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54.心残り

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 その日は、朝方にさっと大地を濡らした小雨によって、ド田舎――手つかずの自然が美しいザルツヴェストの緑が、眩しい陽射しにも負けないほど青々と輝いていた。
 起床して身支度を整えた後は、魔王城の高層階から見える景色を一望するのが毎朝の日課とはいえ、こんなにも陽気が良い時に優先度最低の仕事に勤しむのは、さすがに勿体ない。

 バルコニーの手摺壁に肘をつき、今日も変わることなく深い森の向こうに聳える純白の神樹を眺めながら、そう結論づけた僕は軽く右腕を宙へと掲げた。
 するとすぐさま、上空を舞う何羽もの鳥型の使い魔のうちの一羽が、音もたてずに素早く腕へと降り立ってくる。

 黒一色の体をした見た目も大きさも鴉によく似た使い魔は、三本に分かれた長く優雅なその尾を、ついでとばかりに僕の腕へと絡ませてきた。
 「可愛いね」と頭を左手で撫でてやると、嬉しそうに目を細めるあたり、使い魔として年数を経れば徐々に自我のようなものが芽生えてくるのかも?という僕の仮説は正しいのかもしれない。
 まぁそんな変化が出てくるまでに二、三百年は必要だし、はっきりさせるにはまだまだ気長に観察するしかないんだけど……いつかは、昔々の空色スライムのような使い魔も現れるのだろうか。

 とはいえ、もしも僕の使い魔が全てなったら……それはそれで恐怖だね! 
 何て言ったって、あの中身は正真正銘の強引・傲慢・俺様・魔王様なんだから。

「ふふっ……あ、本当の用事を忘れちゃダメだね。えーっと……連邦議長に繋いで?」

 瞳だけがオレンジ色をした漆黒の使い魔へ命じれば、それは忠実に僕の言葉へ従った。
 嘴を大きく開けた途端に響く、ピッ、ピッ、ピー!という電子音じみた甲高い合図を待ってから、使い魔――正確には、その向こうにいるだろう人間へ話しかける。

「もしもーし、朝早くごめんね?起きてる?」

 『焦滅の魔王』と呼ばれる存在へ服従する証として、幾らかの人間へ貸し与えている使い魔、そのうちの一体が、遠く離れた地で僕の声をそう響かせたはずだ。
 直後、ガバッ、ドシン!どたたっ!と様々な派手な音が、手元の使い魔の口からも聞こえてきたし。
 だからそのまま数秒、無言で待機していると、思いの外きりっとしたバリトンボイスが届けられた。

『これはこれは、麗しい魔王陛下の妙なる美声にて目覚めを迎えられるなど、恐悦至極。つきましては、毎朝お願いしても?』

「寝言は寝て言って。それから今日の会議、僕は欠席するからいいようにやっといてね。魔鉱石の産出量制限は譲らないし、盗掘も容認しないけど、僕としてくれる気があるのなら『例外的』に考えてもいい――あなたが適切だと思う人間たちには、そう教えてあげて」

 ついでに朝食も外で食べようかなぁ、と考えながら口にした自分の声は、心ここにあらずなのがバレバレなほど抑揚にかけ、淡々としている。
 これでは、いくらザルツヴェストの筆頭友好国を自負するフェルシオラ連邦の重鎮であろうと、気を悪くするだろうか。
 重要会議のドタキャン、それも重役が、となったら誰もいい気はしないもんねー。そう他人事のように指摘してくる前世の気持ちも、痛いほどわかる。

 でも、今日の僕は一日まったり過ごしたい気分になってしまったのだから、仕方ない。
 これも全部、こんなにいいお天気のせいだから。

 そう頭の隅で自分を正当化していたのだけれど、僅かに息を呑んだような通話相手の気配が、なんだか不思議だね?

『……さすがは魔王陛下。実は私も、今回は裏から懐柔する方が効くのではないかと愚考しておりましたが……フフ、やはり恐ろしい御方だ。いいでしょう、このフェルドレッドへお任せ下さい。必ずや、お望みの状況へ転がしてみせましょう!』

「……あ、うん。……えっと、あまり気負わなくていいから…………よろしくね?」

 使い魔通信の向こうで、やけにテンション高くやる気に満ち満ちている男は、確か四十代そこそこの非常に優秀な人間のはず、だ。
 記憶では、短い白金の髪と切れ長の薄茶色の瞳が目を惹く、長身の美丈夫だったんだけど……僕に対する評価がわけのわからないことになっているのは、もう手遅れなんだろうね、可哀想に。

 つい哀れみを覚えてしまったものの、忙しい僕は使い魔の下嘴を撫でて、さっさと通信を終えた。
 それから腕に止まった黒い鳥を空へと放ちながら、後ろに控えてくれている侍従役のペンギンさんへ今日の予定を告げる。

「これから神樹の花園で朝食と、ついでに久しぶりの品評会をやろう。できるだけ急いで用意してね、よろしく!」

 コック帽を頭に乗せた自動人形は、今日も機敏な動きでスチャッと敬礼してみせてくれた。
 それにすら少し笑みが零れてしまうのは、その仕草がこの城と同じように、あの頃からずっと変わらない物の一つだから、かもしれない。

 そんなことを思いながら、左手首が定位置となっている細身の黒いブレスレットへ念じ、目的の場所へ転移魔法で移動した。

 瞬きの間に景色が変われば、そこはもういつもの花畑。
 真っ白な大樹を取り囲むようにどこまでも広がる青と白の野原は、光に煌めく朝露も相まってか、なんだか今日は一段と輝いて見える。

「この花が多い方がいいと思って、樹海も少し切り拓いたけれど……これ以上は、さすがに広げすぎかな?」

 昔からの癖でつい独り言を呟きながらも、右手で小さく指を鳴らす。
 その合図で、この最終防衛ラインお花畑に仕込んでいる改良に改良を重ねた僕の最強使い魔――金色のスライムが、草花を掻き分けて地面から現れると同時に、背後でポヨンッと椅子状に姿を変えた。

 振り返って確かめるまでもなく、ぽよぽよとしたスライム椅子へ腰を下ろせば、背もたれ部分を伸ばし、傘を広げるようにして日差しを遮ってくれる、できた使い魔。
 といっても金色の体は透明度が高いから、色付きのビニール傘程度の日傘だけど。

「でも、ここまでの使い魔を造りだした僕って、実はすごいよね?……魔王が見たら、びっくりするかなぁ」

 伝達された命令に従い、この辺りで作業しているはずのペンギンさんたちが僕の望みを実現してくれるまでには、もう少し時間が必要だろう。

 でも、待つことには、慣れている。 

 意外と座り心地のいい椅子に深く身を預け、青空を背に負った神樹を見上げながら、ゆっくりと息をした。
 それだけで数秒は簡単に過ぎ去っていくし、何度も繰り返せば、一日なんてあっという間だ。

 だから、僕がこの大樹を眺めながら過ごした時間が、いつの間にか千年に王手をかけていようとも、特に驚きはない。
 
 その間にザルツヴェスト周辺は、もう色々あった。本当に、色々あった。
 僕が使い魔を率いて戦ったことなんて数知れずだし、自信満々で完成させた反射衛星砲の試射が、よりにもよって魔王城を直撃した時は家無し生活を覚悟した。
 幸い、僕の予想以上……というより、魔王のでたらめさを改めて自覚する機会になっただけで済んだけど、傷一つもなく変わらず佇む城にほっとした反面、少しだけプライドが傷ついたよね。
 魔王の力で創られた物には、僕程度じゃ全く太刀打ちできないんだって。

 しかも、その失敗を後から知ったベルちゃんには、紫の稲妻を五、六発落とされるほど盛大に怒られて、まさに泣きっ面に蜂だった。

 あとは何度か他国動乱の巻き添えもくったし、超短期的とはいえ難民の受け入れも経験したし、五か国連合に攻め入られた時なんて、手持ちの使い魔を半数も使い切ってしまったっけ。

 けれど、そんな事がある度に、『焦滅の魔王』という名は、揺るぎないものへとなっていった。
 『魔王』の国は絶対不可侵、という不文律と共に。

 それを遵守するなら、僕は人間たちにとって、静かなただの隣人だからね。たぶん、きっと。

 少なくとも今は、交易関係で昔から手を組んでいた帝国の後継、フェルシオラ連邦という僕の仲良しさんが大隆盛し、イグナベルク王国を源流とする大国とも、概ねいい関係ではある。
 そんな親密な国々を基点に、一応は外交努力で揉め事には対応しているし。

 ただ、世界が親魔王・中立・反魔王で互いにパワーバランスを取っている状況は、いかがなものか。

 おかしいよね?僕はベルちゃんのアドバイスを参考に、できるだけ互いに干渉し合わない関係を目指していたはずなのに。
 どうして、僕の預かり知らぬところで僕を巡って戦争する人間まで湧くんだろう。
 おかげで色々と気を遣うこともあるけれど、基本は連邦の窓口へお任せだから、気楽と言えば気楽かな。

 問題といえば、少し前まで、まだしぶとく息づいていたゼーレ教がたまに鬱陶しかったことくらいだ。
 まだルーチェット王国があった時代から変わらず、あの宗教は既存社会への不満や鬱憤のはけ口として、一定の需要があるらしい。
 自分たちの現状がこんなに辛いのは、全部誰かのせいだ、そうだ魔王が悪い、滅ぼせー!という感じだもの。

 そんな迷惑過激宗教が、どこかの大国の中枢にこっそり入り込んだりすると、文字通りのワンマン国家な僕は大変面倒な目にあったりするわけで。
 だから――数十年ほど前に、つい出来心でやってしまった。
 
 どうせすぐにバレるよね~と思いながらも、あれこれせっせと暗躍してみたら、ゼーレ教の中で最も地位と権力のある最上位信徒、『聖皇卿エヴェル』の座に見事、僕が就いちゃったんだよね。
 仮にも魔王と呼ばれている僕が、「魔王滅すべし!」の宗教を牛耳っているわけだ。
 勿論、この事実を知っているのはゼーレ教の中でも僕の最側近である三人の人間だけで、今のところ情報漏洩もない。
 というわけで、まだしばらくは黒幕プレイも楽しめそうだ。

「思い付きでやっちゃったけど、マッチポンプって意外と面白いよね。癖になりそう……ふふ」

 そう笑っているうちに、背後からざくざくと草を踏み分ける音が幾つも近づいてきた。
 軽く身を起こして振り返れば、隊列を組んだペンギンさんたちが、何本ものボトルを小脇に抱えたり、彼らの背丈ほどはあるワイン樽そっくりの物体を、玉転がしのように運んできているところだった。

「……ちょっと樽の数が多くない?いくら朝っぱらから飲み会、いや品評会するとはいえ、さすがの僕もそこまでは呑まないよ……?」

 十はくだらない樽の数に、さすがの僕もそう呟いてみたものの――。
 椅子と同じ要領でテーブルになってくれた使い魔スライムの上に、朝食兼つまみとして用意された食べ物と、僕のお気に入り年代シリーズのシュレーズをグラスに注がれたら、もう迎え撃つしかないよね。

「んふ、ふふ。この風味と僅かに強い甘みは、百年に一度のできだね……!」
「……ふわぁ……これはまさしく二百年に一度あるかないかの、奇跡の味わい……」
「っ……なるほど、まだ若い。でも五百年先に化ける可能性ありっ」
「あぁ~美味しいなぁ~……ふふ、ふふふっ!これぞまさしく、四百年ぶりの当たり年!!」

 ぽわんとしたいい気分で、ペンギンさんたちを相手にそう一人品評会をしばらく楽しんだ。
 それから、たまにやっていたお遊びブレンドに今回もまた、手を出してしまった。

 もうやり始めると夢中になって時間を忘れてしまう上に、僕も何日か使い物にならなくなるから、自制すべきだとはわかっているんだけど……天気がいいから仕方ない!

 そう上機嫌のまま開き直って、適当なブレンドを造っては品評をし続けた。
 ついには追加の樽までペンギンさんたちに持ってきてもらい、また新しくブレンドする、という行為を繰り返していたところ――できてしまったのだ。

 いつの間にか昇りきった太陽が、惜しみなく世界を照らし出すなか、僕の手元のグラスには最高のブレンドシュレーズがっ……!
 一口飲んで、その美味しさに目を見開き、二口飲んで立ち上がり、三口飲んだら……。

 踊りださずにはいられなかった。
 
「ふあぁぁっっい!おーいーしーいー!!ふふっ、あは、あはははっ!!おーいしーよー!!」

 自分が酔っ払いの自覚は、頭の隅にちゃんとある。
 でも、この千年近くで初めての完璧で完全な最高の大好物を前に、誰が足を止められるというのだろうか。

 少々踏まれようが折れようが、すぐさま逞しく元通りに起き上がる魔王製の草花をいいことに、僕は最高の気分でそのまま花畑を気ままに彷徨っていた。
 なのに、追従してきたペンギンさんたちが、まるで咎めるように上着の裾を引いたり、手足をペシペシしてくるから仕方なく、足を止めたんだ。

 そして、視界が微妙に揺れるなか、酩酊状態の頭でその理由を問い質そうと、大きく体の向きを変えた途端、何か変な物が……見えた気がした。

 遠くには、深い深い深緑の葉を風に靡かす、巨大な樹。

 僕から少しだけ離れた場所には、金の刺繍やふんだんな宝石で豪奢に彩られた白いローブを身に纏い、腰まである長く奔放な銀髪を揺らす、長身の男の姿が。

 小さく風に乱された髪から尖った耳先が覗くなか、淡く燃えるように輝く瑠璃色の双眸は、呆然としているかのように見開かれていて。
 野に生きる獣に似た美しさを纏った精悍で秀麗な顔も、小さく口を開けたままポカンとしている。

 記憶の中にある姿と何一つ変わらないままで、いつの間にかそこに佇んでいた人はおもむろに、その形のよい薄い唇を震わせた。


「ユーリオ?」


 低く静かに奏でられた声音が紡いだ、名前。
 それが自分のものだと気づいた瞬間、僕の体は勝手に動いていた。

 両手を塞ぐ邪魔な物は捨て、伸ばした右手、その掌を地面へ向ける。
 あらかじめ設定していたその合図により、この野原に散らばる数多の金色の使い魔、その一匹が即座に姿を変えながら大地から飛び上がる。
 瞬きも一呼吸も必要ない、刹那の瞬間で、柄の長い殴打武器メイスを手にした僕は、迷うことなくブレスレットの力を借りた。

 目測、約二十m。

 その距離を転移魔法で詰め、佇む男の顔よりも高い位置に体を躍らせる。
 相も変わらず間抜け顔で僕を見上げたまま、身じろぎ一つすることなく無防備に佇む男へ、僕は思い切り両腕を振り下ろした。

 直後、大地を割るような轟音と爆風が花畑を駆け抜けたけれど――。

「……あー……その、ユーリオ?なんだ、その……怒っている、のか?」

「ふ、ふふっ……これでも無傷なの……そう、本物の魔王なんだね……ふ、ふふふ!あは、あはははっ!!」

 衝撃だけは、与えることはできたのか。
 緑の草原に仰向けで倒れ込んでいる、魔王。
 青と白の花吹雪がとめどなく舞うなかで、持ち手から上の部分があっさり消失して崩壊していく金色の武器を投げ捨てた僕は、笑いながらその腹の上へ膝をつき、身を乗り上げた。

 そして、ばつが悪そうな顔をしながらも、その実、何もわかっていないだろう男の胸倉を両手で掴み上げ、積年の想いを笑って告げる。



「魔王ラグナレノス。僕は貴方に求婚す。答えは『承諾』しか、許さない」



 これ以上はないというほどの、更に間抜け面を晒して、呆然としてみせる魔王。
 その無様を、今ほど嗤ってやりたいことなんて、もうこれから先はないだろう。

 なのに、あっという間に世界が滲んで見えなくなったせいで、何もできなかった。

 それだけが、僕の長い単身生活の心残り、かもしれない。


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