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初めてがいっぱい 2
しおりを挟む「まずは、アクセサリー・ショップかな。」
市場の中でも、ちょっとした高級品も扱うアクセサリー・ショップに入る。自分のつけるアクセサリーも選ぼうかと思って宝石類のコーナーに行くと、レオンも一緒に来た。
「気に入ったものがあれば、遠慮なく言えよ。今日、俺はお前の彼氏だろ。普段は何もつけていないけど、お前には綺麗な石が似合うよ。―――お前も綺麗だからな。」
おーい!どうしたこの変態皇子!と、心の中で叫んだ私は、砂糖菓子のような甘さにしびれていた。
「えぇぇぇぇ、えっと、じゃあ、これとかどうかな。」
目についた紫のアメジストの指輪を選ぼうとして、やっぱり指輪は意味深すぎると、手をひっこめた。指輪は、婚約式で交換するアクセサリーの代表でもある。
「アメジストか、まぁ、妥当な石かな」
そういうと、レオンは紫色の石のピアスを見つけた。サッと支払いをすませると、その石をギュッとにぎり、『サーチ』とつぶやいた。
「ホレ、お前、危なっかしくて目が離せないから、探査機能をつけておいた。」
と、サラッと高等魔術を披露すると、買ったばかりのピアスを一つ、私の耳につけた。今日は何もつけていないピアスホールに、一つだけ、紫色のピアスをはめた。
「え、片方だけ?私、両方にピアスホールあるよ。」
レオンはそれには答えず、自分についている赤色のピアスの一つを外し、紫のピアスを自分の片耳につけた。そして、外した赤色のピアスを私の空いている方の耳に、つけた。
「この赤のルビーには、かなり強い防御魔法が付与してある。外すなよ。」
赤と紫、ルビーとアメジスト。まるでお互いの目の色のピアスをつけると、本当の恋人どうしになったような感覚に襲われる。今日のレオンは、いったいどうしたのだろうか。
すごすぎる。
「その防御魔法も、レオンが付与したの?」
「ん、まぁな。強力になるように、こいつは何回かに分けて、層を厚くしてある。」
「魔術って、ほんと役に立つよねぇ。私の妖力なんて、ちょっとした意地悪しかできないし。」
「そうか?このピアスみたいに、1回分を石に付与とかできれば面白いよな~。」
考えたこともなかった。妖力自体は、たいして役に立たないものと思っていたが、確かに発想を変えてみると面白いのかもしれない。
「そうね、恋する女の子とかなら、好きな人の前で帽子が飛んで、受け取ってもらう、みたいなシチュエーションとか、いいかもね。」
「そうそう!妖力だって、意外な需要があるかもしれねぇだろ。」
「そうねぇ、貴石に付与、はしたことないけど、今度ためしてみようかな・・・」
レオンといると、おしゃべりしているだけで、ワクワクするような、くすぐったいような感情が出てくる。楽しい時間が、もっと続いてほしい、そう私は思っていた。それが、何を意味するのかは、まだ気づかなかった。
*********
ランチタイムが近づいてきた。
「お腹すいてきたけど、どうしようか?どこか知ってる?」
「お前・・・俺の完璧なデートプランを疑うのか?」
まさか、レオンがそこまで計画しているとは想像していなかった。
結局、おしゃれで美味しいと人気の、レオンの予約していたレストランに入った。男女二人の組み合わせが多い。人気のデートスポット、といった感じで、パティオに面したガーデン・ビューの席へと案内された。
「こんなおしゃれなレストラン、初めてかも。」
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