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六章

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 だだっ広い空間の中心には三角錐型の石で組まれた巨大な祭壇。足を踏み入れたからか、至るところにある燭台に火が灯る。そして燭台から少しずつ火が移動していく。荒く切り整えたであろう、ごつごつとした岩肌がむきだしの天井中心部に集まって眩い光が誕生した。人工の太陽が如く、明るく照らしつくす。

 二階、三階に繋がる階段が所々にあって、おそらく百以上はあるであろう巨大な書架がアーチ状に連なっている。まるで図書館だ。今までの遺跡にふさわしい景観と打って変わった空間が、一際異質さを醸しだしている。歩いて周囲をぐるりと警戒しただけでも、背筋がぞくぞくする。

 三日かけて二つ目の魔法陣を突破した俺達が、それからも散々罠や仕掛けを掻い潜って、辿り着いたここが最奥部に違いない。いや、というかここであってくれ。もう終わりでいい。俺はまだましだが、ルウは足にきてる。ガクガクブルブル状態。何日も遺跡なんて狭くて暗くて不衛生なところにいて精神的にも肉体的にも限界だ。

「ここに大魔道士が残した魔導書があるのでしょうか」

 大魔道士の魔導書があると確信しているルウの口ぶりに、少し違和感を抱いたが、ルウは目がいいから普通の本ではなくて魔導書だというのがわかったんだろう。

「そうだろうな。そして、触ったらきっとなにがしかの呪いがかかる偽物だ」

 呪いと聞いて、取ろうとしていた手を慌てて引っ込めた。この遺跡に入って呪いがどんなにおそろしいか、散々体験しているからだろう。

「ではどのようにすればよいのでしょうか? またなにか仕掛けがあるのでしょうか?」
 それを考える、仕掛けを突破するのを悩むのも楽しみだ。

「ご主人様、研究・魔法好きで片付けてはいけないお顔になっています。なにかに取り憑かれたか、あぶない薬の中毒に罹っている人のお顔です」

 だって今までの罠や呪いを鑑みてみろ。一度発動して十秒以内に解かなければ一生液状化から解けない呪いとか、宙に浮き続ける魔法とか、別々の魔法を放つ壁・床・天井とか、そもそも死後も続いているそんな魔法をどうやって創ったのか。頭を悩ませているときもそうだが、上手くその魔法の数々を突破して、または無効化して、解き明かしたときの爽快感といったら――

「最後の最後だぞ? そりゃあ期待するだろ」
「大魔道士もきっとここまで侵入者にわくわくされながらやってこられるのは予想外だと思うのですが」

 まぁなにはともあれ、まずは魔導書の謎を解き明かすこと。

「ん?」

 一冊の魔導書を具に観察していて、眉を潜める。触れないようにぎりぎり近くへ寄ってみる。書架に詰まっている魔導書も、すべて。そしてこれらがなにを意味するのかわかってがっかりした。

「早く大量にある魔導書の仕掛けをどのようにして解くかお考えください」
「いや、もうわかった」
「え?」

 偽物と本物を区別する方法。それは魔導書の材料。どんな材料を用いたのか、それは色と外見だけで判断できる。大魔道士が生きていた時代の魔導書は、装丁がされていない。時代的にする余裕がなかったから。それと時代にあった材料と当て嵌めればすぐに本物の魔導書を見つけられる。

 大魔道士の時代で創られた魔導書の材料。それは生きた人間の皮膚だ。薬草や植物、魔物、動物。それらは加工や入手に手間がかかる。だから古代では使われた痕跡がない。人間なら簡単に手に入れられる。生きている人間の身体は血液や精液、髪の毛一本に至るまで少なからず魔力が宿っている。 そんな単純な発想で残酷なことをしていた過去の魔道士には敬意と恐怖を抱く。

 とにかく、本物の魔導書の特徴を、ルウに説明した。案の定、ルウは顔を少し歪めた。そうして、二手にわかれて捜索を開始することになった。どこかに罠があるんじゃないかって警戒したが、それもない。だから、俺としてはテンションが下がってしまっている。

最後の最後でこんな簡単なことで解けてしまうだなんて、正直がっかりしたのが大きい。大魔道士も最後の詰めの部分で緩んだのだろうか。面倒臭くなったんだろうか。

「大魔道士の仕掛けをすべて突破して魔導書を持ち帰れるというのにがっかりしているとは。ご主人様は頭がおかしくなっているのですか? もう魔道士や研究者ではなく冒険者か探検家に転職なされてはいかがですか?」

「はああああああああ・・・・・・」
「急激にやる気が失せてしまったところ恐縮ですが、とにかく本物の魔導書を」

 そんなこんなで、二人できょろきょろと探し回っていたら ルウが見つけた。説明したようにシンプルな見た目、色も人皮の特徴そのもの。

「不思議です。あれだけ苦労したのに。達成感や満足感より疲労や帰りたいという気持ちのほうが強いです」
「ああ、俺もそうだ」

 なんにせよもうここに留まる必要がない。早くここを立ち去ろう。合成獣の一部も手に入れられているし、ここにあった魔法陣や罠は、どれも羊皮紙に記している。後日、また詳しく調査しに来られるし。

「ご主人様、少しよろしいでしょうか」
「ん? なんだ?」
「古代の魔導書と現在の魔導書というのは、製法が違うのでしょうか」

 ? このタイミングでおかしなことを聞くな。

「多少の差異はあるが、それほど違わないぞ」
「そうですか。変ですね。なにゆえでしょうか」

 おもわせぶりな口ぶりに、一抹の不安が過ぎる。まさか、あの大魔道士がこれで本当に終わらせるだろうか?



「なにゆえこの魔導書には名が刻まれていないのでしょうか」



 え、と驚く余裕も、表紙を捲ったルウを止める間もなかった。魔導書が発光して、緑色の煙状のものが本から次々と溢れてきた。煙は瞬時に室内に広がっていって、それに呼応したのか書架からすべての本が飛びだしてきた。まるで鳥のように開かれた本達が、宙に飛び、怪しげに光り出す。

 閃光が走った。その閃光がルウに当たる前に無理矢理肩を掴んで引き寄せる。胸の中で抱きながら『紫炎』を放つも、光は『紫炎』を通り抜けて、俺に直撃。

 それだけで身体が固く、動かなくなった。足下から石化していく。本達が発する閃光は次々と襲いかかり、当たる度に異なる痛みを生じさせる。熱い、冷たい、痺れる、焼ける、溶かされる、砕かれる、斬り裂かれる、刺される、圧し潰される。ありとあらゆる痛みが、思考を連続で途絶させる。

 いつの間にか俺を覆っているガスのせいか、視覚と聴覚、嗅覚が失われた。なにもかんじられなくなってきた。痛みすらすでに麻痺する攻撃で、意識が遠のいていく。

 流石は、大魔道士。あの魔導書も罠で、本命はこれだったんだ。油断させて、しっかりと侵入者を罠に落とす。きっと、大魔道士は至極満足だろう。最後の罠を見抜かれることなく、殺せるのだから。いや、きっと俺が馬鹿だったんだ。他の魔法士だったら、過去の魔道士達だったら、こうはならなかった。やっぱり、俺はだめな奴だ。

 それにしても。この罠はなんだろう。どうやって創ったのか。魔導書が放つ光はそれぞれ違う効果を持っているけど、それも大魔道士が一つ一つ創ったのだろうか。

 ルウは、大丈夫だろうか。逃げてくれていればいい。逃げてくれ。もう動けない。せめて助かってくれれば。

 薄れていく意識が、鈍い痛みを知覚した。白くなっていた視界が徐々に周りの輪郭を取り戻していく。呼吸できなかった弊害か、震えて上手く動かせない身体の感覚もゆっくりと元通りに。体中を覆っている石片がぺりぺりと剥がれ落ちている。ガスが、晴れていく。魔法もなにもきかず、俺を閉じ込めていたガスは風に吹かれて揺蕩う自然さではなく、海の波と同じようにして、どこか機械的な不自然さで引いていく。


「ご主人様、ご無事ですか!」

 声を大にしている、ルウが咳き込みながら現れた。

「ルウ、せっかく来てくれて悪いが、ここは危ない、逃げるんだ・・・・・・」
「もう大丈夫です。」

 自信満々のをルウが言ったとおり、俺達を包んでいた煙は既に周囲にない。あちこちに僅かに残っているものも、徐々に消えていっている。その煙の発生源、今もなお開いたページからもくもくと緑色の煙をもくもくとあがらせていた魔導書(囮)に、火がついている。

「ご主人様のおかげで、あれに捕まることはありませんでした。そのあと、煙の中に入ってご主人様をお助けしようとしたのですが、弾かれて無理でした」
「弾かれた?」
「ええ。まるで柔らかい布団に跳ね返されたみたいで」
「感触は? そのときの内部の状態は? 煙の形状は?」
「そして、どうすればよいか、至らぬ頭で考えた結果あの魔導書自体をを燃やしてしまえば煙を消せるのではないかと。その考えは正しかったようです」

 俺の質問はしっかり無視されてしまった。きっと着ていた衣服と燭台の火を利用したんだろう。少し破けて胸の谷間が露出していて、直視できない。

「ありがとう。おかげで助かった」

 火の勢いが強く、既に魔導書(罠)は形を保ちつつも黒炭になっている。煙も、既になくなっている。周囲にある本ともなにか共有がされているのか、不自然に火がついていってぱたぱたと床に落下。せめて、あの緑色の煙はどうやって創りだされたのか、他の魔法のことも調べてみたかった。けど、命があるだけましだろう。すぐ隣から、溜息がした。俺の思惑を察してルウが呆れているのかもしれない。

「しかし、結局本物の魔導書はどこにあるのでしょうか」

 それだ。いつの間にか、大量にあった魔導書達も姿がない。それどころか書架、二階も三階も消えている。ほの暗く、古い儀式で使われていた祭壇が中央にあるだけだった。まさか、ここで終わりではなく、まだ先があるのでは? というワクワクが。

「あの祭壇を登ってみよう。一番高いところから見渡してみれば、なにかわかるかもしれない」

 また呆れているルウに逃げるように背中をむけて立ち上がる。無駄に多い段数がもどかしかったが、登りきった先、きっと人かなにかをのせることに使っていたであろう台座に、何かがある。さっきのことがあるから警戒する。そのシルエットがあきらかになるに従って、まさかという予感がどくんどくんと心臓の鼓動を早める。

 手にとって、それから伝わる尋常ではない魔力の波動。手触りと材質、最後に刻まれている名前。情報すべてから導きだされる正体に、おもわずガッツポーズをしてしまった。

「ご主人様、もしやそれが?」
「ああ、これこそ本物の魔導書だ」

 罠もないことは確認した。一体どれほど価値があるだろうか。この世に存在する宝石も絵画も美術品も、これには敵うまい。古ぼけてくすんでいることさえ、尊さをおぼえる。ページを開いて、ぱらぱらと簡単に捲っていく。ざっと見た限りでは、どれも古代の文字が使われている。だから、どんどんな内容が描かれているのかまだ不明。だからこそ、想像と期待が刺激される。

 伝説的存在、大魔道士の魔導書。発見したのは俺が初めて。歴史的に貴重な意味があるものを手に入れて、感動と衝撃で手が震える。どんな内容なのか。すべてを調べるだけで人生を終わってしまう可能性もある。それでも、きっとこれを解読する奴は夢中でしてしまうだろう。俺だったらそうなる。

「ルウ、ありがとうな。お前がいてくれてよかった」

 感極まって礼を述べる。実際この子が一緒だったからどうにかできたという場面があった。

「そのような。私はご主人様の奴隷ですし、逆に足を引っ張ってしまいました。最後のあの煙だって、私が」
「いやあれは俺が悪かった。お前は悪くないよ。本当に・・・・・・感謝を形で表したいくらいだ」

 ははは、と軽い調子で笑う。大袈裟に、じゃなくて本気のつもりだ。けど、きっとルウは奴隷だから、と受け流すだろうな。

「では、早速お言葉に甘えて、お願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」」

 おお、早いな。けど即決するルウもかわいくて素敵で・・・・・・うん。やっぱりいとおしいな。

「ああ、なんでもいいぜ」

 そう答えて、後悔してしまった。解放してくれ。そんなお願いをするんじゃないかって予想してしまった。それ以外、ここでルウがお願いすることなんてない。まさかこんな状況で、選択しなければいけないときがくるとは。聞きたくない。断らなければ。
 
「そうですね・・・・・・それでは・・・・・・・」
 ためらっているのか。俺が断るとおもっているのか。なかなか口にしない。俺を慮っているのか。真剣な様子のルウに、自分を恥じる。泣きそうになるのをなんとか太ももを抓って耐える。心の中で訴える。やめてくれ。どうか違うことを。





「それでは、その魔導書を私にください」
 幸か不幸か。最愛の人の答えは、予想を大きく覆すことだった。
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