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~番外編~
パロ設定小話~元兵士・幸村×元捕虜・朧のお話~
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こちらは以前拍手御礼小説として公開していたSSになります。
ツイッターの診断メーカーにて、
「あなたは3時間以内に5RTされたら、兵士×捕虜の設定でほのぼの休日デートな幸村×朧の、漫画または小説を書きます。」
というのをやりまして、書いたものになります。
兵士×捕虜でほのぼの!? と頭を悩ませまして、結局「戦争の後一緒に暮らしている元兵士×元捕虜」という設定にしました。……が、あんまりほのぼのしてません(汗
濡れ場はありませんがBLです。苦手な方はスルーでお願いします。
********************************************
「ねえ、俺とデートしよ」
幸村がそう笑いかけたのは、彼が一緒に暮らしている青年――朧だ。
元々、朧は敵国の捕虜で幸村はそれを監視する兵士だった。
朧は幸村より年若く、女性と見紛うような美しい青年だ。
故に捕虜収容施設ではそういう対象として見られがちだった。
それを庇って、何くれとなく便宜を図っていたのが幸村だ。
そのせいか、朧は同国人である他の捕虜や敵国人である兵士達より、幸村に心を許してくれていたと思う。
朧は元は少年兵上がり……だったのだという。
幼い頃に両親を紛争で亡くし、選択の余地もなく少年兵として戦場に身を投じていたと。
だが敵国――幸村の国に囚われ、収容施設で数年を過ごし……
戦争が終わった後、行くあてもないという彼に手を差し伸べたのが幸村だった。
この時、すでに二人は一線を越えた中になっていた。だが、幸村がそれを強要したわけでもなく、ただ自然と……
そう、自然と惹かれあっていたのだと思う。
だから自由の身になった時、朧は迷わず、差し出された幸村の手をとったのだ。
「デート?」
聞き返す朧の眉が不機嫌そうに寄せられる。
その眼差しは、「何を言ってるんだこの馬鹿」と語っているように見えた。
「そ! 国立公園に今ね、移動遊園地が来てるんだよ~! 戦争中はなかったからなぁ。何年振りだろ~!」
「…………」
移動遊園地……がどういうものか、朧にはわからない。
彼が知っているのは、血と火薬と腐臭のする戦場と、不自然なほど白で塗り潰された捕虜収容施設と、この……
幸村と暮らす、安いボロアパートメントだけだったから。
翌日。幸村に手を引かれるようにして、朧は国立公園へと足を踏み入れた。
「!」
すると、ただ広いだけで何も無かった広場に、色とりどりの天幕や移動式の遊具――観覧車やジェットコースターなど――が建っているではないか。
初めて目にする光景に、朧はぽかんと目を見開いた。
その様子に、幸村は満足そうに微笑む。
「ねっ、すごいでしょ。俺、子供の頃からこれが好きでさ~」
「…………おい、ガキばっかじゃねーか」
「うん、そうだね。でも大人もいるよ?」
「……ここってガキの遊び場……」
「あっ、ポップコーン売ってる! 食べよ? 朧」
「聞いてんのかっ……って、ひ、引っ張んな……!!」
幸村は朧の手を強引に引いて、一緒にポップコーンを食べたりメリーゴーランドに乗ったり、久しぶりの移動遊園地を連れ回した。
最初は「ここはガキの遊び場だろ? イイ大人がはしゃいでんじゃねーよ」なんて悪態を吐いていた朧も、段々と慣れ、段々と楽しくなってきたようで……
「真! 次はあれ、乗りたい」
ジェットコースターを指差し、幸村にねだってみせる。
そんな朧に、幸村は笑みを深めた。
(ねえ、朧。ここはさ、確かに子供の遊び場だよ)
移動遊園地には、子供のための夢の遊び場だ。
けれど、だからこそ……
(ここに来たら、大人だって童心に返っていいんだよ)
戦争で失った朧の少年時代を、つかの間でも取り戻させてやりたい。
そう思って、幸村はここへ朧を連れてきたのだ。
「真! 早く来いって」
「今行くー!!」
そして二人は、平和を取り戻した世界で……
少年の心に返り、夢中になって遊んだのでした。
ツイッターの診断メーカーにて、
「あなたは3時間以内に5RTされたら、兵士×捕虜の設定でほのぼの休日デートな幸村×朧の、漫画または小説を書きます。」
というのをやりまして、書いたものになります。
兵士×捕虜でほのぼの!? と頭を悩ませまして、結局「戦争の後一緒に暮らしている元兵士×元捕虜」という設定にしました。……が、あんまりほのぼのしてません(汗
濡れ場はありませんがBLです。苦手な方はスルーでお願いします。
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「ねえ、俺とデートしよ」
幸村がそう笑いかけたのは、彼が一緒に暮らしている青年――朧だ。
元々、朧は敵国の捕虜で幸村はそれを監視する兵士だった。
朧は幸村より年若く、女性と見紛うような美しい青年だ。
故に捕虜収容施設ではそういう対象として見られがちだった。
それを庇って、何くれとなく便宜を図っていたのが幸村だ。
そのせいか、朧は同国人である他の捕虜や敵国人である兵士達より、幸村に心を許してくれていたと思う。
朧は元は少年兵上がり……だったのだという。
幼い頃に両親を紛争で亡くし、選択の余地もなく少年兵として戦場に身を投じていたと。
だが敵国――幸村の国に囚われ、収容施設で数年を過ごし……
戦争が終わった後、行くあてもないという彼に手を差し伸べたのが幸村だった。
この時、すでに二人は一線を越えた中になっていた。だが、幸村がそれを強要したわけでもなく、ただ自然と……
そう、自然と惹かれあっていたのだと思う。
だから自由の身になった時、朧は迷わず、差し出された幸村の手をとったのだ。
「デート?」
聞き返す朧の眉が不機嫌そうに寄せられる。
その眼差しは、「何を言ってるんだこの馬鹿」と語っているように見えた。
「そ! 国立公園に今ね、移動遊園地が来てるんだよ~! 戦争中はなかったからなぁ。何年振りだろ~!」
「…………」
移動遊園地……がどういうものか、朧にはわからない。
彼が知っているのは、血と火薬と腐臭のする戦場と、不自然なほど白で塗り潰された捕虜収容施設と、この……
幸村と暮らす、安いボロアパートメントだけだったから。
翌日。幸村に手を引かれるようにして、朧は国立公園へと足を踏み入れた。
「!」
すると、ただ広いだけで何も無かった広場に、色とりどりの天幕や移動式の遊具――観覧車やジェットコースターなど――が建っているではないか。
初めて目にする光景に、朧はぽかんと目を見開いた。
その様子に、幸村は満足そうに微笑む。
「ねっ、すごいでしょ。俺、子供の頃からこれが好きでさ~」
「…………おい、ガキばっかじゃねーか」
「うん、そうだね。でも大人もいるよ?」
「……ここってガキの遊び場……」
「あっ、ポップコーン売ってる! 食べよ? 朧」
「聞いてんのかっ……って、ひ、引っ張んな……!!」
幸村は朧の手を強引に引いて、一緒にポップコーンを食べたりメリーゴーランドに乗ったり、久しぶりの移動遊園地を連れ回した。
最初は「ここはガキの遊び場だろ? イイ大人がはしゃいでんじゃねーよ」なんて悪態を吐いていた朧も、段々と慣れ、段々と楽しくなってきたようで……
「真! 次はあれ、乗りたい」
ジェットコースターを指差し、幸村にねだってみせる。
そんな朧に、幸村は笑みを深めた。
(ねえ、朧。ここはさ、確かに子供の遊び場だよ)
移動遊園地には、子供のための夢の遊び場だ。
けれど、だからこそ……
(ここに来たら、大人だって童心に返っていいんだよ)
戦争で失った朧の少年時代を、つかの間でも取り戻させてやりたい。
そう思って、幸村はここへ朧を連れてきたのだ。
「真! 早く来いって」
「今行くー!!」
そして二人は、平和を取り戻した世界で……
少年の心に返り、夢中になって遊んだのでした。
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