それぞれの愛の形 流星と亘

ko

文字の大きさ
上 下
1 / 1

それぞれの愛の形

しおりを挟む
バイトが終わり外に出ると冬の冷たい空気が頬を撫でた
吐き出す息は白く 家路を急ぎたくなる

いや寒さだけが家路を急ぐ理由ではない

今日は一ヶ月ぶりに亘が訪うことになっている
ここ最近  仕事で多忙を極めた亘と大学生の僕は  なかなか時間が合わせられず寂しい日々が続いていた

久しぶりの逢瀬を想えば家への足取りも自然と軽くなる

『早く帰って準備しなきゃ』

夕ご飯の買い物は昨日のうちに済ませた
部屋の掃除と布団干し 夕ご飯の下拵えは今朝済ませた
あとは帰宅してからビーフシチューをもう1度温めればいいだろう

そして僕は  もう1つ大切な準備をしなければいけない
亘を部屋に迎え入れる為の大切な準備を

自宅アパートに戻り  そのまま浴室へと直行する
元々薄く ほとんど目立たない髭ではあるが それでも念入りにカミソリをあてる

男にしては長めの髪を洗いトリートメントもする

シャワーを浴びて浴室から出たら鏡に映る自分を変身させていく

ファンデーションを塗り頬にはチーク  生まれつき長い睫にはマスカラを少々  眉尻を少しだけ描き足してルージュをひく

『なに着ようかな』

クローゼットの中には普段の僕が着ることはない女性物の洋服が何枚かスタンバイしている

寒いからニットのワンピースにしよう

細くもなく太くもない脚にストッキングを履きガータベルトでおさえる
薄い胸に それなりのブラジャーを付け  共布で誂えられたサイドを紐で結ぶタイプのショーツも身に付ける
その上から フロントファスナーのワンピースを纏えば準備は万端だ

出来映えは悪くないと思う
自己採点は まあまあの及第点

亘は  喜んでくれるだろうか  興奮してくれるだろうか

期待と不安が入り交じる
時計の秒針が時を刻む音が妙に大きく感じるほど静かな部屋で亘を待つ

程無く鳴ったインターホンが待ち人の来訪を告げる

そっと玄関扉を開け  極上の笑みを浮かべた麗人を部屋に招き入れる

『久しぶりだな  流星』

穏やかなバリトンが  僕の名前を呼ぶ

『亘  待ってたよ』

彼の首に腕を回せば  いつものように抱き上げてくれる
それは幼子を抱き上げるような縦抱きで  何度されても少しだけ恥ずかしい

そのままリビングまで 何歩かで移動する間  その恥ずかしさを誤魔化すように  少しだけ怒ったふりをする

『亘!僕  子供じゃないんだから!』

『そうだな  子供はガータベルトなんて着けない』

僕を抱き上げたことでニットワンピースの中が  どうなっているのか  感触だけでバレてしまったのだろう

自分で選んで  身に付けたものなのに改めて言われてしまうと  僕は耳まで赤くなっているはずだ

新たな恥ずかしさを上乗せされ  必殺『話逸らし攻撃』に出る僕

『先に食事にする?シャワー浴びる?』

少し考えた亘は  僕をソファにおろし

『シャワー浴びてくるよ』

あっさりと浴室に向かってしまう亘に少々恨めしさを抱きつつ  僕はエプロンを着け小さなキッチンでビーフシチューに火を入れる

バゲットを少し厚めに切って サーモンのカルパッチョの味を整える頃には  バスローブ姿の亘がタオルを首に掛けたまま冷蔵庫を開ける

ペットボトルのミネラルウォーターを半分ほど飲み干したところで僕の後ろに立ち  手は不穏な動きを始める

右手はエプロンとワンピースの隙間で胸を弄りつつ  左手はストッキング越しに太腿を這い回る

『あぁっ』

僕から甘い声が上がると  耳殻を甘噛みしながらワンピースのフロントファスナーに手を掛ける
後ろから抱き締められたままで身動きできないのをいいことに  亘の手は みるみる僕を昂らせる

『食事は?』

一応聞いてみただけ  ここで手を止められたら正直キツい

『流星を食べてから』

亘も焦らすつもりはないらしい
縺れるようにベッドになだれ込めば  息の荒い亘が僕を組み敷いた
エプロンを着けたままワンピースの前を割ると鎖骨に舌を這わせる
エプロンをずらし胸を隠す薄布の上から簡単に突起を見つけ出される
亘と付き合い始めた頃からグズグスに開発された  そこは薄布越しでもわかるほど  くっきりと立ち上がっている
もっと直接的な刺激を求めている僕にとってエプロンもワンピースも  そして胸を隠す薄布も邪魔なこと  この上ない

それでも僕は自ら服を脱ぐようなことはしない
亘が女装している僕を愛してくれるから

いつも着衣のまま散々に焦らされて1枚ずつ楽しむように剥かれていく

肌を隠すものがなくなる頃には女性物のショーツが白濁で汚れていることも 屡々だ

今夜の亘はエプロンが  お気に召したようだ

エプロンの下から器用にワンピースだけを剥ぎ取って  下着姿にエプロンと言う  なんともチグハグな格好で獣のように四つん這いの姿勢をとらされる

その上から やはり獣のように 僕を被った亘は  僕の胸の突起をクニクニと弄んでいる

胸を覆っていた薄布は  ホックが外され肩のストラップだけで胸とエプロンの間で揺れている

もどかしい刺激に耐えきれず  自らを慰めようとすれば  亘の腕に阻まれる

『俺がいるのに自分で触るなんてダメだよ』

亘の左手は僕の脇腹をなぞるように下りて紐付きの小さな薄布で隠された僕の中心の輪郭を確かめる

『小さい布では隠しきれないね  もう勃ってる』

左側の紐だけを  そっと解いて熱い中心に触れられれば  我慢できずに透明の粘液が雫をつくる
それを塗り広げるように尖端を撫でらて お腹の奥が疼き始める

胸の薄布とエプロンはそのままに  僕の中心を隠していた薄布は  しゅるっと音を立てて取り払われた

亘の指先で温められたローションを後孔に馴染ませられる
襞の1つ1つを 愛おしむように伸ばされ  揉み込まれれば  後孔は亘の指先を中へ中へと誘い込む
亘自身を挿入れてくれないばかりでなく  指を増やしてくれる気配さえない

『亘  わ  たる      もっと   もっとぉ』

嬌声を上げる僕を宥めるように  背中を撫でながら指を動かす亘も  既に昂りが苦しいはずだ

僕の太腿に時折あたる亘自身が  これでもかと言う程に硬くなっているのがわかる

『流星  ダメだ  久しぶりなんだから』

僕を傷つけないが為の  その行為は  逆に僕を追い詰める
もう亘の形を覚えた僕の中は少々乱暴にされたって大丈夫なのに

随分と長い時間をかけてグズグスにされた僕は  既に何も考えられなくなっている

コンドームをつけ後ろから挿入しようとする亘を振り返り  懇願の眼差しを送る

『前から挿入れて』

ゆっくりと仰向けにされ

『前からでキツくないか?』

伺うように僕の瞳を覗き込む亘に小さく頷く
多少キツくても  亘を抱き締めたい
亘に抱き締められたい

未だ着けたままのエプロンの裾を捲られ  すっかり昂ったそれの裏筋をチュクチュクと擦られる
我慢のきかない僕自身は透明の粘液を更に溢れさせ中途半端に捲り上げられたエプロンの裾を汚していく

散々に解されたと言うのに  亘の挿入は慎重で  なかなか奥を攻めてくれない
もどかしい熱がお腹の奥に蓄積されて  ゆるゆると腰が動いてしまう

それを咎めるように突然  亘が奥まで挿入して

『俺を使って自慰をするのか?』

2人なのだから互いに気持ちよくなるのが当然だろ?
と言われてしまえば  後は亘に翻弄されるばかりだ

いつの間にか肩のストラップを腕から抜かれた胸を覆う薄布も剥ぎ取られ  乱れたエプロン1枚にされてしまう

そのエプロンをずらされ胸の突起を嬲られながら  お腹の奥を攻められる
僕は何も出さずに快感の頂上を極め   そこから降りてこられない

そのまま揺さぶられ続け  亘自身が僕の中で質量を増す

眉間に皺を寄せ一瞬動きを止めた亘は  その後の余韻を楽しむように何度か腰を揺らす

そっと引き抜き手際よくコンドームを始末すると  僕の中心をチュクチュクと扱く

僕がはじめに出してしまうと  亘を受け入れている  そこが痛むことを知っているのだろう

『わ  たる  イく』

手の動きを早め  僕の舌を亘のそれで絡めとるような濃密なキスでスパートをかける

亘の手と  エプロンの裾を汚した僕の白濁を恍惚の表情で眺める亘は久しぶりの逢瀬に満足してくれたように見える
そして  それは僕も同じ




亘は女性を恋愛対象とはしてない

生粋のゲイではあるがパートナーには女装を求める

女性物の服を脱がせ最奥から昂った男性自身が出てくることに興奮するらしい

ゲイの世界でもなかなか理解者が少ない性癖だろう

対する僕は女装と言う  これまた特殊な性癖を持って産まれてきた

そんな僕らはゲイタウンで出逢い 身体の関係から始まった

最初は欲を満たす為だけのパートナーであったはずが  もう随分と長く  この関係が続いている

『流星  そろそろ一緒に住まないか?』

1ヶ月逢えなかったことで僕の存在が亘にとってどんな位置付けなのか
それを真摯に考えてくれたようだ

別に常に女装した僕を側に置きたいわけではないと言う
僕の生活を制限するつもりもないと言う

だけど

『大切なヤツと  もっと同じ時間を過ごしたいと思うのは自然なことだろ?』

平然と言ってのける亘は少し性格たちが悪い

僕はずっと前から亘に溺れてる
重くならないように身体の関係だけだと自分に言い聞かせていたのに

だからこそ僕も亘に答える

『2人で住むなら引っ越さないとね』

普段の僕の洋服と亘に愛される為の洋服

『僕は1人で2人分のクローゼットが必要だからね』

どちらからともなく抱き締めあえば2人の未来への想いが一致する

これから亘に愛される為の服は増えていくのだろう
2人の白濁で汚れること間違いなしの洋服たちが

きっかけは互いの性癖の一致だった
そして  それはやがて2人に真実の愛を運んでくれた

気づかぬうちに  なくてはならないパートナーを得た僕達は なかなかに幸運なのだろう

少なくない人たちが  僕達の性癖には顔を顰めるかもしれない
正直それは  少し後ろめたくて  少し辛い
この先も幾度となく  そんなことを思い 悩んだりするのだろう
それでも2人生きていけば  例え 後ろ向きな思考に支配される瞬間があっても  また前を向けるはずだ


これが僕たちの愛の形なのだから











しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

嫌がる繊細くんを連続絶頂させる話

てけてとん
BL
同じクラスの人気者な繊細くんの弱みにつけこんで何度も絶頂させる話です。結構鬼畜です。長すぎたので2話に分割しています。

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?

こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。 自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。 ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?

少年はメスにもなる

碧碧
BL
「少年はオスになる」の続編です。単体でも読めます。 監禁された少年が前立腺と尿道の開発をされるお話。 フラット貞操帯、媚薬、焦らし(ほんのり)、小スカ、大スカ(ほんのり)、腸内洗浄、メスイキ、エネマグラ、連続絶頂、前立腺責め、尿道責め、亀頭責め(ほんのり)、プロステートチップ、攻めに媚薬、攻めの射精我慢、攻め喘ぎ(押し殺し系)、見られながらの性行為などがあります。 挿入ありです。本編では調教師×ショタ、調教師×ショタ×モブショタの3Pもありますので閲覧ご注意ください。 番外編では全て小スカでの絶頂があり、とにかくラブラブ甘々恋人セックスしています。堅物おじさん調教師がすっかり溺愛攻めとなりました。 早熟→恋人セックス。受けに煽られる攻め。受けが飲精します。 成熟→調教プレイ。乳首責めや射精我慢、オナホ腰振り、オナホに入れながらセックスなど。攻めが受けの前で自慰、飲精、攻めフェラもあります。 完熟(前編)→3年後と10年後の話。乳首責め、甘イキ、攻めが受けの中で潮吹き、攻めに手コキ、飲精など。 完熟(後編)→ほぼエロのみ。15年後の話。調教プレイ。乳首責め、射精我慢、甘イキ、脳イキ、キスイキ、亀頭責め、ローションガーゼ、オナホ、オナホコキ、潮吹き、睡姦、連続絶頂、メスイキなど。

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

公開凌辱される話まとめ

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 ・性奴隷を飼う街 元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。 ・玩具でアナルを焦らされる話 猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

処理中です...