74 / 126
~番外編~
初詣の日に
しおりを挟む
こちらは出産後、初めて親子三人で初詣に行くお話です。
読者様からのリクエストを元に書かせていただきました~。
********************************************
新年あけましておめでとうございます。
柏木千鶴でございます。
昨年は大変お世話になりました!
今年もよろしくお願いいたします!!
さてさて、本日は一月一日。元日でございます。
今日はですね……なんと!
家族三人お着物で! 初詣に行こうと思います~!!
実は憧れていたんですよねえ……。家族揃って和装でお参り!
とはいえ乳児を連れていくわけですから、私は動きやすくかつ汚しても良い、ポリエステルの小紋を着ております! これ、丸洗いできる着物なのですよ~。お値段もお手頃です! 優月が生まれて一ヶ月経った頃、お宮参りのために買ったものです。
大人っぽい渋めの海老茶に桜や牡丹の花丸紋が配されております。お気に入りです!
そして優月も、お宮参りの時と同じく赤ちゃん用のお着物を纏っておりますよ~。これは実家の両親が買ってくれました。そしてそして……
(ぐはあっ!! ま、眩しい……!!)
渋紺の着物に同色の羽織りを纏い、優月を抱っこしている正宗さん……!
普段浴衣をよく着られていて和装に慣れているせいか、ビシッと決まっております!! か、かっこいい……!!
お着物姿で、同じく赤ちゃん用の着物を纏っている我が子を抱き、微笑みかけている図とか! 図とかぁ……!!
目が幸せすぎるっ!! 私はこそりと鞄からスマホを取り出し、パシャー!! と二人の姿を写真に収めた。
「千鶴さん?」
シャッター音に気付いた正宗さんが、こちらに視線を向ける。
おっと。ついつい隠し撮りみたいなことしちゃったぜ! だって眼福過ぎて!!
「えっと……その、とても……」
「?」
「か、かっこよくて! カメラに収めずにはいられませんでした!!」
憧れの先輩を前にした女子高生のごとく、私はきゃあきゃあとはしゃいでいる。
当分はこの写真を待ち受けにします私!!
これ見るだけで元気出ると思う!!(むしろ口元がニヤついちゃう気が……)
「千鶴さん……。千鶴さんも、とても綺麗です」
「ぴゃっ!!」
き、綺麗……だと!?
自分からかけ離れた褒め言葉をにっこり笑顔と共に言われて、私は思わず奇声を上げてしまう。
あわわわわ! 頬が熱い、きっと赤くなってるこれ……!!
「そそそそそそんなとんでもないですっ!!」
き、きっとその……着物マジック!! 着物マジックですよ!!
馬子にも衣装ってやつですよ!!
「俺も写真撮っていいですか?」
「えっ」
言いつつ、正宗さんは抱いていた優月を私に手渡すと、ご自分のスマホを取り出して構えた。
ちょ、ちょっと気恥ずかしいけど私は許可も取らずに撮っちゃったしな……
「で、では……」
よっと、優月のお顔も写真にばっちり映るように抱え直し。私はカメラに向かって微笑みかける。
く、口元が引き攣る……!! カメラの前って緊張するよ……!!
「では撮りますね。はい、チーズ」
にいっ!! と、笑顔を作る。
カシャッとシャッター音がして、正宗さんが「……はい。いいですよ」とスマホを下げた。
あれ? 正宗さんが、なんか笑いを堪えているみたいなお顔をしている……ような?
えっ!? 私そんな変な顔してたかな!?
私はとっとっとっと駆け寄り、撮った写真を見せてもらう。
「とっても良い写真が撮れましたよ」
そう仰る声にも笑いが滲んでいる。しかも口元を押さえていらっしゃるし、完全に笑いを堪えているよこれ!!
「……? あっ!!」
撮った写真を見て、私はようやく正宗さんの表情のわけを知った。
えっと、私の顔は……普通です。可も無く不可も無く、な感じです。
問題はね、優月の方……
「これ……完全にドヤ顔ですよね!!」
そうなのです!! 優月はばっちりカメラ目線で、しかも口元がこう……ちょっと吊り上っててね。目線もちょっと上からで、もう、ドヤァ……!! な顔をしていたのです!!
ちょ!! これヤバイ!! ウケる!!
「偶然、なんでしょうけど。良い写真でしょう?」
クスクスと笑いながら、正宗さん。
良い写真というか、面白い写真というか……
こんなことってあるんですねえ。
「ふふっ。面白いですねえ。でも可愛い」
私がそう言うと、正宗さんも「そうですね」って頷いてくれる。
当の優月は、私の腕の中で満足気に口をモゴモゴ動かしていた。
そうしてドヤ顔の優月と私の写真は、しばらくの間正宗さんのスマホの待ち受け画面になったのでした。
写真を撮った後、三人揃って近所の神社に初詣。
神社には他にもちらほら、お着物姿のカップルやご夫婦、家族連れがいらっしゃいました。うん、良いよねえ……お着物。お正月!! って感じ。
心も華やかになります。
『今年も、正宗さんと優月と健康で幸せな日々を過ごせますように』
神様の前で手を合わせて、お祈りする。
これが、私の一番の願いです。
新しい年も、良い一年になりますように!!
読者様からのリクエストを元に書かせていただきました~。
********************************************
新年あけましておめでとうございます。
柏木千鶴でございます。
昨年は大変お世話になりました!
今年もよろしくお願いいたします!!
さてさて、本日は一月一日。元日でございます。
今日はですね……なんと!
家族三人お着物で! 初詣に行こうと思います~!!
実は憧れていたんですよねえ……。家族揃って和装でお参り!
とはいえ乳児を連れていくわけですから、私は動きやすくかつ汚しても良い、ポリエステルの小紋を着ております! これ、丸洗いできる着物なのですよ~。お値段もお手頃です! 優月が生まれて一ヶ月経った頃、お宮参りのために買ったものです。
大人っぽい渋めの海老茶に桜や牡丹の花丸紋が配されております。お気に入りです!
そして優月も、お宮参りの時と同じく赤ちゃん用のお着物を纏っておりますよ~。これは実家の両親が買ってくれました。そしてそして……
(ぐはあっ!! ま、眩しい……!!)
渋紺の着物に同色の羽織りを纏い、優月を抱っこしている正宗さん……!
普段浴衣をよく着られていて和装に慣れているせいか、ビシッと決まっております!! か、かっこいい……!!
お着物姿で、同じく赤ちゃん用の着物を纏っている我が子を抱き、微笑みかけている図とか! 図とかぁ……!!
目が幸せすぎるっ!! 私はこそりと鞄からスマホを取り出し、パシャー!! と二人の姿を写真に収めた。
「千鶴さん?」
シャッター音に気付いた正宗さんが、こちらに視線を向ける。
おっと。ついつい隠し撮りみたいなことしちゃったぜ! だって眼福過ぎて!!
「えっと……その、とても……」
「?」
「か、かっこよくて! カメラに収めずにはいられませんでした!!」
憧れの先輩を前にした女子高生のごとく、私はきゃあきゃあとはしゃいでいる。
当分はこの写真を待ち受けにします私!!
これ見るだけで元気出ると思う!!(むしろ口元がニヤついちゃう気が……)
「千鶴さん……。千鶴さんも、とても綺麗です」
「ぴゃっ!!」
き、綺麗……だと!?
自分からかけ離れた褒め言葉をにっこり笑顔と共に言われて、私は思わず奇声を上げてしまう。
あわわわわ! 頬が熱い、きっと赤くなってるこれ……!!
「そそそそそそんなとんでもないですっ!!」
き、きっとその……着物マジック!! 着物マジックですよ!!
馬子にも衣装ってやつですよ!!
「俺も写真撮っていいですか?」
「えっ」
言いつつ、正宗さんは抱いていた優月を私に手渡すと、ご自分のスマホを取り出して構えた。
ちょ、ちょっと気恥ずかしいけど私は許可も取らずに撮っちゃったしな……
「で、では……」
よっと、優月のお顔も写真にばっちり映るように抱え直し。私はカメラに向かって微笑みかける。
く、口元が引き攣る……!! カメラの前って緊張するよ……!!
「では撮りますね。はい、チーズ」
にいっ!! と、笑顔を作る。
カシャッとシャッター音がして、正宗さんが「……はい。いいですよ」とスマホを下げた。
あれ? 正宗さんが、なんか笑いを堪えているみたいなお顔をしている……ような?
えっ!? 私そんな変な顔してたかな!?
私はとっとっとっと駆け寄り、撮った写真を見せてもらう。
「とっても良い写真が撮れましたよ」
そう仰る声にも笑いが滲んでいる。しかも口元を押さえていらっしゃるし、完全に笑いを堪えているよこれ!!
「……? あっ!!」
撮った写真を見て、私はようやく正宗さんの表情のわけを知った。
えっと、私の顔は……普通です。可も無く不可も無く、な感じです。
問題はね、優月の方……
「これ……完全にドヤ顔ですよね!!」
そうなのです!! 優月はばっちりカメラ目線で、しかも口元がこう……ちょっと吊り上っててね。目線もちょっと上からで、もう、ドヤァ……!! な顔をしていたのです!!
ちょ!! これヤバイ!! ウケる!!
「偶然、なんでしょうけど。良い写真でしょう?」
クスクスと笑いながら、正宗さん。
良い写真というか、面白い写真というか……
こんなことってあるんですねえ。
「ふふっ。面白いですねえ。でも可愛い」
私がそう言うと、正宗さんも「そうですね」って頷いてくれる。
当の優月は、私の腕の中で満足気に口をモゴモゴ動かしていた。
そうしてドヤ顔の優月と私の写真は、しばらくの間正宗さんのスマホの待ち受け画面になったのでした。
写真を撮った後、三人揃って近所の神社に初詣。
神社には他にもちらほら、お着物姿のカップルやご夫婦、家族連れがいらっしゃいました。うん、良いよねえ……お着物。お正月!! って感じ。
心も華やかになります。
『今年も、正宗さんと優月と健康で幸せな日々を過ごせますように』
神様の前で手を合わせて、お祈りする。
これが、私の一番の願いです。
新しい年も、良い一年になりますように!!
10
お気に入りに追加
890
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる