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第二章 グランからの修行

グルグル森のゾンビ達

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 ファンク達はゴブレット村に向かい始めるが、そこに辿り着くにはグルグル森を通り抜けなければならなかった。
 そこは多くの冒険者が迷ってしまい、白骨死体も出るのも珍しくないのだ。
「グルグル森か……瞳はこの森を通った時、迷わなかったか?」
「うん。道については知っているから案内するね」
 瞳は自ら先頭に立ち、森の中に入り始める。小鳥のさえずりや小動物が木の上にいたりと普通の自然と同じ光景だ。
「のどかな雰囲気ね」
「ええ。けど、油断は禁物よ。アンデッドやゾンビなどが出てくるからね」
「けど、この朝にアンデッドやゾンビが出てくる訳……」
 フローラが言い切ろうとしたその時、ガサガサと音がする。
「な、何?」
「なんか来たような……」
「もしや……」
 フローラ達がゾッとして身構えたその時だった。

「ウイーッ……ヒック……」
「「「へ!?」」」

 なんと出てきたのは酔っ払いのおっさんで……しかも全裸だった。

「「「きゃあああああああ!!」」」

 フローラ達女性陣は悲鳴を上げながら顔を隠してしまい、ファンクとマリスはあんぐりと口を開けてしまう。
「おい、おっさん!なんだその格好は!?」
「うおっ!いつの間に!」
「いつの間にじゃねーだろ!つーかこんな森で何をしていたんだ!」
 ファンクはおっさんにツッコむ中、フローラ達は抱き合いながらガタガタ震えていた。
「俺は……女と共に夜の営みをしていたんだよ。朝になったらいつの間にかいなくなってしまった」
「その格好からすれば絶対とんでもない事をしただろ。犯罪というよりはこんなところで変な事をするな!」
 ファンクがツッコむ中、いつの間にか兵士達が姿を現しておっさんを逮捕する。
「この強姦魔が!逮捕する!」
「しまった!見つかっちまった!」
 おっさんは全裸のまま連行され、兵士の一人がファンク達に視線を移す。
「君達のお陰で捕まえることができた。感謝する」
「いえ……あのおっさんの話を聞くと、いつの間にかいなくなったと……」
「どうやらそいつはこの森に伝わる伝説だ」
「「「伝説?」」」
 兵士の話にファンク達は疑問に感じる。
「ああ。この森でとんでもない事をすると、女性はいつの間にか消えてしまい、ゾンビとなって戻ってきたという話だ。どうやら何者かによって攫い、この様な事を仕出かしたに違いない」
「となると、そのゾンビ達を操る本人を倒せば……」
「元に戻るという事だ」
 兵士の説明を聞いたファンクは納得の表情をし、すぐに前を向く。
「この件については俺達に任せてください!話を聞いた以上、放っておけません!」
「「「ええっ!?」」」
 ファンクの宣言にその場にいた全員が驚きを隠せずにいた。
「ファンク、本気なの!?」
「ああ!話を聞いた以上は放っておけないからな。それにゾンビを操る元凶を倒せば元に戻るだろう」
「なるほど。となると、私の魔術でなんとかしないとね。ゾンビ対策ならお手の物だから!」
 シェリアはガッツポーズをしながら意気込み、皆はすぐに元凶を探しに向かい出した。

     ※

 エリンが出した召喚獣「九尾狐」のキッカを先頭に、ゾンビを操る元凶を探していた。
 ちなみにキッカは九尾狐の女性獣人で、見事なプロポーションを持っているのだ。
「キッカ、ゾンビ達はもう少しなの?」
「うむ。妾の感からすればこの辺りじゃ。それにしてもあの男、とんでもない行為をしておったな……」
「話そうにしても、話したら大パニックになるからな……」
 キッカの意見にファンクも同情した途端、彼女達は頰を赤らめてしまう。
「何故赤くなる?」
「だって恥ずかしいんだもん」
「私も」
 ファンクの質問にアミとフローラが応え、瞳達もコクコク頷く。
「まあいい。取り敢えずは先に……ん?」
 ファンクは先に進もうとしたその時、ゾンビ達が姿を現した。
「ウオーッ!」
「「「きゃああああああ!!」」」
 アミ達が一目散に逃げる中、シェリアは素早く魔術を唱える。
「大人しくしなさい!ロープマジック!」
 シェリアの魔術で何処からか糸が飛び出し、ゾンビ達を縛り上げて次々と宙吊りにする。それもその筈この糸は特殊な素材で出来ているため、簡単には解けないのだ。
「はい!終わったわ!」
「良かった……一時はどうなる事かと……」
 アミ達が安堵する中、キッカはすぐに危険を察する。
「どうやらこの先にゾンビを操る者がおる。しかし、ゾンビの数はあと数体おるぞ」
「今いるゾンビが5体だから……そんなに数は少ないみたいだな」
 マリスは今いるゾンビの数を確認し、真剣な表情をする。
「数体と言っても油断はできない。もしかしたら、ゾンビを操る者自体が強力な存在かもしれないし、俺達は慎重に行動しなければならないからな」
「ファンクさんの言う通りですね。先に進みましょう!」
 ファンク達は周囲を警戒しながら進んでいき、元凶のいる小屋へと進み始めた。

     ※

 その元凶のいる小屋の中では、二人の男が話し合いをしていた。一人は悪魔、もう一人がゴブリンだ。
「どうやら何者かがこちらに近付くみたいだな。この騒動を終わらせるつもりだろう」
「ええ。見つかって元に戻されたら溜まったものじゃないですよ。戦力も減らされたら火山の中にいる軍勢も減らされますし」
 ゴブリンの意見に悪魔は同意し、すぐに立ち去ろうとする。
「まあ、やるからには覚悟を決めて立ち向かうのみだ。俺はゴブレット村に行って住民達を根絶やしにする。後は頼むぞ!」
「はっ!」
 悪魔は小屋から出てゴブレット村に向かい、残ったのはゴブリンだけとなった。
「さて、上手く足止めできるかだが……単なる時間稼ぎぐらいにはなるだろう。上手くやれる事を信じていますよ。グリーザ様」
 ゴブリンはグリーザの成功を信じながら、小屋に向かうファンク達に立ち向かう事に専念し始めた。
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