴は畑を耕し、時には山に入って山菜などを摘みながら、つつましい生活を送っています。
そんな、ある日のこと。
「あらら……」
千鶴は山で、罠にかかった一羽の鶴を見つけました。
バタバタと羽を動かしもがいていた鶴は千鶴の姿を認めると、まるで観念したように静かになります。罠にかかった動物は普通、人が近づくといっそう抵抗激しくなるものなのですが……
千鶴は不思議に思いながらも、その鶴に近付きました。
大きな鶴でした。そして、羽の綺麗な鶴でした。こんなに立派な鶴は見たことがありません。
(美味しそう……って、いやいや!)
一瞬食欲に流されかけた千鶴でしたが、慌てて首を横に振ります。
だって、こんなに綺麗な鶴なのです。殺してしまうのは可哀相……
千鶴はそう思って、「ごめんね、ちょっと待っててね」と鶴に話しかけると、鶴を捕えている鉄の罠を外してやりました。
「さあ、お逃げ」
見たところこの罠は、狐をとるために仕掛けられたもののようですから、鶴を逃がしてやったところでなんら問題はありません。
鶴は解かれた罠を見て、それからじっと千鶴を見上げました。
おかしなことに、鶴は罠を外されても逃げる素振りがありません。
「ん? ほら、お逃げ」
千鶴がしっつしっと手で払う造作をすると、鶴は躊躇いがちに山の奥へと逃げていきました。
千鶴は善いことをしたなぁと思いつつ、山菜をカゴいっぱい摘んで、家へと戻りました。
その日の夜。
千鶴は摘んできた山菜を汁にして、麦飯と一緒にはふはふと頬張っていました。
そしてもう一杯……とおかわりをしようとしたところで、
「夜分に申し訳ありません。どなたかいらっしゃいますでしょうか?」
戸口の外から、若い男の声が聞こえます。
「何かご用ですか?」
千鶴は戸口に向かって声を掛けました。
「旅の者ですが、途中嵐にあって……。申し訳ありませんが、どうか一晩泊めていただけないでしょうか?」
「えっ……」
嵐? さっきまで晴れていたはずですが……
それに、声を聞く限り相手は若い男です。一人暮らしの女の元に泊まらせるのは、さすがに……
警戒し、逡巡する千鶴は立ち上がって裏口に近付きました。そして閂を外し、そっと戸を開けて外の様子を窺うと……
「!?」
外は大荒れではありませんか。風は強く強く吹き、大粒の雨はまるで叩きつけるように大地に降り注いでいます。こんな嵐の中を!? それは大変だと、千鶴は慌てて戸口を開けます。すると……
「!?」
千鶴はまたも驚き、息を飲みました。そこに立っていたのは、村ではお目にかかったことが無いような見目整った青年だったのです。
大雨に濡れた髪が白い肌にはりついて、とても寒々しく、なんとも哀れな風情でした。
「大変! さあ、中へどうぞ。今温かい物をお出ししますね」
「すみません。ありがとうございます……」
さきほどまでの警戒もどこへやら。こんな嵐ですっかり濡れ鼠になった青年への親切心でいっぱいになった千鶴は、なにくれとなく青年によくしてやり、宿を提供してやったのでした。
翌日は、昨日の嵐が嘘のような晴天でした。
青年は宿のお礼にと、率先して力仕事をこなしてくれました。井戸から水を汲んでくれたり、薪をたくさん割ってくれたり。いつも難儀していた千鶴は、とても助かりました。
それから、山に入っていって、珍しくて美味しい茸をたくさんとって来てくれました。
けれどその頃にはもう日が暮れかけていて、これから旅立つのは無理だろうと、千鶴はもう一晩泊まっていくように青年に言いました。
青年はとても嬉しそうに微笑んで、「ありがとうございます」と言います。その笑顔に、千鶴はどきっと胸が高鳴りました。
それに、青年と二人で食事をするのはとても……楽しかったのです。青年は口数が少なく、話が弾むわけではなかったのですが、ずっと一人でいた千鶴は、久しぶりに誰かと一緒に囲炉裏を囲み、ご飯を食べるのが嬉しくてしかたありませんでした。
それから、幾日、幾月が過ぎ……
青年は、千鶴の婿としてこの村に残ることになりました。千鶴が青年に想いを抱いたように、青年もまた、千鶴のことを愛おしく思ってくれたのでした。
青年はとてもできた婿でした。働き者で、真面目で、心優しい。
千鶴が「こんなに幸せでいいのだろうか……」と思うほどに。
(あっ……!)
その日、千鶴は家の中で摘んできた山菜の下処理をしていました。今日の夕餉は、山菜たっぷりの雑炊です。
(正宗さん、水筒とお弁当忘れてる……)
夫である青年――正宗は畑に出ているのですが、いつも持っていっている竹の水筒と握り飯のお弁当を忘れていっています。それに気付いた千鶴は夫に届けてあげようと、家を出ました。
家から少し離れた所に千鶴の畑はあります。そこには鍬を手に土を耕す夫の姿が……あるはずでした。
(……あれ?)
そこにいるはずの夫の姿はなく、代わりにいたのは畑の脇に座って羽を休めている一羽の鶴……でした。
大きくて、綺麗な鶴です。
まさかあの時助けてやった鶴だろうかと、千鶴はじっと目を凝らします。すると……
(!?)
鶴が立ち上がったかと思うと、その姿が人に……夫の正宗に変化したではありませんか。千鶴は衝撃のあまり、目を大きく見開きました。
(ま、まさか……)
夫の正体が、鶴……?
その時、千鶴の手から竹皮で包んだ握り飯がどさりと地面に落ちました。その音に、ようやく千鶴の存在に気付いた正宗が振り返り、「ああ」と小さく声を上げます。
「見つかって、しまいましたか」
「ま、まさ、まさむねさ、つ、つる、つる?」
「はい。俺は人ではありません。あの時、あなたに助けていただいた鶴です」
(正宗さん、鶴だった!!)
正宗はゆっくりと千鶴に歩み寄ると、彼女の足元に落ちた握り飯の包みを拾い上げ、ぱたぱたと土ぼこりを払い落します。
「あなたに恩返しをしようと思って、こうして人の姿で近付きました」
(あ……、やだ、どうしよう……)
その時千鶴の頭に浮かんだのは、母に教わった昔話です。
恩を返すため、人の姿になった狐がいました。けれど、正体を見破られてしまい……
(い、いなくなっちゃう!? いや、いやだ……)
泣きそうな顔で、カタカタと震えだした千鶴。正宗は申し訳なさそうに、痛ましそうに、千鶴の頬を撫でます。
ますます強まるお別れの気配に、とうとう千鶴の瞳から涙がぽろりと零れました。
「だめ……。いなく、ならないで……。いっしょに、いてくださ……」
「えっ? いなくなったり、しませんよ?」
「えっ!?」
あっさりと否定され、千鶴の目がまたまんまるになります。
「だ、だって正体を知られたら……」
いなくなるのが昔話のセオリーです。
ですが、正宗は一笑に付します。
「元々、いつか話そうとは思っていました。でも、正体を知られたら……人じゃないことが知られたら、千鶴さんに嫌われてしまうんじゃないかと思って、言えなかったんです」
「そ、そんなこと……」
彼の正体には衝撃を受けたけれど、それで嫌いになんてなりません。なれません。
だって千鶴はそれくらい、彼のことを愛しているのですから。
「ええ。俺が鶴でも、人じゃなくても、あなたは引き止めてくれた」
正宗は壊れ物を抱くように、そっと……千鶴の身体を抱き締めました。
「あの山で初めてあなたに出会った時から、俺はあなたに心惹かれていました。……ずっと、あなたの傍にいても良いですか? ずっと、俺のお嫁さんでいてくれますか?」
「もっ、もち、もちろん、です!!」
鶴の旦那様と、人のお嫁さん。
種族こそ違えど、二人はこの後も仲睦まじく暮らしましたとさ。
――おしまい。
************************************************
鶴の正宗さんは正体バレても帰りません!(笑)
これが逆でも(千鶴が鶴)帰しません!!(笑)
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