上 下
272 / 277
第八章 激闘!トーナメントバトル

第二百七十話 史上最大のプリズンバトル

しおりを挟む
 シャイニングナイツとプリンセスヴァルキリーズの戦いは、最初から激しさを増しながら激戦となっていた。それはグラディアスばかりではなく、他の世界でもこの戦いであるプリズンバトルが注目されているのだ。
 観客席では零夜と三上も観戦していて、この試合の行方を気になっていた。

「まさかプリズンバトルとは驚いたが、基本的には反則裁定無しの戦いとなっているな」
「ああ。ワールドレッスルスタジアムでは年に一度この戦いが繰り広げられているが、この戦いはそれ以上に盛り上がるかもな……」

 零夜と三上が冷や汗を流しながら、真剣な表情で戦いを見つめていた。すると次のメンバーが入ろうとするカウントダウンが始まりを告げようとしていて、観客達もカウントをし始めた。因みにプリズンバトルは次の入場待ち時間は1分感覚となっているだけでなく、両チーム同時に次のメンバーを出しておくルールとなっているのだ。

「次のメンバーは誰が出るのか?今、カウントが進んでいます!」
 
 そのままカウントが進んだと同時にブザーが鳴り、両チームから次のメンバーが出てくる。シャイニングナイツからはガンテツ、プリンセスヴァルキリーズはセリアとなっているのだ。

「まさかのドワーフ対決とは!これは見物だが、その結末はどうなるのか?おや?場外で睨み合っています!何やってんのアンタ等!」

 ラビリンが興奮しながら実況をした途端、セリアとガンテツはリングに上がらず場外で睨み付けていた。お互いが火花を散らしていて、バチバチと睨み合っている様子が伺える。

「まさかアンタと闘う日が来るとはね。私達だって負けられない覚悟がある以上、あなたを必ず倒すわ!」
「小娘が!こんわしを倒そうなど百年早か。地獄ちゅうんを教えてやっ!行っど!」

 セリアとガンテツは斧を持ちながら、激しい戦いを繰り広げ始める。斧と斧がぶつかり合う度に火花が散らしまくり、一歩も引かぬ展開となっていた。しかしリングには上がってないので、時間は止まっているままだ。

「ちょっとアンタ達!ここで戦わないでリング上で戦いなさい!ルールを守りましょう!」
「……はい」
「……おう」

 ラビリンの指導となるマイクが大きく響き渡り、セリアとガンテツは項垂れながらリングへ向かう。叱られた事が余程ショックと言えるだろう。
 そのまま二人がリングに上がった直後、時計の針が動き出し始める。戦いは更なる展開へと予測されるが、下手をすれば怪我人が続出してしまう事態もあり得るだろう。ワールドレッスルスタジアムでもその様な事態が起きていて、複数が負傷してしまう事態が起きているのだ。

「さて、気を取り直して……リング内では激しい戦いが繰り広げられています。そのままガンテツのタックルがセリアに炸裂した!」
「ぐへら!」
「うおっ!勢いよくセリアが弾き飛ばされた!」
「ガンテツは攻撃力とパワーが高いからな……」

 ガンテツの勢いのあるタックルが決まり、セリアは弾き飛ばされて金網に激突。ガンテツの身体は誰よりも頑丈なので、パワーと防御力が持ち味だ。その為、たった一度のタックルによって吹き飛ばされてしまうのも無理ない。
 これに三上は驚いてしまい、零夜は冷や汗を流している。

「こ、こいつ……」
「嬢ちゃん、まだやる気か?」
「舐めるなァァァァァァァ‼」

 ガンテツの挑発にセリアの怒りが爆発し、彼を背負い投げで勢いよく投げ飛ばす。ガンテツも金網に激突したが、頑丈なので問題ないと言えるだろう。

「ここでお返しの投げ技炸裂!そして三人目が投入されるが、今度は誰を出すのか!」

 そのまま三人目の投入を告げるカウントダウンが始まり、時間と同時に三人目がリングへ駆け出し始めた。シャイニングナイツはバルク、プリンセスヴァルキリーズは天狐だ。

「両チームとも三人目を投入!このメンバーで何処までダメージを与えられる事ができるのか?」
「よし!ここは妾が行くぞ!」

 天狐は素早くリング内に入り、ガンテツに対して術式を唱え始める。すると強烈な炎がガンテツの周囲を囲み、そのまま彼を包み込み始めた。

「爆破!」
「ぐはっ!」

 強烈な爆発が炸裂し、ガンテツは爆発のダメージを喰らってしまう。彼は頑丈なのが取り柄だが、今の攻撃は下手したら死んでしまう威力であるのは間違いない。しかしガンテツはすぐに戦闘態勢に入りつつ、天狐を睨み付ける。爆発の借りは返さなければならないだろう。

「ガンテツさん。ここは俺が行くッス!」
「バルク!」

 しかしバルクが飛び出したと同時に、天狐に対して激しいラッシュを繰り出し始める。ところが彼女はヒラヒラと返してしまうので、攻撃は外れてしまうばかりだ。いくら攻めていたとしても、回避されてしまえば意味がない。

「そうはさせぬ!はっ!」
「ぐほっ!」

 天狐による波動掌底が炸裂し、バルクは勢いよく飛ばされて金網に激突してしまう。彼の口から吐血が起きてしまうが、すぐに気を切り替えて戦闘態勢に入り始めた。

「やってくれるっスね!俺も本気で立ち向かうのみ!」
「わしはそんなに甘くないぞ!九尾の意地を見せてくれるわ!」

 バルクはすぐに気を切り替えながら、天狐に対して真剣な表情で睨み付ける。対する彼女も彼を指さしながら、正式に宣戦布告をした。すると次の出場者のカウントダウンが進み、誰もがこの時を待っていたとカウントを始める。そのままブザーが鳴ったと同時に、四人目の戦士が投入された。

「ここは私が行くわ!皆を助けないと!」
「私が向かうわ!メンバーを楽させないとね!」

 シャイニングナイツはクロエ、プリンセスヴァルキリーズはアナが飛び出す。両者は金網のリングの中に入り、真剣な表情で睨み付け始めた。お互い魔術師としてのプライドがある限り、負ける理由はないだろう。

「あなたを倒すわ。覚悟しなさい!」
「覚悟するのはアンタの方よ!覚悟しなさい!」

 クロエとアナは同時に飛び出し、お互い術を駆使しながら激しい戦いを繰り広げ始める。両者とも互角の展開であり、一歩も引かずに立ち向かっている。二人は真剣に努力したからこそ、この様な戦いが繰り広げられるのだ。

「ここで魔術対決が勃発!両者とも諦めずに精一杯立ち向かう!これは見事としか言えないが、果たしてどちらが魔力を尽きてしまうのか⁉」

 ラビリンの実況と同時に観客達も興奮しまくるが、ここでクロエコールが起こり始める。グラディアスの魔術師である彼女が負ける筈はないと、彼等は心から彼女を信じているのだ。

(皆の声援が力になっていく……私は……絶対に負けられない!皆の為にも、ここで勝って零夜達と闘う為にも!)

 クロエは心の中で自ら勇気を奮い立たせ、更なる攻撃をアナに叩き込ませようとする。しかし彼女は既にその攻撃を見切っていて、回避したと同時に強烈なアッパーをクロエの顎に叩き込んでしまったのだ。

「ここで攻撃炸裂!クロエがアッパーを喰らって宙を舞った!」
「良いわよ、アナ!ナイス攻撃!」

 別の観客席ではキララがアナに声援を送り、彼女は笑みを浮かべながら手を振っていた。しかしクロエもここでやられる女ではない。すぐに態勢を整えたと同時に、真剣な表情をしながらアナを睨み付ける。彼女によって恥をかかされた以上、ここで負ける理由にはいかないのだ。

「やってくれるわね……倍返しにしてあげるわ!」
「やれる物ならやってみなさい!」

 両者は真剣な表情で睨み合い、激しい戦いに再び投じる。メンバー追加も後半戦に入ろうとしていて、カウントダウンも進んで五人目に入ろうとしていたのだった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...