ヒヨクレンリ

なかゆんきなこ

文字の大きさ
上 下
19 / 126
~番外編~

初夜の翌朝

しおりを挟む
こちらは以前公開していたのですが、書籍化に際し一度取り下げていたお話です。
このエピソードは書籍には含まれないので、戻しました。※三人称です※
タイトル通り、初夜の翌朝のお話。
********************************************



 物言えぬ屍になったような気持ちで、千鶴は痛む腰を抱え朝食の席に着いていた。
 昨日、自分のあられもない姿をさんざん見られ。
 おまけに、気絶した自分の体まで洗わせて…っ!!
 色んな意味で、千鶴のHPとMPは0に近い。
 さらに…。
「……わぁ、美味しそうデスネ…」
 テーブルには、美味しそうな和の朝食が並び…。
 ピカピカのお米が光るお粥は、ダシの良い香りがしているというのに。
 千鶴には、それを楽しむ余裕はなかった。
(い…痛い…なんだこれ、なんでこんなに痛いんだ…)
 昨日、初めて男に抱かれた千鶴は、自分の体を襲う異変に困惑していた。
 腰と…が、痛いのである。
(漫画で良く「次の日腰が痛くて~」ってあったけど、あれマジだったんだ…。ごめん、私…)
 BL漫画や小説で。
 攻めキャラにさんざん苛められて泣かされる受けキャラ。
 彼が翌日腰の痛みに耐えるシーンにすら、萌えていた自分。
 だって、激しく愛された証拠! って、感じがして。
 すごく、萌えるじゃないですか…。
 だがしかし。わが身に降りかかって、初めて思う。
 痛いものは痛いのだ。萌えとか言ってる場合じゃねえのだ。
(…うう。軽々しく「泣き顔萌えッ」とか思ってごめんなさい。本来ソレに使われるトコにい、挿れられてさえこんなに痛むのに。あんな、本来の用途とは違うところに挿れられたら、そら痛いよね…)
 自分の比でなく痛いのかも。
 世間には、男女間でもアナルプレイなんてものがあるが、恐ろしい!!
 絶対裂けるし!! と千鶴は戦慄する。
 ああ、BL読む目が変わってしまいそう…と。

「…大丈夫、ですか?」
「うへあっ!?」

 突然目の前の正宗に気遣わしげに声を掛けられて、千鶴は素っ頓狂な奇声を上げた。
「辛いなら、横になっていても…」
「いっ、イイエッ!! 大丈夫です!!」
「しかし…、先ほどからぼうっとして食欲も無いようですし…」
 まさか、あまりの腰の痛みにカマを掘られる受けキャラの悲哀にまで思いを巡らせていたとは言えず、千鶴は慌ててお粥をかきこんだ。大丈夫ですアピールだ。
 そして…、
「…ゲホッ!!」 
「千鶴さん!?」

 案の定、むせた。

 そんな千鶴と正宗の、初夜の翌朝…のお話。 
  
 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

私はオタクに囲まれて逃げられない!

椿蛍
恋愛
私、新織鈴子(にいおりすずこ)、大手製菓会社に勤める28歳OL身。 職場では美人で頼れる先輩なんて言われている。 それは仮の姿。 真の姿はBL作家の新藤鈴々(しんどうりり)! 私の推しは営業部部長の一野瀬貴仁(いちのせたかひと)さん。 海外支店帰りの社長のお気に入り。 若くして部長になったイケメンエリート男。 そして、もう一人。 営業部のエース葉山晴葵(はやまはるき)君。 私の心のツートップ。 彼らをモデルにBL小説を書く日々。 二人を陰から見守りながら、毎日楽しく過ごしている。 そんな私に一野瀬部長が『付き合わないか?』なんて言ってきた。 なぜ私? こんな私がハイスぺ部長となんか付き合えるわけない! けれど、一野瀬部長にもなにやら秘密があるらしく―――? 【初出2021.10.15 改稿2023.6.27】 ★気持ちは全年齢のつもり。念のためのR-15です。 ★今回、話の特性上、BL表現含みます。ご了承ください。BL表現に苦手な方はススッーとスクロールしてください。 ★また今作はラブコメに振り切っているので、お遊び要素が多いです。ご注意ください。

処理中です...