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第8話:

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「しかし、ステルスモード・光学迷彩シールドは素晴らしいが制約が多すぎて一長一短だな」
 艦長席に座っている富嶽が横にいる東郷に喋ると肯定しながら喋り返す。
「ええ、シールド展開中はレーダー管制システムは全く使えませんし何より電波も使うことが出来ないのでレーダーの代わりに目視による探索がネックですね」
 富嶽は暫く何かを考えていたが少し離れた所にいる榊原に声をかける。
「榊原分隊長、確かハープーンは一昔前のミサイルだよね? 今はトマホークが主流だよね?」
 榊原は富嶽の問いに頷く。
「現在でもハープーンは主流ですが令和の海上自衛隊では国産の対艦ミサイルが標準装備ですので少なくとも平成の半ばまでハープーンでした」
 榊原の答えに暫くの間、富嶽は何か考えていたが口を開く。 
「なら、俺達を攻撃してきた船は少なくとも同年代では無いと思うが今日まで秘匿されている事の中で自衛艦が突然、消えたとか言う話はなかったのかな?」
 榊原は富嶽の問いに驚いた様子であった。
「はい、確か一九九〇年×月×日の事でしたが新造護衛艦”しらなみ”が処女航海時に突然、行方不明になる事件が起きたのです。あの日は熱帯低気圧が発達していて沈没したのではないかということでアメリカ海軍を巻き込んで探索しましたが残骸は一切、発見されませんでした。この事件は一切、外部に漏らさない事を決定すると共に乗員百十二名の存在は消されました。幸いにも全ての乗員は独身で親戚も殆どいないという事が幸いになったということです。私はその時、潜水艦勤務で実際に海底探索をしましたので」
 榊原の言葉に艦橋にいた者達は無言のままであった。
 とんでもない機密情報を聞いたからであったが。
「ふむ、ちなみにその艦の艦長は誰だったの?」
 富嶽は特に深い意味はなかったが話の流れで聞いたのだが榊原の言葉に椅子から飛び上がる。
 艦橋にいた者達は吃驚して富嶽を見る。
「岡本……? 岡本幸司か?」
 富嶽の我を忘れた言葉に榊原は無言で頷く。
 突然、怖い顔になった富嶽に気が動転したからであり他の乗員も同じであった。
 それは東郷も同じだったようでまじまじと富嶽を見つめていた。
「あの……艦長? 彼と何かあったのですか? 艦長は民間警備会社の警備員で彼はずっと海上自衛隊勤務だった筈……」
 榊原は困惑の表情で富嶽に聞くと富嶽ははっと我に返ると艦長席に座り皆に謝る。
「いや、悪かった……突然、声を張り上げてしまって申し訳ない、奴とは昔、因縁があって俺の一方的な恨みなんだ。はは、女々しいな……。とにかくしばらく目視で”しらなみ”を見つけることが先決だ! 監視員には多大な負担を掛けるが宜しく頼むと伝えてくれ」
 富嶽はそう言うと少し外の空気を吸ってくると言い、艦橋から退出する。
 彼の後ろ姿を見つめながら東郷が呟く。
「私は艦長のことを色々調べたけどまだまだ知らないこともあるんですね……」
  
 富嶽が”しらなみ”の件を知ってから三日後、事態は動く……。
「艦長!! 三時の方向に護衛艦”しらなみ”発見」
 監視員からの報告に富嶽達は戦闘艦橋に上ってきて双眼鏡で三時の方角を覗くと確かに”しらなみ”が霧の中から出現する。
「ふむ、奇襲に申し分ないな! 一気に決着を決めてやるかな……。岡本、冥福を祈るぞ」
 薄笑いを浮かべた富嶽はCICにレールガンの斉射で仕留めるように伝達しようとした時に電信室から急報が入ってくる。
「艦長、アメリカ機動部隊の無線を探知しました! 解読したところアメリカ空母から艦載機が発艦してこちらの方角にむかってくるようです」
 東郷が困惑した表情で富嶽に言う。

 この艦載機はニミッツ大将の命令を受けたスプルーアンス率いる第五十八任務部隊に所属する第四機動群ハリル少将率いる部隊で正規空母”エセックスと軽空母”カウペンス””ラングレー”を所有していて正規空母である”エセックス”から発艦した偵察機が”しらなみ”を捉えたのである。

「艦長、もしかしてこちらがレーダーとか全く使用できなかったので偵察機に補足されたのでしょうか?」
 富嶽は首を横に振りながら彼らが向かっているのはこちらではなくて”しらなみ”だろうと言う。
「しばらく様子見してみるか……。こちらから何もしなければ発見されることはないし岡本がどんな方法でこれを切り抜けるのに少し興味が出てきた」
 富嶽はCICに”しらなみ”と米艦載機が邂逅する時間を尋ねると大まかな時間が伝えられてくる。
「ふうむ、後二十分で会敵か……恐らく岡本も気づいているだろうが何をするのかな?」
 数分後、”しらなみ”が敵艦載機に向けてであろうか英語で無線が発せられる。
 それを聞いた富嶽達は耳を疑う……。
「我々は敵ではない! 繰り返す、我々は敵ではない! 我々は貴国に亡命を申請する。日本海軍の機動部隊の位置や戦力の情報、そして新兵器のテクノロジーを貴国に譲渡する」
 ”雪風”の特徴の一つに主要言語十カ国語を自動翻訳する機能をもっており”しらなみ”が発した英語を正確に日本語に翻訳したのである。
「奴は何を考えている……んだ? あの船の兵器は元々はアメリカが開発したのだから意味は分かるがこの時代でそんなことするのは売国的行為だ。よし、こうなればやむを得ない! 先制攻撃だ、先程の命令を撤回する。米艦載機がこちらに来るまで決着をつけるぞ! 一番・二番砲塔、目標”しらなみ”に向けると同時に斉射開始!」
 富嶽は一気に決着をつけるあまりに痛恨のミスをする。
 それはコンピューターに目標をインプットさせる命令を忘れてしまう。 
 杉本がそれに気づいて富嶽に具申しようと口を開けかけた時に”雪風”の砲塔からレールガンが轟音と共に放たれる。
 それと同時に光学迷彩シールドが解除されて”雪風”の姿が”しらなみ”にも認知される。
 レールガン全弾は”しらなみ”の船体では無く上部構造物をなぎ倒してそのまま慣性の法則で音速で遙か彼方に消えていく。
 しかし、”しらなみ”のレーダー能力は大幅に低下すると同時にバルカン砲と対艦ミサイル発射筒が損壊して修復不可能になる。
「何たること……! 次弾装填と同時に"しらなみ”の情報を入力!」
 富嶽が命令を発すると同時に観測員が大声で”しらなみ”の主砲が旋回している事を報告してくる。
「取り舵一杯!! 最大戦速」
 富嶽の命令で”雪風”の船体が瞬時に動く。
 "しらなみ”の54口径127ミリ速射砲が”雪風”を捉えると同時に放たれるが”雪風”の常識超える旋回運動で外れてしまう。
 ”しらなみ”艦橋で岡本は唸ってしまう。
「何だ? あの船は……? 日本海軍の船か? 一体、何が起こっているんだ。一刻も早くアメリカとコンタクトをとりたいのにこのままではあの艦載機の餌食になってしまう」
 お互い、速攻でけりをつけなければならないのでこの時ばかりは岡本も判断が鈍ってしまったのであると同時に実戦はこれが初めてである。
 富嶽と岡本の戦いの幕は切って落とされたのである。

「このままでは混戦になってしまう! 最大戦速で一時離脱して距離をとって決着をつける」
 富嶽の言葉に操舵手の『近衛昭彦』は気合いと下半身に力を入れて踏ん張る。
 ”雪風”は最大速度で”しらなみ”から離れていく。
 それを見た岡本は大声で命令する。
「速射砲連射だ! どうやらあの船はこの時代の艦ではない! 撃沈しろ」
 岡本の命令でCICルーム火器管制システム担当の士官が速射砲を操作する。
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