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~番外編~
二人で見る紅葉
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こちらはブログにて公開しておりましたSSです。
※短いです。
********************************************
「ふおおおおおお!」
山が……じゃないけど。
公園の木々が、燃えている……!!(あ、火事じゃないです紅葉です)
「すごい……! 綺麗、ですねえ」
十一月のとある日曜日。
私と正宗さんは、紅葉で有名な公園に「ぷち・紅葉狩り」に来ています。
モミジは紅く、イチョウは黄色く色づいて。
でも、はっきりくっきり! 赤!! ってだけじゃなくて。
グラデーションになっていたりもして。
とくにイチョウは、ほのかに緑を残した黄色い葉っぱがとても……とても綺麗。
「綺麗……」
不思議……だなあ……
桜も紅葉も、毎年見ているはずなのに。
毎年、はっと見入ってしまう。
綺麗だなあって……ただただ見惚れてしまう。
どうしてこんなに、心惹かれるんだろう……
「本当に、綺麗ですね……」
傍らに立つ正宗さんも、そう言って木々を見上げていた。
うん……ちょっと寒いけど……
来て良かった!!
私達は上を見上げては紅葉に見惚れながら、ゆっくりと公園を歩いた。
あ、でも下にも落ち葉の絨毯が降り積もっていて。
ふかふかと、していて。歩くのちょっと楽しかったよ。(でも、これがいずれ良質な腐葉土に……なんて考えてしまうあたり、私もすっかり心は園芸女子だわ)
それに、人の踏み行っていない木々の根元には、赤や黄色の葉っぱが綺麗なまま積もっていて。
紅葉って、地に落ちてもなお綺麗なんだなって、思った。
はあ……しかし……
(……ぶるっ)
寒い……なあ。
しかも今日は風が強い。
風に落ち葉が舞う様もまた綺麗だけど。
こんなことならもっと厚着してくれば良かった。
何より、手袋! 手袋してくればよかったー!! 指先から冷えていくんだよな……
私は剥きだしの両手を口元に運んで、はあ……と息を吹きかける。
湿った吐息が、わずかだけど手を温めてくれるのだ。
「…………」
それを見ていた、正宗さんが……
「えっ……」
私の手を、とって。
ぎゅっと、繋いだまま……
「こうすれば、少しはましでしょう?」
自分のコートのポケットに、一緒に入れてくれた。
……暖かい……
「あ……でもこれだと右手が寒いですね……」
正宗さんの右手と繋がった、私の左手。
でも右手はどうしたって、繋げない。(だって繋ぐとお互い向かい合って歩くことになっちゃうしね)
だけど、正宗さんのお気づかいが、とーっても!! 嬉しいから。
「へへっ! 大丈夫、です!!」
ちょっとくらい右手が寒くたって、心はぽっかぽか!! なのですよ。
それに、ね。正宗さんと繋がった左手から……
熱がね、どんどん広がっていくんだ。私の、中に。
な、なんてね!!(恥ずかしいこと言ってしまった今!)
「……千鶴さん。……良かった」
「あったかい、です」
ふふふ。二人で手を繋いで(しかもポケットインだぜ)公園を歩く、なんて。
そんなリア充カップルみたいな真似を自分がすることになるなんて、思いもしなかったなあ……
だけど……
正宗さんと出会うまでに見上げていた、紅葉よりも……
こうして二人で見上げる紅葉の方が、ずっと、ずっと……
「綺麗ですねえ……」
「はい……」
輝いて、見えた。
ちなみにその後。
「この後、温かい物でも食べに行きましょうね」
「はいっ! あ、ラーメンが良いですラーメン!!」
「ははっ。はい。わかりました」
なんて会話の後、ラーメン屋さんに行きました。
熱い味噌ラーメンを、はふはふしてね。
いやあ~、冷えた体に、熱々のラーメンが沁み渡りました……
美味しーい!! 寒い日のラーメン最高!! ですね。
※短いです。
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「ふおおおおおお!」
山が……じゃないけど。
公園の木々が、燃えている……!!(あ、火事じゃないです紅葉です)
「すごい……! 綺麗、ですねえ」
十一月のとある日曜日。
私と正宗さんは、紅葉で有名な公園に「ぷち・紅葉狩り」に来ています。
モミジは紅く、イチョウは黄色く色づいて。
でも、はっきりくっきり! 赤!! ってだけじゃなくて。
グラデーションになっていたりもして。
とくにイチョウは、ほのかに緑を残した黄色い葉っぱがとても……とても綺麗。
「綺麗……」
不思議……だなあ……
桜も紅葉も、毎年見ているはずなのに。
毎年、はっと見入ってしまう。
綺麗だなあって……ただただ見惚れてしまう。
どうしてこんなに、心惹かれるんだろう……
「本当に、綺麗ですね……」
傍らに立つ正宗さんも、そう言って木々を見上げていた。
うん……ちょっと寒いけど……
来て良かった!!
私達は上を見上げては紅葉に見惚れながら、ゆっくりと公園を歩いた。
あ、でも下にも落ち葉の絨毯が降り積もっていて。
ふかふかと、していて。歩くのちょっと楽しかったよ。(でも、これがいずれ良質な腐葉土に……なんて考えてしまうあたり、私もすっかり心は園芸女子だわ)
それに、人の踏み行っていない木々の根元には、赤や黄色の葉っぱが綺麗なまま積もっていて。
紅葉って、地に落ちてもなお綺麗なんだなって、思った。
はあ……しかし……
(……ぶるっ)
寒い……なあ。
しかも今日は風が強い。
風に落ち葉が舞う様もまた綺麗だけど。
こんなことならもっと厚着してくれば良かった。
何より、手袋! 手袋してくればよかったー!! 指先から冷えていくんだよな……
私は剥きだしの両手を口元に運んで、はあ……と息を吹きかける。
湿った吐息が、わずかだけど手を温めてくれるのだ。
「…………」
それを見ていた、正宗さんが……
「えっ……」
私の手を、とって。
ぎゅっと、繋いだまま……
「こうすれば、少しはましでしょう?」
自分のコートのポケットに、一緒に入れてくれた。
……暖かい……
「あ……でもこれだと右手が寒いですね……」
正宗さんの右手と繋がった、私の左手。
でも右手はどうしたって、繋げない。(だって繋ぐとお互い向かい合って歩くことになっちゃうしね)
だけど、正宗さんのお気づかいが、とーっても!! 嬉しいから。
「へへっ! 大丈夫、です!!」
ちょっとくらい右手が寒くたって、心はぽっかぽか!! なのですよ。
それに、ね。正宗さんと繋がった左手から……
熱がね、どんどん広がっていくんだ。私の、中に。
な、なんてね!!(恥ずかしいこと言ってしまった今!)
「……千鶴さん。……良かった」
「あったかい、です」
ふふふ。二人で手を繋いで(しかもポケットインだぜ)公園を歩く、なんて。
そんなリア充カップルみたいな真似を自分がすることになるなんて、思いもしなかったなあ……
だけど……
正宗さんと出会うまでに見上げていた、紅葉よりも……
こうして二人で見上げる紅葉の方が、ずっと、ずっと……
「綺麗ですねえ……」
「はい……」
輝いて、見えた。
ちなみにその後。
「この後、温かい物でも食べに行きましょうね」
「はいっ! あ、ラーメンが良いですラーメン!!」
「ははっ。はい。わかりました」
なんて会話の後、ラーメン屋さんに行きました。
熱い味噌ラーメンを、はふはふしてね。
いやあ~、冷えた体に、熱々のラーメンが沁み渡りました……
美味しーい!! 寒い日のラーメン最高!! ですね。
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