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過去編

シエナの苦悩

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 犯人はあっさりと逮捕できた。杖の中身には水の魔法陣と魔石があったそうで、おそらく一つの魔導具で複数の魔法を使用するためのものだろうとはユーグの談。魔石は簡単には手に入る代物じゃない。そこから販売している店を調べて購入者のリストを手に入れた結果だった。
 
 改造したことの雑な接着と魔法陣を追加したことで構成とか干渉がどうの・・・・・・・・・とユーグはぶつぶつ最後まで言っていた。最後まで彼は僕と仲良くなる素振りはなかった。どちらかというと、ネフェシュに興味をもったみたいだけど。とにかく感情的になったのも一度きり。ここまでくると僕は嫌われてるんだろうかって落ち込んでしまう。

 つくづく使い魔の似ている発言が尾を引いている。なんとなくもやもやとしたものを抱えて帝都を巡邏する。合間に仲の女の子たちと談笑しつつ役目をこなす。終わったあと、いつものように営舎に戻って食事をしていると庭で誰かの従者が剣術の訓練をしている。

「若いな」
「お前とそう年齢変わらねぇだろ」

 僕も騎士団入りたての頃、従者のときは毎日鍛錬をしていた。今は任務、つまり実戦で動く頻度が多い。鍛錬と実戦は違う。使う筋肉、動き方、剣の扱い方。どれもその場その場で判断が求められた動き方をしなければ生き残れないし勝てない。あの従者は、わかっているのだろうか。そういえば、最後に鍛錬をしたのはいつだっただろう。

「おい、シエナ。明日お前仕事だぞ」

 就寝前、歯磨きしていたら先輩騎士が仰天することをほざいてきた。そのせいで咽せてしまう。

「ゲッホゲフォ。ど、どういうことですか」
「大臣が公用で外に出るんだと王宮の警護しなきゃだから無理ってペガサス隊が突っぱねて、うちに警護が回ってきた」

 明日は非番だったのに。先輩はご愁傷様、と気の毒がるけどすたこらさっさと逃げてしまう。人手不足。騎士団はそれが顕著だ。そりゃあ憧れて入団してくる貴族は多いけど、やめていくほうが多い。少ない人数でなんとかやりくりしなきゃいけない。そのせいで休日出動や非番が消失、そのせいでやめる騎士が出て、と負の無限ループ。

 ネフェシュを抱きしめてもやもやを晴らそうとする。ネフェシュも今日は大人しく思う存分愛でさせてくれるけどどうも納得できない。お酒を飲んで気分を紛らわせようとするけど、逆にどうしようもない苛立ちが増していく。

「少し散歩しないか」

 ネフェシュの提案で、夜の帝都に出た。寝間着のまま外を歩くなんてはしたないけど、一々着替えるのが面倒臭い。時折見回る騎士とすれちがうけど、僕だって気づかない。夜風が涼しく、酔いで火照った体に心地よく少し頭が冷える。頭を上げると満点の星。こうして星を見るなんていつぶりだろう。


「懐かしいな。君と出会いたてのころ、よく星を眺めていたんだ」

 田舎から帝都にやってきたばかりの頃。都会の喧噪。やる気とは裏腹な不安。期待。興奮。失敗。様々なことがあったとき、なんとなくやっていたこと。故郷の星空は、こんなだったっけ、と。感傷に浸っていた。

「そうだったのか。俺はお前が女を口説く常套手段に利用しようって魂胆だとおもってたぜ」

 いや、たしかに奇麗な夜景を見れる場所探したりしてたけども。女の子と遊びに行くときの誘い文句にしてたけども。趣味と実利が一致したってだけさ。

「あのときのネフェシュ、荒れてたもんねー。僕に毎回突っかかってきてさ。喧嘩腰で」
「都合よく改竄するな。お前が難癖つけてきたんだろ。態度が悪いとか無愛想とか。誤認逮捕何度されかけたか」
「君が僕の関わる事件に毎回巻き込まれているのが悪い」
「だからってお前も。常に上から目線だったじゃねぇか。会うやつ会うやつ。プライドとか誇りとかどうとか。真面目が服着てるっていうのか? 意識高い系っていうのか? とにかく嫌なやつだったぜ、お前」
「それは・・・・・・・・・僕も若かったということさ」
「まぁ今は丸くなってるけどよ。それにしても毎回喧嘩腰だったのはなんなんだ」
「君が初めて会ったとき、あんなことをしたからだ。それに・・・・・・」

 きっと、あのとき僕はネフェシュを好きになり始めていた。お互い年齢が近くて反発し合ってたってのもあるけど、一番はそうなんだ。

 歩いていると、明るいエリアに到達したらしい。夜までやっているお店は居酒屋を中心としたものでそこそこ賑わっている。働いている人たちが今日の疲れを癒やし、明日を乗りきるための元気を補充するためか。店内は外の僕にも伝わってくるくらい活気がある。

 ふと、店から出てきた一団の中に見知った顔が。研究所で会ったユーグだ。珍しい。彼はこんなことしないタイプだとおもってたのに。寝間着姿を見られたくないことと彼の性格を鑑みてそっと離れる。

 まだ帰りたくない。けどお酒を飲む気分じゃない。人がたくさんいる場所は行きたくない。帰ったら寝なくちゃいけない。寝たら起きなくちゃいけない。護衛任務がある。

「はぁああああアアああ・・・・・・・・・・」

 なんだろう。悲しくなってきた。

「騎士やめちまえよ、もう」
「簡単に言ってくれちゃって」

 辞める。何度考えたことか。ネフェシュは一緒にいてくれるだろう。そういう呪いなんだから。たとえ僕を許さず憎んでいたとしても。どこか平穏な田舎で二人でゆったり暮らす。畑を耕して。貯蓄はたっぷりある。だけど辞められないのは勇気がないからか。今まで続けてきた騎士に対する未練か。ネフェシュに対する罪悪感と自責の念も強くある。

 蹲っていると、人の気配が。とぼとぼと肩を落としながら頼りない足どりから酔っているのだろうか。とにかく騎士として毅然とした姿を、と半ば職業病のように立ち上がり、通り過ぎるのを待つ。

「あれ、ユーグさん?」

 驚いてつい声を出してしまった。ユーグはこちらに気づくけど、胡乱げ。

「誰でしたっけ?」
「シエナです。騎士団の」

 まだ会わなくなって数日しか経ってないのにまさかもう忘れられてる? そこまで興味持たれてなかった? さすがにショックだ。

「今日はあの使い魔いないんですか?」

 なのにネフェシュのことは覚えてるんかい。というか、ネフェシュどこいった。よっぽど彼にされたことがトラウマになっているのか、きょろきょろすると天高く飛んでいってる。逃げやがった。寝間着姿なのがこの人に見られてるという恥じらいはしかし、無駄だった。ユーグは挨拶もそこそこに去っていこうとする。


 ――――昔のお前にそっくりだからな――――

 ネフェシュの言葉をなぜか今思い出してしまう。そして観察してしまう。あんな寂しそうな後ろ姿、僕してたの? それともあんなぶっきらぼうだった? 人に興味なさそうだった? 別段、通ってきた道を通れば営舎には帰れる。けど、本当に普段そんなことしない僕は、ついユーグが気になって追従する形に。

「僕も、こっち方向なんですよ」
「はぁ」
「それと、例の犯人逮捕できました」
「例の・・・・・・・・・とは?」
「ほら、魔導具を調べてもらったやつ」
「あ――――」

 心底どうでもよさそうな反応、適当な相槌だと伝わってくる心のこもってなさ。僕とこの人のどこが似ているっていうんだ。

「あの使い魔って、どこで見つけたんですか?」
「まぁ騎士の仕事をしているときに拾ったみたいなかんじかな?」
「具体的にどこで?」
 
 ネフェシュのほうに興味津々だし。なんだろう。ちょっと腹立ってきた。

「君は、楽しいこととかってあるのかい?」

 抑えてるつもりだけど、それでも隠しきれない。敬語を抜きにしてしまって語気は荒いけど、彼はそれすらどうでもいいみたい。それも、また腹立つ。

「なんなんですか、いきなり?」
「いや、もう。君は研究所のときにもおもったけど、覇気がない。ちっとも楽しそうじゃない。話し相手とのこともどうでもいいってかんじだし服もよれよれだし清潔感がない。仕事に対する情熱もなさそうだし、あらゆることに興味がないようにしか見えないんだよ」

 話せば話すほど怒りが湧いてくる。許せなくなってくる。

「こっちが仕事相手だからって気を遣ってるのもわかってないだろ。正直なんのために生きてるの? ってかんじ。もう植物か雲にでも転生しちゃいなよ」

 僕は騎士を続けている。それなりに悩みを持って毎日生きている。なのにユーグはどうだ。これは、八つ当たりだ。ネフェシュに素直に好きだと伝えられなず、仕事が嫌になって、毎日毎日毎日精神をすり減らしている僕が、違いすぎるユーグに対してストレスを発散させているにすぎない。

「本当に・・・・・・・・・最低すぎるよ・・・・・・・・・」
「あの、騎士殿?」

 さすがのユーグも、どう扱っていいか困惑している。そらそうだ。話しかけようとしてきたけど、ぎゃははは、と下品な笑いを浮かべる酔っ払いの集団が通りかかったせいで中断される。

「おいおい、痴話げんかかい?」
 
 そのうちの一人が、僕たちに絡んできた。酔っ払いの相手はめんどうだから無視していようとおもったけど全員が絡み始める。兄ちゃん女の子泣かせちゃだめだぞ~、おうちに帰って仲なおりしなちゃ~い、なんなら手伝おうか~、ってふざけはじめる。

 僕は元々感情的になりやすい性質だった。けど騎士になってから落ち着ける力を身につけられたって自負している。だからユーグの手を引いて離れるけど、それがかんに触ったのか。乱暴に肩を掴んで髪の毛を引っ張られる。押される。職務中なら逮捕もできようが、いかんせん今は完全プライベート。

 それでも、今の僕が喧嘩をするには十分すぎる理由で。感情のざわめきがあって。

「お?」

 地面に手をやって土系統の魔法、『錬金』でレイピアを出現させる。ちょうどいい。鬱憤がたまりすぎていた。男たちはさーっと青ざめるけど一人だけにたにた笑いながら逆に距離を詰めてくる。

「へぇ、やるってのか坊や?」

 どうやら魔法士だったらしい。そういえば騎士団で見かけたような。とにかくそいつは手から青い閃光を迸らせて、剣を形成する。雷の魔法。複数の魔法を組み合わせた珍しい。正直僕とは相性悪いけど、ここまできたら引き下がれない。にらみ合い、構えて、隙を探る。自然と二人が交錯しようとした――――。

「その魔法、あんたのオリジナルか!? それとも家系的なものか!?」
「「おおい!?」」

 シリアスな空気をぶっ壊して僕たちの間に乱入するユーグ。ギリギリでつんのめって止まれたけど、もう少しで頭から両断するところだったぞ。

「お前今どういう状況かわかってんのか!?」
「知るか! そんなことよりあんたの魔法だよ魔法! それ雷だろ!? 水と風と火三つの属性ないと発動できないやつだろ!? 初めてみたんだよ!」

「おいユーグさん?」
「やっぱり発動するのに遅かったのは三つの系統を同時に操作するからか!? それとも別の理由があるのか!? 他のはどんななんだ!?」
「おいユーグこら!」

 興奮しきった様子で質問攻めしまくる彼に、つい乱暴になってしまう。けどおかまいなしに観察したりうっとりした表情で魔法を眺めている。

 ええー。なにこの人こわい。

「てめぇいい加減にしやがれえ!」

 男は我慢の限界だったのか、剣を振り上げる。咄嗟の反応がワンテンポ遅れてしまう。ユーグの前に出ることも、彼の服を掴んで引っ張ることも間に合わない。

 ユーグは両手を掲げ、剣を防いでいた。青い閃光と紫色が激突して、自然界では発生しえない衝突音がけたたましい。あれは、ユーグの魔法なのか。火に見えるけど、色が違う。通常の火系統の色は赤。紫の火なんて魔法存在しない。一つたしかなのは奇麗だってこと。今まで魔法の美醜を気にしたことはなかったけど、心を奪われた。

「ふんっ!」

 両手の紫、『紫炎』が突如として爆発的に大きくなってそのままの勢いで相手を押し返す。単純な魔法の押し負け。それは魔法士、魔法としての強さに結びつく。相手も魔力を増大させて対抗したみたいだけど。それだけで自分が不利だって自覚したのか切羽詰まった表情に。

「いやぁ、雷の魔法ってすごいなぁ。あなた名前は? どこに住んでる人? 今度実験させてくれない?」
「い、いい加減にしろぉ!」

 魔法を解除したのが仇になったのか、男が放った閃光がユーグの体に直撃。そのままユーグが倒れ込む。男たちを警戒していたけど、一目散に逃げていった。

「おい、大丈夫か!?」

 慌てて駆け寄るけど、余波が続いているのか身体中が痙攣している。死にはしない。今までの経験則が本能的に告げるけど、それでも心配しない理由にはならない。

「す、」
「す?」

 何か喋ろうとしている。とすると意識はあるのか。ほっと安心しながら次の言葉を待つ。

「すげぇ・・・・・・」

 ・・・・・・・・・え?」

「こ、これが雷魔法・・・・・・・・・初めてくらった・・・・・・・・・」

 感動してる? え、うそでしょ?

「やっぱり実際に体験しないとわからない・・・・・・・・・今後の研究に・・・・・・・・・」

 どうか魔法のせいでまともに思考できなくなっているからの戯言であってほしい。けどうっとりと高揚した頬に嬉しそうな笑みは、そうじゃないって教えている。

「本当に・・・・・・・・・」

 ネフェシュは、こんなやつと僕のどこが似てるっていうんだ。
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