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本編

悪魔と友達-3

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「えっと……、圭斗君と会ったのってこの前が初めてだよね?」

 圭斗派最初から好意的に接してくれたと思うが、実感が沸かない。
 彼とはまだ会ったばかりだと思うのだ。
 すると、圭斗はパッと顔を上げた。

「こうなって、やっぱり、思うんスよ。恋に落ちるのに短いも長いもないって。まぁ、そうすると部長の超常現象もリアムのことも肯定することになったりして、すんごくイラッとするんスけどね」

 少し圭斗は早口に言って、それからピタリと止まった。

「要するに一目惚れってことっスね」

 少しはにかんで告げる。そのブラウンの明るい目に引き込まれそうになる。
 彼にはドキドキさせられっぱなしだった。
 本当に年下なのかと疑いたくなることもある。
 見た目だけの大人っぽさではない。紗綾を翻弄しようとする何かがある。

「俺、紗綾先輩のことが好きっス。気の迷いとか勘違いとか、そんなんじゃないって誓える。でも、まだ信じられないと思うから、気が済むまで見極めて下さいっス」

 もう嘘だとは、冗談だとは思えなかった。
 魔法にかかったように信じていた。
 彼の偽りのない気持ちを自分がきちんと受け止めなければならないのだと。

「あのね、圭斗君……」
「何スか? いきなりお断りのお返事とかだったら、俺耳塞いで逃げるっスよ?」

 クスクスと圭斗は笑い、紗綾は困ってしまった。
 彼には本当に先手を打たれてばかりだ。

「えっと、そうじゃないんだけど……」
「冗談っス。何でも聞くっスよ。むしろ、何でも聞いてください」

 そう言われると逆に言い出しにくくなる。

「あ、あのね、友達になってくれる?」
「友達?」

 勇気を持って切り出せば、圭斗が不思議そうに首を傾げた。

「駄目、かな……?」

 まずは友達から、というのもありきたりだが、重要なことに思えた。
 彼とは出会って間もない。
 すると、圭斗は顎に手を当てて、考える仕草を見せる。

「それって、ただの後輩じゃないってことっスよね?」
「そう、なの、かな……?」

 ただの後輩とそうじゃない後輩の区別が一体何なのか紗綾にはわからなかった。
 彼は一体どうなりたいのだろうか。

「そういうことで解釈させて下さい。レベルアップってことで」
「レベルアップ?」
「メールしたり、遊びに誘ったり、遠慮しないっスから」

 ニッと圭斗が笑う。今まで遠慮していたのだろうか。
 だが、紗綾にとって友達が増えるということは単純に嬉しいことだった。
 そうして、それから彼と色々なことを話した。
 その時間は後ろめたさを感じながらも、後に控える不安なことなど吹き飛ばすほど楽しいものだった。
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