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~番外編~
キスのお題
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こちらはツイッターの診断で「4時間以内に5RTされたら千鶴に正宗が笑いながら鼻梁に愛玩のキスをするところを描き(書き)ます 」「22分以内に6RTされたら幸村が酔っ払って朧の髪に思慕のキスをするところを描き(書き)ます」というのをやりまして、既定のRT数に達しましたので書いたお話です。
先にブログで公開しておりました。かなり短いお話なので、二話を纏めて投稿します。
********************************************
『愛玩のキス』
何か良いことでもあったのか、正宗さんは先程から随分ご機嫌だ。
お酒の力もあるのかな? 今日は仕事帰りに、幸村先生と飲みに行ったんですって。
ご機嫌もご機嫌、私をすっぽりと後ろから抱いて膝の上に乗せたまま、時折ぎゅーと抱き締めてきたり、私の髪をいじったりしている。
ううっ、さすがに気恥ずかしいし、くすぐったいですよぅ……!!
「正宗さん……?」
顔だけ後ろを向いて、正宗さんの顔を窺う。
すると正宗さんは眼鏡の奥の双眸をにっこりと笑ませ、ふっと息を吐くように笑ってから……
「んぎゃ!!」
ぺ、ぺろりと、私の鼻梁を舐めたではありませんか!!
にゃっ、にゃに……じゃない。なにをするんですかああああ!!
動揺する私が可笑しいのか、正宗さんはさらにくすくすと笑い声を上げる。
そしてまた、ちゅ……っと。啄ばむだけの、キスをした。
私の鼻……に。(べっ、別に口じゃないのを残念に思ったりなんてしてないですよ!! ……たぶん)
「なっ、なんで……」
急に、鼻にちゅ、ちゅー……なんて。
「……可愛いなあと思って」
「かっ、可愛くなんてありませんけどおおお!?」
その眼鏡、度合ってますか!?
「可愛いです、とっても」
旦那様の唇が、今度は私の耳に寄せられ、直に囁かれる。
「愛玩、したくなるくらい」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
『思慕のキス』
その日、幸村はしたたかに酔って帰って来た。
息を吐いただけでむわっと鼻をつく酒の匂いに、朧は不機嫌さを露わに眉を顰める。
「たらいま~、きょおはね~、ついついのみすぎちゃったよお~」
赤い顔をだらしなく緩ませ、呂律が回っていない口でへらへらとのたまう男を外に放り出したまま鍵を掛けて眠ってしまおうかという衝動に駆られたが、春先とはいえまだ夜は冷える。死ぬかもしれない。死んだらさすがに寝覚めが悪いと、朧は腹をくくって幸村に肩を貸し、引きずるように部屋の中に連れていく。
幸村はすでに一人では歩けないほど酔いが回っているようだった。ここまでは、同僚兼友人の正宗に送ってもらったらしい。(当の正宗は幸村を扉の前に捨ててインターフォンを鳴らしてやってからすぐに帰ってしまった。扉を開けた朧が見たのは、正宗の後姿だけである)
(ちっ、アイツも気が利かねえな! どうせなら部屋の中まで運べっつーの)
それが嫌だから始末を朧に押し付けて早々に帰ったのだろうが。わかっていても悪態を吐かずにいられない。
朧は苦労して、自分より大きな体躯を「おら!」と乱暴にベッドに転がした。
「ふん。せいぜい明日二日酔いで苦しめ、バーカ」
だが、文句を言いながらもベッドまで運んでやるあたり、朧も随分丸くなったものだ。昔なら、他の男を呼んで運ばせた挙句、その男とどこかへしけこんでいただろう。
「ううう~、ろお~」
ベッドの上に転がる幸村が、何か呻きつつちょい……ちょい……と弱々しく手招きして朧を呼んでいる。
「ああ? ったく、なんだよ。水か?」
水でも持ってきてほしいのかと問うが、幸村は「ちがーう」と首を振る。そしてさらに手招きし、小声で何かを口にする。
それが聞きとれなくて、朧は耳を彼の口元に近付けるように寄せた。すると……
「んっ……」
ぐいっと、少し長めの髪が一房引っ張られる感覚。
そして脇目に見たのは、幸村の唇が愛おしげにその髪に口付けるところだった。
「……朧ぉ……」
「…………んだよ、ったく……」
「ふふふ~、だってさぁ、俺……」
「朧のことが、大好きなんだ」
そう満足気に笑う酔っ払いに、朧も毒気が抜かれた気がした。
先にブログで公開しておりました。かなり短いお話なので、二話を纏めて投稿します。
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『愛玩のキス』
何か良いことでもあったのか、正宗さんは先程から随分ご機嫌だ。
お酒の力もあるのかな? 今日は仕事帰りに、幸村先生と飲みに行ったんですって。
ご機嫌もご機嫌、私をすっぽりと後ろから抱いて膝の上に乗せたまま、時折ぎゅーと抱き締めてきたり、私の髪をいじったりしている。
ううっ、さすがに気恥ずかしいし、くすぐったいですよぅ……!!
「正宗さん……?」
顔だけ後ろを向いて、正宗さんの顔を窺う。
すると正宗さんは眼鏡の奥の双眸をにっこりと笑ませ、ふっと息を吐くように笑ってから……
「んぎゃ!!」
ぺ、ぺろりと、私の鼻梁を舐めたではありませんか!!
にゃっ、にゃに……じゃない。なにをするんですかああああ!!
動揺する私が可笑しいのか、正宗さんはさらにくすくすと笑い声を上げる。
そしてまた、ちゅ……っと。啄ばむだけの、キスをした。
私の鼻……に。(べっ、別に口じゃないのを残念に思ったりなんてしてないですよ!! ……たぶん)
「なっ、なんで……」
急に、鼻にちゅ、ちゅー……なんて。
「……可愛いなあと思って」
「かっ、可愛くなんてありませんけどおおお!?」
その眼鏡、度合ってますか!?
「可愛いです、とっても」
旦那様の唇が、今度は私の耳に寄せられ、直に囁かれる。
「愛玩、したくなるくらい」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
『思慕のキス』
その日、幸村はしたたかに酔って帰って来た。
息を吐いただけでむわっと鼻をつく酒の匂いに、朧は不機嫌さを露わに眉を顰める。
「たらいま~、きょおはね~、ついついのみすぎちゃったよお~」
赤い顔をだらしなく緩ませ、呂律が回っていない口でへらへらとのたまう男を外に放り出したまま鍵を掛けて眠ってしまおうかという衝動に駆られたが、春先とはいえまだ夜は冷える。死ぬかもしれない。死んだらさすがに寝覚めが悪いと、朧は腹をくくって幸村に肩を貸し、引きずるように部屋の中に連れていく。
幸村はすでに一人では歩けないほど酔いが回っているようだった。ここまでは、同僚兼友人の正宗に送ってもらったらしい。(当の正宗は幸村を扉の前に捨ててインターフォンを鳴らしてやってからすぐに帰ってしまった。扉を開けた朧が見たのは、正宗の後姿だけである)
(ちっ、アイツも気が利かねえな! どうせなら部屋の中まで運べっつーの)
それが嫌だから始末を朧に押し付けて早々に帰ったのだろうが。わかっていても悪態を吐かずにいられない。
朧は苦労して、自分より大きな体躯を「おら!」と乱暴にベッドに転がした。
「ふん。せいぜい明日二日酔いで苦しめ、バーカ」
だが、文句を言いながらもベッドまで運んでやるあたり、朧も随分丸くなったものだ。昔なら、他の男を呼んで運ばせた挙句、その男とどこかへしけこんでいただろう。
「ううう~、ろお~」
ベッドの上に転がる幸村が、何か呻きつつちょい……ちょい……と弱々しく手招きして朧を呼んでいる。
「ああ? ったく、なんだよ。水か?」
水でも持ってきてほしいのかと問うが、幸村は「ちがーう」と首を振る。そしてさらに手招きし、小声で何かを口にする。
それが聞きとれなくて、朧は耳を彼の口元に近付けるように寄せた。すると……
「んっ……」
ぐいっと、少し長めの髪が一房引っ張られる感覚。
そして脇目に見たのは、幸村の唇が愛おしげにその髪に口付けるところだった。
「……朧ぉ……」
「…………んだよ、ったく……」
「ふふふ~、だってさぁ、俺……」
「朧のことが、大好きなんだ」
そう満足気に笑う酔っ払いに、朧も毒気が抜かれた気がした。
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