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9.*天国のち、大爆発*
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全ての理性と感情の枷を強制的に解き放ったら、人間はどうなるのか。
そんな知りたくもない答えを、僕は身をもって実感する事態になっていた。
「あっ、あ、あはっ……!んぁっあ!あー!ん、ふふ、ふぁっあ、ぁあっ!い、っきもちぃいっ!」
「そうかそうか、余も嬉しいぞ?まだ続けるか?」
「ふぁいっ!もっと、もっろしてぇ……!あっ、あ!イク、またっこれ、イッちゃ…!あっ、い、あ―――!」
頭の奥の片隅の、更にその深部の端くれにかろうじてしがみついている理性らしきものが、阿鼻叫喚の叫び声を上げ続けているような気もする。
でも、穏やかにゆさゆさと体を揺さぶられ、ごちゅ、じゅちゅっ、と粘着質な水音を伴いながら何度も体内をこじ開けられていく感覚が気持ちいい。
魔王の精液をナカに出された瞬間から、途方もない快感が体中を暴れまわっているみたいだった。
口は開きっぱなしのまま意味のない笑い声を時折上げる他は、快楽に溺れていることを実況するだけで、もはや嫌悪の気配は微塵もない。
一番強い刺激は体内を男の雄でずりずりと擦り上げられることだが、大きな掌が腰を掴む感覚も、長い指先に平坦な胸で小さく存在を主張する尖りを摘まれ転がされるだけでも、否応なく一際高い声がただ生まれていく。
「ふぁっ、んぁ、あッ!ひぐっ!?あ、やっ…いま触らなっ、あぁッ!」
本能的に背を弓なりにしならせて、腰の奥でドロドロのマグマのように溜まっていた熱が何度目かの解放を求める衝動を悦んで受け入れる。
その寸前で、そんな限界寸前の性器へするりと絡みついた男の指先が後押しするように裏筋と鈴口を弄ぶものだから、余計な強い刺激にまたチカチカとした白い星が視界を踊った。
それでも自分の腹を伝う粘ついた体液の不快感も、同性相手に無理矢理組み伏せられて犯されている抵抗感も、何一つ感じない。
ただただ、体中を満たすような熱と、頭の中まで走り抜けていくこの強烈な快感が気持ちいい。
そして何よりも、美しく精悍な顔つきをした極上の男がその不思議な双眸を甘く甘く眇めて、こんな自分を愛おしそうに見下ろしている姿が、笑いたくなるほどに心地良かった。
「ひっぅ――ッ、ん、ぁ……はっ、ぁ、あ……まお、きす、きすしよぉ……?」
何度となく繰り返される絶頂の波をまたひとつ乗り越えた後、荒い息を整えながらそう無意識に口づけを請えば、長い指先がそっと僕の唇をなぞり
「ならば、余の望む通りに強請ってみるか?」
にやりと口元を歪めた男がそう意地悪な交換条件を出してくるものだから、僕も負けじと正しい解答をすぐさま口にした。
「ラグナ、キスして」
「キタ直球ッ!……んんっ、フッ……其方の望みは、余の望み……」
デレッと相好を崩したかと思えば、すぐに精悍な顔つきに戻したりと顔面が忙しい魔王は、そう囁きながらも思いの外そっと唇を合わせてくれる。
「ん、んぅ……ふ、ぁ……んっ」
ゆっくりと絡み合う舌先からはまた、ぽっ、と火が灯るような熱がじんわりと体に広がってくる。
まるで凍えた体を温められているかのようなその心地良さに、正常位で繋がったままの男の腰へ足が勝手に絡みついていく。
そうすれば少しだけ更に奥へと体内を穿つ雄の熱と存在感に、体中が小さく歓喜する。
爪先が震え、背筋をビリッと這い上がっていく甘さを伴った痺れる感覚にまた、頭の中まで心地良さに満たされていく。
(あったかい、きもちいい、体のなかも頭の奥も全部ぜんぶ気持ちいい――――これ、好き……)
いやでもあの、これって多分『メスイキ』で『アマイキ』ってやつなんじゃないの?いいの僕!?と溺死間際の理性が声を届けてくるが、だって気持ちいいんだから仕方ない。
しばらく堪能したその深い口づけの後、はふっと息をつく僕と嫣然と微笑む魔王――ラグナの唇に微かな銀糸が繋がって、消える。
それがなんだか勿体ないと感じるくらいには、僕の頭は完全にのぼせ上っているのだから。
「ぁ、あ、やっ……らぐな、もっと……」
がっしりとはしているがそこまで目立つ筋肉に覆われていない肩、そこを流れるように伝う長い銀髪を鷲掴むようにして、離れかけた秀麗な顔を引き寄せてもう一度、自分から唇を合わせた。
視界の隅に映ったラグナのガッツポーズはもちろん無視だ、無視。
さっさと僕をまた、気持ちよくしてほしい。
抱き締めて、温めて、熱を注いで、優しい声で名前を呼んで、
「フフッ……やはり其方は愛いな?ユーリオ。」
そう、そうやって僕を――愛して欲しい。
そんな狂ったことを思っていた時間が、確かに僕にもありました。
非常に不本意ながら昨夜、そう多分昨夜のことです。
「う、うむ……健やかな目覚めのようで余も嬉しいぞ、ユーリオ。」
天蓋から垂れ下がる黒いレース状の布地を通しても、はっきりくっきりと明るくなっているベッドの上。
そこで昨夜と同じ半裸姿のまま、そう小さく口元を引きつらせて笑う魔王がいる。
僕の記憶が正しいのならばあの後、この男は散々嬌声を上げて泣いてよがる僕が意識を飛ばすまで離さずに「愛いな、愛い、愛いぞ」と抱き続けてくれた。
異常なほどの快楽と熱に前後不覚になって自分から「もっとして、もっと奥ぅ」などと強請る僕に応える形でな!!
「~~~っも、ふざけんなぁぁああぁぁあッッ!!出てけ―――!!!」
涙目のついでに顔が真っ赤になっているのも自覚しながら、羞恥と屈辱に混乱が加わった感情を大爆発させた僕は、そのままもう一度振り上げた枕を魔王の顔面に向かって叩きつけていた。
当然、全裸のままで。
そんな知りたくもない答えを、僕は身をもって実感する事態になっていた。
「あっ、あ、あはっ……!んぁっあ!あー!ん、ふふ、ふぁっあ、ぁあっ!い、っきもちぃいっ!」
「そうかそうか、余も嬉しいぞ?まだ続けるか?」
「ふぁいっ!もっと、もっろしてぇ……!あっ、あ!イク、またっこれ、イッちゃ…!あっ、い、あ―――!」
頭の奥の片隅の、更にその深部の端くれにかろうじてしがみついている理性らしきものが、阿鼻叫喚の叫び声を上げ続けているような気もする。
でも、穏やかにゆさゆさと体を揺さぶられ、ごちゅ、じゅちゅっ、と粘着質な水音を伴いながら何度も体内をこじ開けられていく感覚が気持ちいい。
魔王の精液をナカに出された瞬間から、途方もない快感が体中を暴れまわっているみたいだった。
口は開きっぱなしのまま意味のない笑い声を時折上げる他は、快楽に溺れていることを実況するだけで、もはや嫌悪の気配は微塵もない。
一番強い刺激は体内を男の雄でずりずりと擦り上げられることだが、大きな掌が腰を掴む感覚も、長い指先に平坦な胸で小さく存在を主張する尖りを摘まれ転がされるだけでも、否応なく一際高い声がただ生まれていく。
「ふぁっ、んぁ、あッ!ひぐっ!?あ、やっ…いま触らなっ、あぁッ!」
本能的に背を弓なりにしならせて、腰の奥でドロドロのマグマのように溜まっていた熱が何度目かの解放を求める衝動を悦んで受け入れる。
その寸前で、そんな限界寸前の性器へするりと絡みついた男の指先が後押しするように裏筋と鈴口を弄ぶものだから、余計な強い刺激にまたチカチカとした白い星が視界を踊った。
それでも自分の腹を伝う粘ついた体液の不快感も、同性相手に無理矢理組み伏せられて犯されている抵抗感も、何一つ感じない。
ただただ、体中を満たすような熱と、頭の中まで走り抜けていくこの強烈な快感が気持ちいい。
そして何よりも、美しく精悍な顔つきをした極上の男がその不思議な双眸を甘く甘く眇めて、こんな自分を愛おしそうに見下ろしている姿が、笑いたくなるほどに心地良かった。
「ひっぅ――ッ、ん、ぁ……はっ、ぁ、あ……まお、きす、きすしよぉ……?」
何度となく繰り返される絶頂の波をまたひとつ乗り越えた後、荒い息を整えながらそう無意識に口づけを請えば、長い指先がそっと僕の唇をなぞり
「ならば、余の望む通りに強請ってみるか?」
にやりと口元を歪めた男がそう意地悪な交換条件を出してくるものだから、僕も負けじと正しい解答をすぐさま口にした。
「ラグナ、キスして」
「キタ直球ッ!……んんっ、フッ……其方の望みは、余の望み……」
デレッと相好を崩したかと思えば、すぐに精悍な顔つきに戻したりと顔面が忙しい魔王は、そう囁きながらも思いの外そっと唇を合わせてくれる。
「ん、んぅ……ふ、ぁ……んっ」
ゆっくりと絡み合う舌先からはまた、ぽっ、と火が灯るような熱がじんわりと体に広がってくる。
まるで凍えた体を温められているかのようなその心地良さに、正常位で繋がったままの男の腰へ足が勝手に絡みついていく。
そうすれば少しだけ更に奥へと体内を穿つ雄の熱と存在感に、体中が小さく歓喜する。
爪先が震え、背筋をビリッと這い上がっていく甘さを伴った痺れる感覚にまた、頭の中まで心地良さに満たされていく。
(あったかい、きもちいい、体のなかも頭の奥も全部ぜんぶ気持ちいい――――これ、好き……)
いやでもあの、これって多分『メスイキ』で『アマイキ』ってやつなんじゃないの?いいの僕!?と溺死間際の理性が声を届けてくるが、だって気持ちいいんだから仕方ない。
しばらく堪能したその深い口づけの後、はふっと息をつく僕と嫣然と微笑む魔王――ラグナの唇に微かな銀糸が繋がって、消える。
それがなんだか勿体ないと感じるくらいには、僕の頭は完全にのぼせ上っているのだから。
「ぁ、あ、やっ……らぐな、もっと……」
がっしりとはしているがそこまで目立つ筋肉に覆われていない肩、そこを流れるように伝う長い銀髪を鷲掴むようにして、離れかけた秀麗な顔を引き寄せてもう一度、自分から唇を合わせた。
視界の隅に映ったラグナのガッツポーズはもちろん無視だ、無視。
さっさと僕をまた、気持ちよくしてほしい。
抱き締めて、温めて、熱を注いで、優しい声で名前を呼んで、
「フフッ……やはり其方は愛いな?ユーリオ。」
そう、そうやって僕を――愛して欲しい。
そんな狂ったことを思っていた時間が、確かに僕にもありました。
非常に不本意ながら昨夜、そう多分昨夜のことです。
「う、うむ……健やかな目覚めのようで余も嬉しいぞ、ユーリオ。」
天蓋から垂れ下がる黒いレース状の布地を通しても、はっきりくっきりと明るくなっているベッドの上。
そこで昨夜と同じ半裸姿のまま、そう小さく口元を引きつらせて笑う魔王がいる。
僕の記憶が正しいのならばあの後、この男は散々嬌声を上げて泣いてよがる僕が意識を飛ばすまで離さずに「愛いな、愛い、愛いぞ」と抱き続けてくれた。
異常なほどの快楽と熱に前後不覚になって自分から「もっとして、もっと奥ぅ」などと強請る僕に応える形でな!!
「~~~っも、ふざけんなぁぁああぁぁあッッ!!出てけ―――!!!」
涙目のついでに顔が真っ赤になっているのも自覚しながら、羞恥と屈辱に混乱が加わった感情を大爆発させた僕は、そのままもう一度振り上げた枕を魔王の顔面に向かって叩きつけていた。
当然、全裸のままで。
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