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十一章

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 結界魔法は厄介だ。種類は豊富で一見するだけでは無効化できない。属性によって違うし、発動者のアレンジが必ず加えられていて解析するのだけで一苦労。きっと発動する魔法士・魔道士の数だけこの世界には存在している。そもそも発見するのさえ難しい。

 そんなめんどくさい結界を追われている俺が解析しなければいけないのだから、負担はいかばかりだろう。平民、騎士団に見つからないように別の魔法を発動させながらそちらにも意識を割きながらだから、同時に魔法を二つ発動させなければいけない。

 だから、魔力の消費は著しい。集中力を持続させ続け、汗を拭うこともできず緊張感と不安を募らせながら一定を保ち続ける。どちらか片方でも少し途切れてしまえばそこで終わりなんだ。どうか察してほしい。

「・・・・・・・・・解けたよ」

 ようやく解析が終わっても、油断はできない。一度に魔法をとめてしまえば結界に弾かれてしまうだろう。徐々に魔力を弱めて、ゼロにして、そこでようやく安心して物陰に隠れる。

 足が震えるのをごまかすためにどっさりと地面に座り込む。ずっと呼吸を忘れていた感覚で早く浅く酸素を取り入れる。 

「認識阻害と攻撃魔法の複合だった。うっかり手を出すと腕が吹き飛ぶレベルの。その内側に本命の魔法がある」
「本命の魔法の正体は?」
「まだそこまでできてないよ」

 チッ、と短い舌打ちをすると、ネフェシュは水筒を投げつける。すんでで掴めたので、一気に呷る。前々と違って、ネフェシュの態度が酷くなっている。近くにいるからだけじゃない苛立ちや攻撃的な動作は、不可思議なマスコット的な見た目に反して人間めいている。焦っているのかもしれない。

「おら、少し休んだらすぐに再開しやがれ」

 口の悪さに閉口するものの、たしかにそのとおりだ。あえて危険な役を引き受けたシエナとルウを考えるとへとへで萎びている心に火が灯る。シエナには知り合いが多い。貴族、友達、仕事相手。彼らが皆シエナを助けてくれるわけではない。むしろ知らない素人ゆえに足を引っ張る可能性が高いし、ゲオルギャルスと繋がっている可能性さえもある。

 けど、だからこそいい。知り合いを通じてシエナが今隠れているという嘘の情報を流す。流し方はなんでもいい。手紙でもこっそり会いに来た風を装う。そうして俺たちの情報を広めてもらって敵を攪乱する。俺とネフェシュが地図に載っている印を調べる時間稼ぎと俺たちから遠ざけることが最初の作戦。


 ――――ルウ、そっちはどうだ?――――

 ――――ご主人様、シエナ様とマット様のお店にむかいます――――

 ――――それと、騎士隊が一つ帝都の外に出て行きました――――

 ――――そうか。こっちはけっこうな頻度で見回りをしているよ――――
 
 なら、当初の予定通りか。今ゲオルギャルスたちは、俺たちを捕まえるため躍起になっている。完全に蚊帳の外に置かれている人物への配慮などない。そう、俺の裁判に関わった人物たちだ。彼らが証拠を今も持ち続けているとかどうかわからないけど、ダメで元々。それに、まだ手段がある。作戦は一つじゃない。連絡をとる人物の中には騎士団長と対立している人物、政治家と軍の将軍にも協力を願うそうだ。こちらもダメ元だけど、こんなとき、シエナの顔の広さにおそれいる。

 『念話』が使えるから連絡も密にできる。互いの状況を伝え合えるし、騎士隊がどこにいるか教えることが可能で今後の行動がしやすくなる。欠点は俺とルウしかできないから、魔力がとてつもなく減っていくことか。

 確実な証拠を手に入れなければいけないと主張するシエナは、『念話』と絡み合わせた作戦を提案してきた。そんな簡単にいくだろうかとおもったけど、他に手立てがない以上従うしかない。それに、けど、せめてルウとシエナの組み合わせって・・・・・・・・・。俺とルウでも成立するのに。

 今、なにしてるんだろう。ルウ。君に会いたい。君が側にいてくれたら例え俺は魔力を失ったとしても己の血肉と魂を犠牲にして魔法を発動し続けられるのに。

 ――――気持ち悪い――――

 あ、『念話』発動したままだったの忘れてた。まだ完全に使いこなすのは難しくて心の声でさえ伝えあってしまう。ルウはそれが嫌なのか時折『念話』を無視してしまう。無視というより完璧に完成させたあと、に教えたことを
上手く利用しているだけだけど。あの子魔法の才能あるんじゃないかな。


 ――――あ、シエナ様。おやめください――――

 ん? なんかいきなりルウの声(心の)が。我慢しているのか、頻りに声が詰まっていて、なんかいやらしい。ちょっとドキドキする。


 ――――あ、んぅ、そんなふうにされると、私我慢できなくなります――――

「え!? おいどうした!?」

 ――――あん、そこはご主人様でさえ触ったことがないのに――――

 様子がおかしい。どこを触られているって!? ええ、おい!

「ルウ、どうした! 返事してくれ! ルウ、ルウウウウウウウウウウウ!」
「おいなんだってんだ」
「てめぇこのやろう! てめぇの主どうなってんだ!」
「いきなり叫んでいきなり掴みかかるな意味わかんねぇよ!」


 ――――ああ、かんにん。かんにんしてください。そんな気持ちよさ、今まで味わったこと・・・・・・ああっ――――
  
 艶のある声(心の)。決して普通の快感では味わえないであろうと想像できる嬌声(心の)。切なさを含んだくぐもった声(心の)。これは、ルウが今体験していること、ルウの本音。こんなことをシエナにされている。許せん。怒りで血管千切れそう。

「ルウの尻尾も耳も俺のものだああああああああああああああ!!」

 ――――さすが、シエナ様です。足の裏のマッサージがこれほどお上手とは――――

「ってマッサージかよ!!」

 立ち上がって走り出した瞬間、ズザザザアッ!! とずっ転んで顔を擦る。

「あんた、頼むから一人で怒って一人でツッコまないでくれ。傍目から見てもこえぇよ。『念話』一旦やめろ。バレそうだし」

 ネフェシュの心配に恥ずかしくなった俺は、改めて姿を歪ませる『紫炎』で温度と気温、風に影響を与えて蜃気楼現象を擬似的につくりだす。俺たちの姿を物陰に屈折させて、認識を他者から逸らすものだ。長続きはしない。風は微妙に変わるし、陽の光も時間とともに落ちていく。

 いよいよ本命である魔法陣に解析と侵入をする。途端に、音を上げそうになる。さっきの結界の比じゃない。やはり魔道士モーガンは伊達じゃない。まだ入り口にさえたどり着く前なのに、魔力を吸い取られていく。解析どころじゃなくなって、一旦とめる。

「はぁ、はぁ・・・・・・・・・」

 これは簡単じゃない。しかも、地図の印はまだまだある。すべてを明らかにするのにどれだけ時間がいるだろう。いや、生涯を費やしても俺には解析すらできないんじゃないか。牢獄にいたとき、おもいつきで描いた魔法の理論を書き写した羊皮紙がヒントになるんじゃないかと参考にしても無理だった。

 何度繰り返しても、同じ。永遠に無理なんじゃないかという途方のなさは、絶望に似ている。いろいろ試したけど、どうしてもできない。

 ふと、おもいついたことがある。義眼に備わっている魔法。まだ完成にはほど遠いあらゆる魔法の制御を奪う。なにか突破口に繋がるんじゃないか。ある過程を取り除いて使いやすくはなったと自信はある。けど、俺の完成さえしていない魔法で可能なのか? また失敗するんじゃないか? って不安のほうが大きい。それに、モーガンの言っていたこと。俺のつまらないこだわり、魔法への罵倒。悔しさ。モーガンが許せないっていう憤りと表裏一体である感傷が邪魔してしまう。


 ――――ご主人様、大丈夫ですか?――――

 『念話』でいきなりルウが問いかけてきて変な声を出しそうになった。そこから、今日二人のしたことが伝わってくる。騎士に見つかりそうになった、シエナの友達が泣きながらシエナを心配していた、政治家に追い払われた、軍営に入れたけど、半信半疑で協力は難しいんじゃにかってこと。ルウはなんでもないことのように伝えてるけど、俺は気が気じゃなかった。

 負けてられないな。

 それで、覚悟が決まった。ルウとシエナ。好きな子と親友の二人が危険を承知で行動に移してる。だったら俺も、自分が今できるすべてを使わなきゃいけないっていう勇気になった。

 顔の布を外す。瞼を縫い合わせている戒めを解いて、義眼を晒す。左の目とは違う見え方をしている違和感に酔うけれど、なモーガンの魔法に焦点を合わせる。

「っっ!」

 耳鳴りがするほどの情報が脳に直接流れ込んでくる。俺ではおもいつかない流れ、循環、理論、構築方法。習得方法。条件。必要な魔力量。そして隅々にまで行き渡っている繊細で大胆で複雑な全体の形。そうか、モーガンはこうして魔法を創ったのか、と感心してしまう。

 ここまではいい。副作用も、やはり少なくなっている。いける、と確信していても、どこか違和感がある。このままいけば制御を奪えるのに、魔法の仕組みになぜか違和感を抱いている。モーガンらしくない。後半にいけばいくほど中身が単調で雑で、間に合わないからとりあえず完成さえたという色が強くなって――――

「っ!? ぐわぁ!」
「どうした!」

 誤作動をおこした。どこかに罠がはられていたのか、モーガンの魔法が発動するのをかんじる。このままでは暴走するとおもったため、慌てて制御に全力を注ぐ。なんとか制御に成功したときには、景色が一変していた。

「なんだぁ、ここは?」

 長閑な緑色と土埃の大地が広がっていた。ここは、見覚えがある。かつて戦った場所。おびただしい死体と噴煙に塗れていた戦場。たしか共和国領内だったか。

 また、魔法が発動する。景色が急速に移り変わりながらぐん、とてつもない速度で引っ張られている。慌てて魔法の制御をしてとめたときにはまた景色がまた変わってる。帝国の国境近く。そして、帝都とはまったく違うどこかの街、城、拠点。どこにも共和国の旗があった。それらが意味することを理解するより、目まぐるしい変化に対応するより、終着が先にきた。

 どこの民家だろう。俺の工房に似た匂いを漂わせて全体的に木造チックな室内。大鍋に巨大な魔物の剥製。瓶詰めされた臓器の数々。あちこちに描かれた魔法陣。床に積み上げられた魔導書。不思議と落ち着く。手で触れてみたけど、幻覚じゃない。魔法の制御はできている。これも、さっきの場所も現実に存在してる場所。どういうことか?
「なんじゃ、このざまは!」

 叫びと衝撃音。悲鳴が隣室で響く。モーガンの声。慌ててネフェシュとともに隠れる。

「アコ―ロン! このできそこないめが!」
「ぐぎゃ! 先生、すみません!」

 部屋が壊れるほどの攻撃は、壁一枚隔てていても凄まじさと痛さを振動とともにありありと伝えている。ここは、もしかしてモーガンの住処なのか? 

「まったく、いつまで経っても・・・・・・・・・! わしは出掛ける! お前は部屋の整理をして仕上げをしておけ!」
「は、はい・・・・・・・・・。いってらっしゃいませ・・・・・・・・・」

 荒々しく扉が開いて、ふわっとまるで浮いているみたいなモーガンが飛びだしてきた。俺とネフェシュは急いで移動する。よろよろと体を引きずりながら登場したアコ―ロンは、全身傷だらけ。足も腕も折れて曲がっていて、無残だ。だけど徐々に傷が消えていく。たしか騎士団の営舎に行ったとき、火傷を負っていた。それに、ルウの話を聞く限りじゃ・・・・・・・・・。

 とにかく、このままじゃ見つかる。アコ―ロンに見つかるより先に脱出しなければ。ふと、机の上に広がっている魔導書を視界に入れてしまった。それは、俺の魔導書の内容。魔法薬と魔道具が詳細に描かれている。一字一句間違えていない。わかりやすく示した素材の絵も、行間の隙間も、文字の癖もまるで同じだった。

 ネフェシュがしきりに急かすけど、無視できない。他の魔導書もこっそりと中身を捲る。そしてある魔導書を開いて瞬時に中身の内容を理解する。さっき俺が制御を奪った魔法が記されている。どうやらあの魔法は、ある場所から別の場所へ移動するための魔法らしい。名前は『転移』。これは証拠に使えるんじゃないか? これがモーガンの魔法だって証明できれば。背表紙の名前を、そして表紙に目をやるけど、驚いて固まってしまう。
「誰だ!」

 バレたのか、と咄嗟に『紫炎』を放とうとするけど、ネフェシュが口から何かを連続で吐き出した。ドロッとしたそれはアコ―ロンの顔と足下に直撃、顔がブスブスに溶けていっているのか、白い煙とともに絶叫している。床が崩れて落下、その間に急いで魔法の発動点まで移動する。

 また、ランダムに景色が変わっていく。今制御できているけど、魔法を発動できる場所はたくさんあって把握しきれていない。ようやく見覚えのある帝都の片隅に現われて、ネフェシュの足に捕まって空中へと脱出する。アコ―ロンが追いかけてくるとは限らないけど、できるだけ離れたほうがいい。

「このくそやろうが。研究本意もいいかげんにしやがれ。命がいくつあっても足りねぇよ」
「そう言わないでくれ。おかげでアコ―ロンの魔法の正体と、地図の意味がなんとなくわかってきたんだ」
 
 もしかしたら、今日のせいで行動しづらくなるかもしれない。けど、確実に掴んだという安心感と危ない状況を切り抜けられて有頂天になっているのかもしれない。

「とにかく、あとはシエナ達と合流しないとな。それとこの魔導書について調べないと」
「ああ? その魔導書がなんだってんだ」

 建物の屋根に降りて、魔導書の背表紙と表紙を交互に見せる。

「それがなんだってんだよ。名前がない魔導書が、証拠になるわきゃねぇだろ」

 そう。モーガン『転移』の魔導書は名付けがされていない。つまりは未完成。中身の『転移』も途中までしか書かれていない。つまり、未完成だった魔法を使っていた。しかも最後のほうはモーガンらしからぬ雑さで完成させていた。失敗作で未完成の魔法を詰ったモーガンらしからぬ所業だ。

「それは、ゲオルギャルスとブルーノのやつとの関係で無理やり完成させたんじゃねぇのか?」
「モーガンは他人のために、中途半端な状態で仕方なく完成させる程度の魔道士じゃないだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・だとしても、証拠にゃ使えねぇし関係ねぇ。あいつがどうしてそんな中途半端なことしたのなんざ、興味ねぇしどうでもいい。わざわざ無駄な手間増やすことじゃねぇよ。後回しにしとけや。くそが」

 ルウとは違う容赦のない悪感情に、少しむっとするけど反論できない。
 
「第一状況ちゃんと理解してんのか? ああ?てめぇは。まったく、魔道士も魔法士もろくなやつがいねぇ」

 凄んでいるのか、顔をくしゃくしゃにして見上げている様子で悪態をついてくる。背丈の低さと見た目のギャップのせいでこわくはないけど。

「あのなぁ。そんな簡単じゃねぇんだよ。証拠ってのは確実なものじゃねぇとだめだ。てめぇがその魔導書を創っていたって否定する材料がねぇだろ。あっさり反論されて終わりだ。例えばあいつらの名前が書かれた手紙にお前をはめるって書かれたものとか。あとその魔導書がお前じゃなくてモーガンが創ったものだって証明できなきゃだめなんだよ」
「・・・・・・・・・じゃあやっぱりこの魔導書は無駄じゃないな」
「あぁ?」
「証明できればいいんだろ? できるかもしれない。この魔導書と、あの魔法を完全に制御して解明すれば」

 どうして『転移』がランダムで発動したのか。それは俺の魔法が完璧じゃないから。けど、あの魔法の謎を解いて完全に制御できれば。自由に『転移』を使えれば。

「いいことおもいついたんだ」

 ひとまず、頭に疑問符を浮かべているネフェシュを放置して、『念話』でルウに語りかける。
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