10 / 21
10.目障りな女の代わりを用意すれば済む話じゃない♪~ラビニアside
しおりを挟む
やっとあの女、アシュリーがいなくなってくれたわ。
帝国へ行ったからさぞかしひどい目にあっていることでしょうね。
……いい気味だわ。
小さいころからあの女は目障りだった。
勉強も碌にできないくせに、自分より早く生まれた王妃の子供というだけで、時期女王と呼ばれることが。
私は勉強なんてしなくても簡単にできるというのに、やっぱり平民の血が混じってるから出来が悪いのが生まれたのかしら。
おまけに野蛮な騎士団に混じって騎士の真似事なんてして、馬鹿じゃないの?
お母様だって。
「ラビニア。貴方がこの国の女王になるの。あんな平民の子じゃなくて。由緒正しき、侯爵家と王家の血を引く貴方がね」
「はい。お母様」
そう言ってたもの。
王家に汚らわしい平民の血が混じったものがいることが間違いだわ!
時期女王にふさわしいのは、この私なんだから!
あいつが帝国で辱めにあっている姿が見れないのが不満だけど、もう私には関係ないことね。
ラビニアはいい気分を更に引き立てようと、侍女から出された紅茶を口に入れる。
「……なにこれ?」
「王女殿下? どうかなさいましたか?」
ラビニアは、お付きの侍女の言葉に耳を貸さずに床にティーカップを投げ捨てる。
ガシャン! と激しい音とともに、ティーカップは粉々に割れる。
「こんな泥水みたいなもの飲ませてどういうつもり?」
「申し訳……ありません」
「なんでいつもみたいなお茶を出せないわけ? あたしのこと舐めてるの?」
「そんなことは決して……」
「じゃあどういうこと?」
「それは……」
そういわれても侍女は答えられない。
なぜなら、今までラビニアに出すお茶を用意していたのは、この侍女ではないからだ。
そう、今までお茶を用意していたのは、アシュリーのお付きの侍女だったアリアだった。
この侍女は、自分でお茶を用意するのがめんどくさくて、お茶を出すことしか満足にできないアリアに、すべてやらせていた。
「すぐに新しいものを淹れてきなさい!」
「はいっ……!」
ラビニアは、せっかくの気分を台無しにされた怒りもあって、侍女に新しい紅茶を淹れさせる。
最も、今までアリアがお茶を用意していたわけで、アリアがいない今、ラビニアがいつも飲んでいたおいしいお茶を飲むことは、もうできないのだが。
それから新しく侍女が持ってきていたお茶も、やはりラビニアは気に入ることはなかった。
「……あなた、もういらないわ」
「え?」
「お母様に頼んで、貴方の縁談組んであげるから、さっさと私の前から消えてくれない?」
「縁談……?」
ラビニアに仕えている侍女は、皆子爵以下の下級貴族の次女以下の令嬢である。
ラビニアに取り入って甘い蜜を得ようとしている人たちばかり。
ラビニアも王女という身分なので、そのことに関しては、母である側妃リーテルマから教えられている。
「私たちは、高貴な身分なの。だから三流貴族は皆私たちの奴隷なの。役立たずはきちんと処分しないとね」
「分かりましたわ。お母様」
その教えにのっとって、目の前の侍女は処分しないと。
ラビニアはそう考えた。
「貴方みたいな無能は、そうね……成金の三流貴族がお似合いね」
縁談相手の下級貴族は、王族であるラビニアとのつながりを。
ラビニアは、その縁談相手の貴族から結納金を受け取る。
どちらにも利益のある名案だと、ラビニアは考えた。
「貴方の実家にも悪くない話だし、流石私ね。我ながらいいアイディアだわ」
「そんな……」
「早速お母様にお話しないと……」
と言い部屋を出ていこうとするラビニアを、必死で止めようとする侍女。
彼女は今ままで、ラビニアのお付き侍女であることを笠に着て、王宮内で他の侍女に対して高圧的に当たることができたから。
それがなくなるどころか、ラビニアの怒りを受けて王宮を追放される、といった噂はあっという間に貴族中でひぃろまるだろう。
そうなったら、彼女の貴族夫人としての社交界は終わったも同然であろうことは、目に見えている。
「お、お待ちくださいっ! それだけは何とか……」
「私、貴方をお茶を淹れてくれるためだけに、側に置いたの。それができない役立たずは要らないの。早くお金になってくれない?」
「何でも、何でもいたしますから……ラビニア様のお側に……」
「へぇ……何でも、ねぇ……」
その言葉を聞いたラビニアは、何かをひらめいたようだ。
「ほんとに何でもしてくれるのね?」
「は、はい……」
「そう、じゃあ……」
というとラビニアは、侍女の耳元に自身の顔を近づけると。
「…………」
「!? ……そ、それは……」
彼女の耳元で何かを話している。
その内容に驚く侍女。
「できないの?」
ラビニアのいうことを聞くか、下級貴族のもとへ強制的に嫁がされるか。
侍女に拒否権はなく……
「か、かしこまりました……」
彼女は、自身の着ている服のボタンに手をかけ、それを外していく。
足元に落ちる侍女の服。
「そうよ。あの女がいないなら、代わりを用意すれば済む話じゃない♪」
ラビニアの部屋からは、バチンッ!という、何かを叩いている音が、何度も響いていた。
それに反応するように、女性のすすり泣く声も微かにしている。
帝国へ行ったからさぞかしひどい目にあっていることでしょうね。
……いい気味だわ。
小さいころからあの女は目障りだった。
勉強も碌にできないくせに、自分より早く生まれた王妃の子供というだけで、時期女王と呼ばれることが。
私は勉強なんてしなくても簡単にできるというのに、やっぱり平民の血が混じってるから出来が悪いのが生まれたのかしら。
おまけに野蛮な騎士団に混じって騎士の真似事なんてして、馬鹿じゃないの?
お母様だって。
「ラビニア。貴方がこの国の女王になるの。あんな平民の子じゃなくて。由緒正しき、侯爵家と王家の血を引く貴方がね」
「はい。お母様」
そう言ってたもの。
王家に汚らわしい平民の血が混じったものがいることが間違いだわ!
時期女王にふさわしいのは、この私なんだから!
あいつが帝国で辱めにあっている姿が見れないのが不満だけど、もう私には関係ないことね。
ラビニアはいい気分を更に引き立てようと、侍女から出された紅茶を口に入れる。
「……なにこれ?」
「王女殿下? どうかなさいましたか?」
ラビニアは、お付きの侍女の言葉に耳を貸さずに床にティーカップを投げ捨てる。
ガシャン! と激しい音とともに、ティーカップは粉々に割れる。
「こんな泥水みたいなもの飲ませてどういうつもり?」
「申し訳……ありません」
「なんでいつもみたいなお茶を出せないわけ? あたしのこと舐めてるの?」
「そんなことは決して……」
「じゃあどういうこと?」
「それは……」
そういわれても侍女は答えられない。
なぜなら、今までラビニアに出すお茶を用意していたのは、この侍女ではないからだ。
そう、今までお茶を用意していたのは、アシュリーのお付きの侍女だったアリアだった。
この侍女は、自分でお茶を用意するのがめんどくさくて、お茶を出すことしか満足にできないアリアに、すべてやらせていた。
「すぐに新しいものを淹れてきなさい!」
「はいっ……!」
ラビニアは、せっかくの気分を台無しにされた怒りもあって、侍女に新しい紅茶を淹れさせる。
最も、今までアリアがお茶を用意していたわけで、アリアがいない今、ラビニアがいつも飲んでいたおいしいお茶を飲むことは、もうできないのだが。
それから新しく侍女が持ってきていたお茶も、やはりラビニアは気に入ることはなかった。
「……あなた、もういらないわ」
「え?」
「お母様に頼んで、貴方の縁談組んであげるから、さっさと私の前から消えてくれない?」
「縁談……?」
ラビニアに仕えている侍女は、皆子爵以下の下級貴族の次女以下の令嬢である。
ラビニアに取り入って甘い蜜を得ようとしている人たちばかり。
ラビニアも王女という身分なので、そのことに関しては、母である側妃リーテルマから教えられている。
「私たちは、高貴な身分なの。だから三流貴族は皆私たちの奴隷なの。役立たずはきちんと処分しないとね」
「分かりましたわ。お母様」
その教えにのっとって、目の前の侍女は処分しないと。
ラビニアはそう考えた。
「貴方みたいな無能は、そうね……成金の三流貴族がお似合いね」
縁談相手の下級貴族は、王族であるラビニアとのつながりを。
ラビニアは、その縁談相手の貴族から結納金を受け取る。
どちらにも利益のある名案だと、ラビニアは考えた。
「貴方の実家にも悪くない話だし、流石私ね。我ながらいいアイディアだわ」
「そんな……」
「早速お母様にお話しないと……」
と言い部屋を出ていこうとするラビニアを、必死で止めようとする侍女。
彼女は今ままで、ラビニアのお付き侍女であることを笠に着て、王宮内で他の侍女に対して高圧的に当たることができたから。
それがなくなるどころか、ラビニアの怒りを受けて王宮を追放される、といった噂はあっという間に貴族中でひぃろまるだろう。
そうなったら、彼女の貴族夫人としての社交界は終わったも同然であろうことは、目に見えている。
「お、お待ちくださいっ! それだけは何とか……」
「私、貴方をお茶を淹れてくれるためだけに、側に置いたの。それができない役立たずは要らないの。早くお金になってくれない?」
「何でも、何でもいたしますから……ラビニア様のお側に……」
「へぇ……何でも、ねぇ……」
その言葉を聞いたラビニアは、何かをひらめいたようだ。
「ほんとに何でもしてくれるのね?」
「は、はい……」
「そう、じゃあ……」
というとラビニアは、侍女の耳元に自身の顔を近づけると。
「…………」
「!? ……そ、それは……」
彼女の耳元で何かを話している。
その内容に驚く侍女。
「できないの?」
ラビニアのいうことを聞くか、下級貴族のもとへ強制的に嫁がされるか。
侍女に拒否権はなく……
「か、かしこまりました……」
彼女は、自身の着ている服のボタンに手をかけ、それを外していく。
足元に落ちる侍女の服。
「そうよ。あの女がいないなら、代わりを用意すれば済む話じゃない♪」
ラビニアの部屋からは、バチンッ!という、何かを叩いている音が、何度も響いていた。
それに反応するように、女性のすすり泣く声も微かにしている。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
あなたが私を捨てた夏
豆狸
恋愛
私は、ニコライ陛下が好きでした。彼に恋していました。
幼いころから、それこそ初めて会った瞬間から心を寄せていました。誕生と同時に母君を失った彼を癒すのは私の役目だと自惚れていました。
ずっと彼を見ていた私だから、わかりました。わかってしまったのです。
──彼は今、恋に落ちたのです。
なろう様でも公開中です。
【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。
クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです
こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。
異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
悪女の指南〜媚びるのをやめたら周囲の態度が変わりました
結城芙由奈
恋愛
【何故我慢しなければならないのかしら?】
20歳の子爵家令嬢オリビエは母親の死と引き換えに生まれてきた。そのため父からは疎まれ、実の兄から憎まれている。義母からは無視され、異母妹からは馬鹿にされる日々。頼みの綱である婚約者も冷たい態度を取り、異母妹と惹かれ合っている。オリビエは少しでも受け入れてもらえるように媚を売っていたそんなある日悪女として名高い侯爵令嬢とふとしたことで知りあう。交流を深めていくうちに侯爵令嬢から諭され、自分の置かれた環境に疑問を抱くようになる。そこでオリビエは媚びるのをやめることにした。するとに周囲の環境が変化しはじめ――
※他サイトでも投稿中
夢喰い追放聖女は赤毛の天使と水蜜桃の恋をする 王国の未来? わたくしは存じ上げませんわ
杏樹まじゅ
ファンタジー
アンジュ短編第4弾、開幕。
その聖女は、悪夢を食べた。愛しい、少女の為に──
わたくしは「夢喰い」聖女フレデリカ・アッシュフィールド。能無し国王陛下にお役御免をお申し付けいただいたので、晴れて自由の身になりました。穏やかな田舎で、ペンを握り文字を書く日々。憧れのスローライフ。そして、隣には天使のように可愛いわたくしだけの少女、ジューン。なんて、なんて幸せなのでしょう! え? 王国の未来? わたくしは存じ上げませんわ。
※この作品は「小説家になろう」様、「カクヨム」様、「ノベルデイズ」様、「ノベルアップ+」様、「エブリスタ」様、「ステキブンゲイ」様、「ベリーズカフェ」様、「ソリスピア」様にも連載しております。
断罪された商才令嬢は隣国を満喫中
水空 葵
ファンタジー
伯爵令嬢で王国一の商会の長でもあるルシアナ・アストライアはある日のパーティーで王太子の婚約者──聖女候補を虐めたという冤罪で国外追放を言い渡されてしまう。
そんな王太子と聖女候補はルシアナが絶望感する様子を楽しみにしている様子。
けれども、今いるグレール王国には未来が無いと考えていたルシアナは追放を喜んだ。
「国外追放になって悔しいか?」
「いいえ、感謝していますわ。国外追放に処してくださってありがとうございます!」
悔しがる王太子達とは違って、ルシアナは隣国での商人生活に期待を膨らませていて、隣国を拠点に人々の役に立つ魔道具を作って広めることを決意する。
その一方で、彼女が去った後の王国は破滅へと向かっていて……。
断罪された令嬢が皆から愛され、幸せになるお話。
※他サイトでも連載中です。
毎日18時頃の更新を予定しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる