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魔女っ子婆さんの提案

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 メアリーはアンリから貴重なアイテム、武器や防具が入ったメアリーはアンリから貴重なアイテム、武器や防具が入った魔法袋マジックバッグをもらった。

すごいわね。ホントに……
魔女っ子婆さんのステータスを見てやろうかと思いスキルを開いたが何故か赤いバッマークの表示が出て見ることが出来なかった。

 メアリーはエプロンを付けてミンジュン達が作った料理を慣れない手つきで皿に乗せる。

 テーブルに置かれた料理を真ん中の歯がないカエナと坊主頭のサジはもの凄い勢いでバグバグ食べ始めた。

 そんな元気な彼等を見て呆れ果てるアンリだが、
 メアリーの顔を心配そうに見つめている。

「のうメアリーよ、盗み聞きするつもりはなかったんじゃが…その…なんじゃお主は学校はまだ行っておらんのかえ??」

「ハイ、今まで村から出た事が無かったので」

 アンリはメアリーの額に手を当て、魔力を解放した。
「過去視魔法《パストヴィジョン》」

「うむ、なるほどのうお主は色々と苦労して今日まで生きて来たようじゃな!
 そこでどうじゃお主にワシの知り合いで1人紹介したい人物がおるんじゃが??」

「えっどういう方なんですか?一体??」

「そやつは学園《アカデミア》の学園長をやっとるんじゃがもしかするとお主にとって良い条件で入学できる方法がないかと思うてのう?
 ワシじゃわからんので近々また連れて来てやろう」

「でも私…お金なんか持って無いんで学費とか払えないですよ?」

「今は無いという事かの? そこの若い男供に聞きたいのじゃがこの町に冒険者ギルドはあるんかの?」

 アンリに手招きされ、お茶を持ってミンジュンとカイラが席に着いた。

「冒険者ギルドって確か別の大陸に存在する
 団体だよねカイラ?」

「そもそもこのシルヴァニア王国で、いやこの近隣諸国でもそのような組合は存在しないんですよ」

「ほう、それならこの店でこの大陸初のギルドを結成してみてはどうじゃろうかの? そうすれば人や物の流通、さらには店の客も増えて儲けも増えると思うんじゃが」

 アラっ!この魔女っ子婆さんなかなか面白い事を言うじゃないの
 確かにRPGのゲームのようなギルドを作って依頼とかをガンガン受けて冒険者にクエストとかで儲けさせて宿、アイテム、飲酒や食事でお金を落としてくれればいい儲けになるわよねー!

「どう思うカイラ?」

「たっ…確かにそれは面白いと思います。ですがそれにはこの町の領主様や有力貴族達の承諾が必要になります。
 しかし我々にはそのような後ろ盾が無いので‥」

 そこへメアリーが、何かに気づいたのか手を挙げた。

「あのう それにこの店はそれ程大勢の人が入れるスペースは無いですよ」

「場所はここをワシの合成魔法で3階建てにして1階を引き延ばしてギルドにすれば良いのではないかのう」

 部屋を伸ばす?
 あまりに非現実的な発言にミンジュンとカイラは顔を見合わせているがメアリーは表情から察するにどうやら実現可能だと思っているっぽいわね。

 まぁそりゃ長年苦しんだ顔の火傷と足の怪我をあっさりと治したんだものね
 とりあえず3人に声をかけるか

「ねぇ皆ちょっといい?あと魔女っ子さんちょっと待って貰えるかしら」

「うむ、みんなの意見をまとめようって事じゃな」

 とりあえず奥でメアリーやミンジュン達の意見を聞いてみる…と、メアリーは店に貢献が出来るのならば是非ともやりたいと言っている。
 ミンジュンとカイラも店の集客にもなるだろうし勇者としての経験も活かせるという事で賛成だそうだ
 ………ただカイラは果たして領主や貴族達に了解を得られるのか不安なんだとか。

 アタシ達は魔女っ子婆さんに我々の承諾の意思を伝えると彼女はあらかじめ準備していた魔法を杖から放った。彼女の持っている杖が強く光り輝き出すと、地震かと思うくらい店が上下にグラグラと強く揺れだして更にまた左右に強く揺れた。元の世界にいた頃に味わった大震災を思い出したわ。

「うわあぁぁぁーっ! 神様が怒ってますー!」

 メアリー達は柱にしがみついて口をパクパクさせながら驚いているわねーっ!そりゃそうよね地震なんて今まで体験した事なんてないでしょうし。
 童2人は平気なのかしら普通に腕を組んで堂々としている。その後、一瞬ものすごい衝撃に見舞われたかと思ったらピタリと止まり、魔女っ子婆さんの合成魔法とかいう不思議なチカラで3階建てになったそうよ 。ちなみに1階が冒険者ギルドの受付なんだけどコレがまた結構なスペースがあり、酒場並みじゃないの! 今アタシ達がいる2階が少し広くなったミンジュン君の店、そして3階は部屋数が増えて宿泊する事も可能になっているとか…
 アタシとメアリーの部屋はどうなったのかちょっと確認して来ようかしら♪
 階段を上がり、3階へ行くと部屋が10部屋あった。アタシ達が使っていたベッド以外何も置いてなかったハズの殺風景な部屋を開けるとそこには机、タンス、そしてなんと水栓のトイレとシャワールームがあった。一体何がどうなってんのかさっぱりわからないんだけどね
 2階に戻るとあの魔女っ子婆さんはすでにお会計を済ませて帰る用意をしていた。

「すいません何から何まで私なんかの為に……」

「よい、誕生日プレゼントじゃよ。お主明後日で12歳になるんじゃろ?」

「えっそうなのですか?私、自分の誕生日とか知らないので……」

「そうなのかじゃまたメアリーさんのお祝いしないとね」

 アラっ本人も分から無かったんじゃしょうがないわね~っ まぁまたアタシ達もタイミングを見計って祝ってあげるかな

「おぅ そうじゃあとこの童2人はここに置いていくぞい。これからのお主らにとって少しくらいは役に立つじゃろうしのう」

「何言ってんの?  意味わかんねーし」

「ハァ、 どういう事だオイ?」

 サジとカエナはまるで何かに取り憑かれたかのようにアンリに猛抗議し出したがそこへメアリーとミンジュンが2人の前に来て、彼らに頼み込む

「サジさんにカエナさん!私達……その初めての事なのでこれからどうしたらいいか分からないんでどうか力を貸して貰えないでしょうか?」


「うーん……まぁでもここの飯もまぁまぁ美味かったしどうするよカエナ?」

「いいんじゃないの!どうせ学園《アカデミア》に戻ってもあのくだらない退屈な講義受けなきゃいけないしー!まぁどの道アタシ達は退学だしね」


 あらまぁ退学って?
 この童2人は一体何をしたんだか??

「あとこの町じゃがな、どうやら少し厄介な奴らに狙われておるようなのでくれぐれも気を付けるようにのう」

 そう言って魔女っ子婆さんは突然スーッと消えていった。


夜、寝ているアタシの耳元で囁きがするのよね
「勇者を抹殺しろ!」ってしつこくしつこく、
コレ本当に耳障りだわ。
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