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第三章

3-8*

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 長旅で疲れているであろう彼にお茶も、夕食さえも出すことをしないで、私は再会できた喜びのまま彼に伝えた。レーヴァン、あなたに抱かれたい。

 考えたくはないけれど、これが最後の機会になるかもしれない。私は、レーヴァンを失うと思った時に心の底から湧きあがる感情に自分自身が驚いた。彼を失うなんて、耐えられない。

 彼を戦地に送り出したくはない。その私の結論は、彼を私に繋ぎ止めることだった。

「い、いいのか……クローディア」

「いいの、レーヴァン。あなたに私の初めてを、貰って欲しいの」

「……っ、クローディア」

 戸惑うように私の名を呼ぶ彼の頬をもう一度手で挟み、そのグレーの瞳を射るように見つめる。すると、その瞳の奥に欲情の火が灯ったように、瞳の色が変わり私はぞくっとする。

 私は今から、彼という獣に食べられる。

 噛みつくように、私の唇にむしゃぶりつく。口を開くとヌルっとした舌が入り込み、私の口内を蹂躙し始める。お互い、獣のようだ。はっ、はっ、と息を荒くしながら唇を重ねると、吐息とも喘ぎともとれる声が漏れてくる。

「レーヴァン、愛しているの……お願い、私を貫いて!」

「あぁ、ああ! クローディア、本当に、いいんだな。もう、止められないからなっ」

 ちゅ、じゅるっと音を立てて唇を重ねる。それはもう、子供だましのキスではない。お互いに舌を絡ませながら相手の口の中に唾液を入れる。ゴクン、と飲めばレーヴァンは満足したように少し顔を緩めた。

 私の腰にあった手が、まさぐるように上に這ってくる。こうなることを予想していた私は、何も下着をつけていない。柔らかな布のその下にある乳房を、ゆっくりと、下から持ち上げるように触り始める。

「ディア……、柔らかいな。それに、温かい」

 服の上から剣だこの出来た固い手が私の胸を撫でている。もっと激しく、直接触って欲しい。

「ベッドに行こう、ここじゃ、君が辛い」

 ちゅぱっと重なっていた唇を離したレーヴァンが優しく囁く。部屋の奥にある扉を開けると、そこには寝室がある。彼に合図をするようにコクン、と頷くと彼はさっと私の膝裏と脇に手をいれて横抱きにした。

「レ、レーヴァン、歩けるよ」

「いや、いいんだ。あいつも抱いていただろう、俺の方が力はある。それに、初夜に夫はこうして妻を抱いて、新居に入ると聞いたことがある」

 そう言ってスタスタと歩き始める。あいつ、というのはクレイグのことだろう、誘拐事件のあった日に私は確かに、レーヴァンの目の前でクレイグに横抱きにされていた。

「う、うん」

 初夜、という言葉を聞いて思わず赤くなる。まだ結婚式も何もしていないけれど、私たちは結婚することが約束された婚約者同士だ。それに、できればすぐにでも書類を整えて結婚したい。それしか、彼を留める方法を思いつかない。

 ふわり、とまるで大切な宝物を置くかのようにベッドに降ろされる。二人が寝ても十分に大きいサイズのベッドには、真新しいシーツが敷かれている。今日、レーヴァンと夜を過ごすことを決めて家令にも伝えてある。私が決心することを待っていた父も今更、反対などしない。でもさすがに今夜は、屋敷には帰ってこないと連絡があった。

「レーヴァン、脱ごうか?」

「いや、いい。俺が……脱がせたい」

 少し薄暗い部屋の中で、レーヴァンは私のドレスの後ろの紐を解き始める。シュルシュルと音をたてて抜かれていくリボンが落ちていく。そして最後の一本が抜けると、後ろから腕を外してドレスを引き抜かれた。

「クローディア……きれいだ」

 もう、身についているのはショーツだけで、腰のところを紐で結ってあるだけだ。雨が激しくなってきたのか、窓に打ち付ける音がする。この部屋にあるもわっとした蒸気は、雨による湿気だけではない。

 さすがに胸を両腕で隠していたけれど、その腕を取り払うように広げさせられる。ベッドの上に二人で座りながら、腕を持たれるとその振動でプルンと白くまろやかな乳房が揺れる。それをレーヴァンは舐めるように凝視していた。

「その、そんなに見られると、恥ずかしいんだけど……レーヴァン」

「あ、いや……大きくなったなって。うん、知っていたが、ここまで育っていたんだな。白くてピンク色の乳首をしていて、あぁ、可愛いよ」

 蕩けたような目をしたレーヴァンは、今度は私の乳房をその両手で捏ねるように揉み始めた。

「んっ、ンんっ……はぁっ……、あぁ……」

 胸への刺激が、甘く私を喘がせる。既に上気した頬と同じようにピンク色をした乳輪をレーヴァンが指でなぞる。そして口に含むと、ちゅるっと音を立てるようにして乳首を吸い上げた。

「ああんっっ、んっ」

「ここ、こんなに固くなってる」

「も、もうっ……、レーヴァンだから、だよ……」

 はあっと息を吐いたレーヴァンが、口に含んだ反対側の乳首を指で捏ね始めた。ピンっと弾けさせると同時に私はビクッと身体を震わせた。

「ひあっ」

 情けない声が出てしまうが、それにも関わらずレーヴァンは私の乳房を揺らしながら吸い付いてくる。胸の間で彼の髪が揺れている。強く、そして優しく胸を揉んでくる彼はまだシャツを着ていた。

肌を合わせたい、だから脱いで、と私は服のボタンを触るとレーヴァンが、気がついてニコリと笑った。

「俺、まだ脱いでいなかったな。ゴメン」

 上体を起こしたままちぎるようにボタンを外すと、シャツを放り投げた。細身だけれどぴっちりとついた筋肉は、少し汗ばんでいる。視線を下にすると、もう既に下穿きを突き上げるように男根が大きくなっているのがわかる。
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