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五章
Ⅲ
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「あ、レオン! ちょっと!」
ホームルームが終わって放課後。早々に帰り支度をしていたら、あかりに呼び止められた。なにやら数人で集まって盛り上がっている。中々動こうとしない俺に、雑なかんじで手招きをするあかりに、頭を捻ざるをえない。
「なに? どしたん?」
「あんたが言ってたでしょ。今度遊びに行きたいって」
「それを俺らが聞いて、せっかくだし皆で遊ぼうって話になったんだぜ!」
「そうそう! 青井君はどう?」
おお、おもわぬ人達に飛び火してる。クラスメイト達と遊ぶ。まさに青春の一ページじゃないか。
でも、目的がずれちゃうし。火山なんて観光に行きたがる高校生達なんて中々いない――
「俺らの近場ならどこがいいかな――」
「というかバスで行く? 電車?」
「ここ温泉卵とかあるらしいぜ!」
「ロープウェイ乗れるんだって――。すご~~い」
いや全員ノリノリで草。
嘘だろ? お前ら現代高校生か? もっと若者っぽいものに食いつけよ。俺が言えた義理じゃないけども。
「というか火口って見れるのかしら?」
「マグマとか溶岩楽しみだな~~」
「全員で記念写真撮ろうぜ!」
「お弁当持ってく?」
テンション高すぎて草生えるわこんなん。なに? いつの間に火山が若者のトレンドになってるん?
「あ、委員長。委員長もよかったら俺らと一緒に遊びに行かね?」
ちょうどタイミングよくクラスに戻ってきた子は神田川桃音さん。入学してすぐにクラス委員長になった子で、まさしく委員長らしい子だ。
「なんですか? 遊び?」
不愉快とも怪訝がるでもなく、ローテンション気味は委員長は興味が惹かれたのか、ノリにのっている皆の元へ。
「そうそう! 火山でマグマとか溶岩とか見に行こうぜって話になってるんだ!」
「マグマに溶岩。海外に行くんですか?」
「いやいや! さすがにそこまでは無理だって! 近場にある火山でって話!」
「日本じゃマグマも溶岩も見れませんよ? 日本の火山は爆発性が強いので。マグマ湖とか火口からの流出を見るのは不可能です」
「ぷっ! 冗談だよ冗談! マジでマグマとかが見たいってわけじゃないさ!」
「はぁ」
真面目な返しに盛り下がることはなかった。とにもかくにも、皆なんだかんだで遊ぶ目的とか皆で出かける理由が欲しかっただけなんだろう。
それはそれでいい。でも。
「日本じゃマグマも溶岩も見れないのか………」
「あんたまじで見たがってたの?」
わかりやすいくらい落ち込んだ俺に、あかりがツッコんでくれた。だってそうじゃないと聖剣を壊せるかどうか試せないし。
「で? どう? 委員長」
「ごめんなさい。ちょっと行けません」
「そうかぁ~~。じゃあしょうがないかぁ」
「ほら。元気出しなさいよ。火山がステージのゲーム一緒にやってあげるから」
「日本中の火山という火山が全部噴火して溶岩塗れになればいい」
「この世の終わりじゃない! どんだけ楽しみにしてたのよ!」
「大丈夫。そうしたら昔の経験が活きるから」
溶岩の城で戦ったこともあるし。けど、あかりは「そんなゲームあったっけ?」と不思議そうな顔。そうこうしていたら、帰ろうとしていた委員長にぶつかってしまった。
軽めだから怪我もないけど、「なにやってんのよ」とあかりに窘められた。反省しながら委員長に謝意を伝えようとする。
「ごめん。よく前見てな、か……た?」
「いえ、大丈夫ですが」
委員長の顔をじろじろと見つめる形になったから、不思議がっている。
「あの、なにか?」
「いや、なんていうか。俺達本当に初対面?」
「は?」
「俺と委員長ってどこかで会ったことない?」
なんでだろう。入学以前も合わせて学校外で会った記憶はない。けど、どこか既視感がある。顔立ちや声じゃないけど、なんでだか知っている人のようなかんじがした。
「さぁ。どこかで偶然出会ったか見かけたのでは? 私は青井君と初対面のはずです」
「そうか。そうだよなぁ~~~」
ん~~。勘違いかな。「それでは」と短く挨拶をして、颯爽と委員長は自分の席に。まぁ俺の勘違いってことで、皆の中に戻らないと。
「ちょっとレオン。なんなのよ今の」
ブレザーの端を掴んであかりが引き止めた。ちょっと怒ってるっぽい?
「委員長にナンパするなんて。ああゆう子がタイプなわけ?」
「はぁ?違ぇよ。まじで勘違いしたんだって」
「どうだか。ナンパする人の常套句で自分も若いころ使ってたってうちのお父さんも言ってたんだから」
「お前んちの家族の会話内容やばくね?」
「お父さんのことなんか抜け毛くらいどうでもいいのよ。それで? どうなのよ」
「どうって……普通の勘違いだって。本当に。どこかで見たような気がしただけだ。それだけだって」
「ふぅ~~ん。そう。まぁ別にどうでもいいけど。レオンがどんな子が好みとか付き合いたいとか結婚したいとか」
ならなんで急に髪の毛三つ編みにしだしたし。
「おい二人とも! お前らも早くどこがいいか話せよ!」
「せぇの! で指さしたところが多かったところに決まるって話だけどそれでもだいじょぶ~~?」
輪の中に戻ろうとするけど、あかりは何故か委員長を眺めている。そんなに俺が委員長に対して好意があるって気にしてるのか? やきもちみたいでちょっとかわいいじゃないか。
「あの者が。まさか本当に」
「?」
「これならば絶対に」
ボソボソッとなにかを呟いたけど、ちょっと距離があって聞こえなかった。けど、すぐにこっちに来て「ごめん。なんの話だっけ?」と話に加わった。
一瞬女神フローラっぽい雰囲気がしたような。おもわず嫌な予感がしちゃったけど。
気のせい……だよな。あいつが今出てくる理由なんてないし。
ホームルームが終わって放課後。早々に帰り支度をしていたら、あかりに呼び止められた。なにやら数人で集まって盛り上がっている。中々動こうとしない俺に、雑なかんじで手招きをするあかりに、頭を捻ざるをえない。
「なに? どしたん?」
「あんたが言ってたでしょ。今度遊びに行きたいって」
「それを俺らが聞いて、せっかくだし皆で遊ぼうって話になったんだぜ!」
「そうそう! 青井君はどう?」
おお、おもわぬ人達に飛び火してる。クラスメイト達と遊ぶ。まさに青春の一ページじゃないか。
でも、目的がずれちゃうし。火山なんて観光に行きたがる高校生達なんて中々いない――
「俺らの近場ならどこがいいかな――」
「というかバスで行く? 電車?」
「ここ温泉卵とかあるらしいぜ!」
「ロープウェイ乗れるんだって――。すご~~い」
いや全員ノリノリで草。
嘘だろ? お前ら現代高校生か? もっと若者っぽいものに食いつけよ。俺が言えた義理じゃないけども。
「というか火口って見れるのかしら?」
「マグマとか溶岩楽しみだな~~」
「全員で記念写真撮ろうぜ!」
「お弁当持ってく?」
テンション高すぎて草生えるわこんなん。なに? いつの間に火山が若者のトレンドになってるん?
「あ、委員長。委員長もよかったら俺らと一緒に遊びに行かね?」
ちょうどタイミングよくクラスに戻ってきた子は神田川桃音さん。入学してすぐにクラス委員長になった子で、まさしく委員長らしい子だ。
「なんですか? 遊び?」
不愉快とも怪訝がるでもなく、ローテンション気味は委員長は興味が惹かれたのか、ノリにのっている皆の元へ。
「そうそう! 火山でマグマとか溶岩とか見に行こうぜって話になってるんだ!」
「マグマに溶岩。海外に行くんですか?」
「いやいや! さすがにそこまでは無理だって! 近場にある火山でって話!」
「日本じゃマグマも溶岩も見れませんよ? 日本の火山は爆発性が強いので。マグマ湖とか火口からの流出を見るのは不可能です」
「ぷっ! 冗談だよ冗談! マジでマグマとかが見たいってわけじゃないさ!」
「はぁ」
真面目な返しに盛り下がることはなかった。とにもかくにも、皆なんだかんだで遊ぶ目的とか皆で出かける理由が欲しかっただけなんだろう。
それはそれでいい。でも。
「日本じゃマグマも溶岩も見れないのか………」
「あんたまじで見たがってたの?」
わかりやすいくらい落ち込んだ俺に、あかりがツッコんでくれた。だってそうじゃないと聖剣を壊せるかどうか試せないし。
「で? どう? 委員長」
「ごめんなさい。ちょっと行けません」
「そうかぁ~~。じゃあしょうがないかぁ」
「ほら。元気出しなさいよ。火山がステージのゲーム一緒にやってあげるから」
「日本中の火山という火山が全部噴火して溶岩塗れになればいい」
「この世の終わりじゃない! どんだけ楽しみにしてたのよ!」
「大丈夫。そうしたら昔の経験が活きるから」
溶岩の城で戦ったこともあるし。けど、あかりは「そんなゲームあったっけ?」と不思議そうな顔。そうこうしていたら、帰ろうとしていた委員長にぶつかってしまった。
軽めだから怪我もないけど、「なにやってんのよ」とあかりに窘められた。反省しながら委員長に謝意を伝えようとする。
「ごめん。よく前見てな、か……た?」
「いえ、大丈夫ですが」
委員長の顔をじろじろと見つめる形になったから、不思議がっている。
「あの、なにか?」
「いや、なんていうか。俺達本当に初対面?」
「は?」
「俺と委員長ってどこかで会ったことない?」
なんでだろう。入学以前も合わせて学校外で会った記憶はない。けど、どこか既視感がある。顔立ちや声じゃないけど、なんでだか知っている人のようなかんじがした。
「さぁ。どこかで偶然出会ったか見かけたのでは? 私は青井君と初対面のはずです」
「そうか。そうだよなぁ~~~」
ん~~。勘違いかな。「それでは」と短く挨拶をして、颯爽と委員長は自分の席に。まぁ俺の勘違いってことで、皆の中に戻らないと。
「ちょっとレオン。なんなのよ今の」
ブレザーの端を掴んであかりが引き止めた。ちょっと怒ってるっぽい?
「委員長にナンパするなんて。ああゆう子がタイプなわけ?」
「はぁ?違ぇよ。まじで勘違いしたんだって」
「どうだか。ナンパする人の常套句で自分も若いころ使ってたってうちのお父さんも言ってたんだから」
「お前んちの家族の会話内容やばくね?」
「お父さんのことなんか抜け毛くらいどうでもいいのよ。それで? どうなのよ」
「どうって……普通の勘違いだって。本当に。どこかで見たような気がしただけだ。それだけだって」
「ふぅ~~ん。そう。まぁ別にどうでもいいけど。レオンがどんな子が好みとか付き合いたいとか結婚したいとか」
ならなんで急に髪の毛三つ編みにしだしたし。
「おい二人とも! お前らも早くどこがいいか話せよ!」
「せぇの! で指さしたところが多かったところに決まるって話だけどそれでもだいじょぶ~~?」
輪の中に戻ろうとするけど、あかりは何故か委員長を眺めている。そんなに俺が委員長に対して好意があるって気にしてるのか? やきもちみたいでちょっとかわいいじゃないか。
「あの者が。まさか本当に」
「?」
「これならば絶対に」
ボソボソッとなにかを呟いたけど、ちょっと距離があって聞こえなかった。けど、すぐにこっちに来て「ごめん。なんの話だっけ?」と話に加わった。
一瞬女神フローラっぽい雰囲気がしたような。おもわず嫌な予感がしちゃったけど。
気のせい……だよな。あいつが今出てくる理由なんてないし。
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