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~番外編~
ポッキーの日
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こちらは11月11日にブログにて公開したポッキーの日SSです。
幸村×朧で、濡れ場はありませんが(キス止まり)BL話なので苦手な方はご注意ください。
********************************************
今日は11月11日。ポッキーの日である。
ちなみにポッキーでなくとも似たような形状の菓子ならなんでも良いと思うのだが、それでも通りが良いのはやはり「ポッキーの日」なので、幸村はプリッツでもフランでもなくポッキーを買って朧の部屋にやってきた。
水無月邸の離れ二階にある朧の部屋では、可愛い恋人が朱色の襦袢をしどけなく纏って、布団の上に寝そべっていた。
朱色の襦袢はここ最近の朧が気に入って寝間着代わりに着ている。寒くないのだろうかと思うが、一度それを言ったら「お前が温めればいい」と返されて、幸村はデレっとしてしまった。それに襦袢を纏う朧はより色っぽく見えて、幸村も密かに気に入っている。
幸村の仕事が長引いてここに寄るのが遅くなってしまったから、朧はとうに湯を浴びて、あとは寝るだけのようだ。
彼はちらりと恋人に視線を送ったものの、またすぐにふいと枕元の画集に戻してしまう。
あ……、これはちょっと機嫌が悪いな、と幸村は察した。たぶん、自分の帰りが遅くなったから……だと思うと、申し訳なさ半分、嬉しさ半分だけれど。
「ろーうっ! 今日は何の日だ~?」
「知らん」
わざと明るく話かける幸村に対し、朧の反応は素っ気ない。だが割といつものことなので、幸村は「ぶーぶー!!」と口では文句を言うものの、本心ではあまり気にすることなくコンビニの袋からポッキーを取り出す。
「これっ! 今日はポッキーの日だよ~。一緒に食べよ?」
「……ふうん」
おや? どうやら朧は本当に知らなかったらしい。小さな声で、「ああ、1が四つ並ぶからか……」と得心したように呟いている。
やだちょっと可愛いんですけど俺の恋人、と。幸村はほくそ笑んだ。
「ポッキーの日にはねえ、恋人同士がポッキーキス! したりするんだよ~」
「ポッキーキス?」
「そお! こうして……」
幸村は箱からポッキーを一本取り出す。
「端と端をお互いに咥えて、ちょっとずつ食べ進めていくんだ。で、折れないように食べていったら、チュー!! しちゃうの。いいでしょ!!」
さ、俺達もやろう!! と幸村は早速ポッキーを咥えて、「んー!」と布団から起き上がった朧に向けて口を突き出す。
……が、
「ふっ」
朧は鼻で笑うと、幸村の口からポッキーを掴みとった。
しかも無理やりとったせいで、ポッキーはあっけなくポキリと折れる。
「ちょ! なにす……んんっ」
しかし朧は反論する口を塞ぐように、噛みつくように幸村の唇にキスをした。
無理やりねじ込んだ舌先からは、ポッキーの甘いチョコレートの味がする。
「ん……っぁ……」
「……っ……んん……」
濃厚なキスを交わした後、朧はぷはっと唇を離して言い捨てた。
「……っは。どうせキスしたいんだろ? だったらまどろっこしいことしてねーで、とっととやればいいじゃないか」
「む……、そりゃあキスがしたくて……だけど……。違うんだよ~! たまにはこういうキスもいいじゃん! 折れるか、折れないか……段々近づいていく顔……っていうのがさあ!」
様式美が!! と幸村は力説する。
「そんなもんか?」
「そんなもんです! ……ダメ?」
幸村が懇願するような眼差しで見つめてくるのを、朧はしばし無言で見遣り、やがて……
「………………しょうがねえなあ」
と、幸村の手にある箱からポッキーを一本抜きとった。
そして徐に、それを咥えて見せる。
「朧!」
付き合ってくれるんだ!! と、幸村の顔が笑顔に染まった。
「ん、ほれ」
朧の口がニッと笑みの形になり、「来いよ」とばかりにポッキーを指差す。
「ありがとう!」
幸村は意気揚々と、その反対側の端に食らいついた。
ポリ……ポリポリ……
互いが菓子を齧る音だけが響く。二人の顔がだんだん、近付いていって……
(……あは、なんかドキドキする……ね……)
あと少しで唇が触れる、瞬間に……
ポキッ
「「!!」」
無情にも、ポッキーが折れてしまった。
「ああ~!!」
残念!! と幸村がため息を吐く。「あと少しだったのにな~」と。
そして朧は……
「…………おい、真」
どさりと、幸村の身体を押し倒して上に跨った。
「え? ええ?」
急に視界が反転し、幸村は目を丸くして恋人を見上げる。
な、なんか顔、怖いんですけど……
「できるまで、やるぞ」
「え?」
朧はポッキーを一本、仰向けに転がる幸村の口に突っ込んだ。
「えええ?」
「できないままなの、なんか無性に気持ち悪ぃんだよ!!」
……どうやらこのポッキーゲームは、朧の妙な負けん気スイッチを押してしまった……らしい。
(そんなぁ~!!)
結局言い出しっぺの幸村は、ポッキーゲームが無事に成功するまでキスできそうでできないという嬉しいようなもどかしいような責め苦を何度も受けることになるのであった。
ポキッ
「あ……」
「っち!」
「も、もういいんじゃ……?」
「だめだ! 成功するまでやる!!」
「じゃ、じゃあその前にチューしよう、チュー!!」
「い・や・だ。おら! ポッキー咥えろ」
「ひええええええ」
幸村×朧で、濡れ場はありませんが(キス止まり)BL話なので苦手な方はご注意ください。
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今日は11月11日。ポッキーの日である。
ちなみにポッキーでなくとも似たような形状の菓子ならなんでも良いと思うのだが、それでも通りが良いのはやはり「ポッキーの日」なので、幸村はプリッツでもフランでもなくポッキーを買って朧の部屋にやってきた。
水無月邸の離れ二階にある朧の部屋では、可愛い恋人が朱色の襦袢をしどけなく纏って、布団の上に寝そべっていた。
朱色の襦袢はここ最近の朧が気に入って寝間着代わりに着ている。寒くないのだろうかと思うが、一度それを言ったら「お前が温めればいい」と返されて、幸村はデレっとしてしまった。それに襦袢を纏う朧はより色っぽく見えて、幸村も密かに気に入っている。
幸村の仕事が長引いてここに寄るのが遅くなってしまったから、朧はとうに湯を浴びて、あとは寝るだけのようだ。
彼はちらりと恋人に視線を送ったものの、またすぐにふいと枕元の画集に戻してしまう。
あ……、これはちょっと機嫌が悪いな、と幸村は察した。たぶん、自分の帰りが遅くなったから……だと思うと、申し訳なさ半分、嬉しさ半分だけれど。
「ろーうっ! 今日は何の日だ~?」
「知らん」
わざと明るく話かける幸村に対し、朧の反応は素っ気ない。だが割といつものことなので、幸村は「ぶーぶー!!」と口では文句を言うものの、本心ではあまり気にすることなくコンビニの袋からポッキーを取り出す。
「これっ! 今日はポッキーの日だよ~。一緒に食べよ?」
「……ふうん」
おや? どうやら朧は本当に知らなかったらしい。小さな声で、「ああ、1が四つ並ぶからか……」と得心したように呟いている。
やだちょっと可愛いんですけど俺の恋人、と。幸村はほくそ笑んだ。
「ポッキーの日にはねえ、恋人同士がポッキーキス! したりするんだよ~」
「ポッキーキス?」
「そお! こうして……」
幸村は箱からポッキーを一本取り出す。
「端と端をお互いに咥えて、ちょっとずつ食べ進めていくんだ。で、折れないように食べていったら、チュー!! しちゃうの。いいでしょ!!」
さ、俺達もやろう!! と幸村は早速ポッキーを咥えて、「んー!」と布団から起き上がった朧に向けて口を突き出す。
……が、
「ふっ」
朧は鼻で笑うと、幸村の口からポッキーを掴みとった。
しかも無理やりとったせいで、ポッキーはあっけなくポキリと折れる。
「ちょ! なにす……んんっ」
しかし朧は反論する口を塞ぐように、噛みつくように幸村の唇にキスをした。
無理やりねじ込んだ舌先からは、ポッキーの甘いチョコレートの味がする。
「ん……っぁ……」
「……っ……んん……」
濃厚なキスを交わした後、朧はぷはっと唇を離して言い捨てた。
「……っは。どうせキスしたいんだろ? だったらまどろっこしいことしてねーで、とっととやればいいじゃないか」
「む……、そりゃあキスがしたくて……だけど……。違うんだよ~! たまにはこういうキスもいいじゃん! 折れるか、折れないか……段々近づいていく顔……っていうのがさあ!」
様式美が!! と幸村は力説する。
「そんなもんか?」
「そんなもんです! ……ダメ?」
幸村が懇願するような眼差しで見つめてくるのを、朧はしばし無言で見遣り、やがて……
「………………しょうがねえなあ」
と、幸村の手にある箱からポッキーを一本抜きとった。
そして徐に、それを咥えて見せる。
「朧!」
付き合ってくれるんだ!! と、幸村の顔が笑顔に染まった。
「ん、ほれ」
朧の口がニッと笑みの形になり、「来いよ」とばかりにポッキーを指差す。
「ありがとう!」
幸村は意気揚々と、その反対側の端に食らいついた。
ポリ……ポリポリ……
互いが菓子を齧る音だけが響く。二人の顔がだんだん、近付いていって……
(……あは、なんかドキドキする……ね……)
あと少しで唇が触れる、瞬間に……
ポキッ
「「!!」」
無情にも、ポッキーが折れてしまった。
「ああ~!!」
残念!! と幸村がため息を吐く。「あと少しだったのにな~」と。
そして朧は……
「…………おい、真」
どさりと、幸村の身体を押し倒して上に跨った。
「え? ええ?」
急に視界が反転し、幸村は目を丸くして恋人を見上げる。
な、なんか顔、怖いんですけど……
「できるまで、やるぞ」
「え?」
朧はポッキーを一本、仰向けに転がる幸村の口に突っ込んだ。
「えええ?」
「できないままなの、なんか無性に気持ち悪ぃんだよ!!」
……どうやらこのポッキーゲームは、朧の妙な負けん気スイッチを押してしまった……らしい。
(そんなぁ~!!)
結局言い出しっぺの幸村は、ポッキーゲームが無事に成功するまでキスできそうでできないという嬉しいようなもどかしいような責め苦を何度も受けることになるのであった。
ポキッ
「あ……」
「っち!」
「も、もういいんじゃ……?」
「だめだ! 成功するまでやる!!」
「じゃ、じゃあその前にチューしよう、チュー!!」
「い・や・だ。おら! ポッキー咥えろ」
「ひええええええ」
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