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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百五十一話 トップエイトの集結

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 おとぎの世界での戦いから数日後、ダークゾーンにあるアークスレイヤー本拠地では、ザルバッグが真剣な表情をしながらウインドウの画面に視線を移していた。それは本戦となるトーナメントに出場を決めたチームの一覧で、現在は六チームあるのだ。

「ふむ。どのチームも手強いと言えるな……この中から我々を倒すチームが出てくるが、どうなるかだな……」

 ザルバッグは真剣な表情をしつつ、グラスに注いであるワインを一口飲み干す。余裕の表情をしているが、実際は少しの緊張感が心の中にあるのだ。
 優勝となる有力候補はブレイブペガサス、プリンセスヴァルキリーズ、シャイニングナイツの三チームで、メテオファルコンズ、スノーホワイトの二チームも本戦出場を果たしている。更にワンダーヒーローズも全ての課題を終わらせている為、残りの出場枠は十チームあるのだ。

「さて、そろそろトップエイトが来る頃だが……」

 ザルバッグがウインドウに付属している時刻を見たその時、神室が扉を開きながら姿を現す。彼は冷静な表情をしていて、コツコツと歩きながらザルバッグに近付く。

「申し上げます。ヒコマツを始末する事に成功しました。スパイラルエアーズは強制解散。七人の女性は奴隷として、この本部の牢獄に突き出しておきました」
「ほう。有力候補のスパイラルエアーズを解散させたか。実に見事だ」

 神室の報告に対し、ザルバッグはウンウンと頷きながら彼を褒める。神室は拾われてくれた恩を返す為、熱心に仕事を取りこなしている。それによってトップエイトのメンバーに選ばれたが、いずれは後継者になる事もあり得るのだ。
 するとアルスタインも扉を開きながら姿を現し、ザルバッグに近付いて一礼をする。彼もザルバッグに拾われた一人であり、神室と同様に行動しているのだ。

「カボチャ男爵については始末されたみたいです。ブレイブペガサスとワンダーヒーローズによって、パンプキンパイにされました」
「そうか。後は他の六人についてだが……」

 ザルバッグは神室とアルスタインの他に仲間がいる事を確認し、他の仲間がいないかキョロキョロと辺りを見回す。すると扉が急に開かれたと同時に、六人の戦士達が入ってきた。

「ようやく来たか。六人共」
「遅くなってごめんなさい。他の世界の侵略に手間取っていたわ」

 魔術師の女性であるバラーダは、集合時間に遅れた事を謝罪する。他の五人も一礼しながら謝罪した後、神室、アルスタインと共に一列に並び始めた。
 バラーダは絶世の美女でありながら、魔女としても活動している。特に胸もでかく、赤いボディコン姿の体型も見事としか言えないだろう。

「構わん。で、報告の内容を説明してくれ」
「おう。俺とバラーダはフリューダスという世界に赴き、ジョヌルという男を始末する事に成功した」

 トップエイトの一人であるヴィクトルは、任務の内容を真剣な表情でザルバッグに説明。彼は元はと言えば囚人だったが、ザルバッグに拾われて今に至る。其の為、囚人服がトレードマークとなっているのだ。

「こちらはとある世界に赴き、一人の男の始末を完了。仲間の女性達は既に捕虜となっています」

 ベックと呼ばれた男は、冷静な表情で報告しながら一礼をする。彼はインテリ頭脳派で科学者だが、担当研究をクビになっていたところをスカウトされた。
 現在彼はトップエイトの司令塔として活動していて、白衣がトレードマークとなっているのだ。

「残るは三人だったな。ジア、ユンファ。そしてピエール・コーション」
「ええ。我々に関しては本部にある確認をしたところ、特に異常はありませんでした。」

 ピエール達は内部調査をしていて、今のところは特に異常なかったとの事。しかし、裏切り者がいつ出るのか分からないので、継続して確認を続けるだろう。

「そうか。お前達、引き続き内部の調査を頼むぞ」
「「「はっ!」」」

 ザルバッグからの命令に対し、三人は一礼しながら応えていく。それ程彼に忠誠を誓っているのだろう。
 ジアは韓国出身の転生者で、赤いチマチョゴリを着用している。彼女は弓矢、炎の闇の魔術を得意としている危険人物だ。元は犯罪者で刑務所に入れられていたが、事故で死亡していたとの事。
 ユンファは中国出身の転生者。彼女は黒いチャイナドレスを着用し、さまざまな武器を扱いながら戦う。元はマフィアの女ボスだが、銃撃戦で死亡していた。
 そしてピエール・コーションは百年戦争時代の偉人で、フランス人でありながらイギリスと手を組んでいた。ザルバッグによって復活してからは、彼の参謀として活躍している。

「さて、本題に入るとしよう。現在トーナメントの進出チームは六チームあるが、他のチームで次々と脱落している奴等が続出している」
「スパイラルエアーズのヒコマツも、大した輩ではありませんでしたからね。転生特典に頼り過ぎていたのが、敗因でしたから」

 ザルバッグの説明を聞いた神室は、ヒコマツを倒した時の事を振り返り始める。彼はヒコマツの転生特典を封印したと同時に、強烈な斬撃で倒してしまった。転生特典に頼り過ぎていたのが、仇となったのだ。

「そうだ。奴等は転生特典さえ取り上げれば、タダの馬鹿にしか過ぎない。何れにしても私の前では無力その物だ……」

 ザルバッグはすぐに立ち上がったと同時に、神室達に視線を移し始める。それを見た彼等は真剣な表情をしたと同時に、横一列の整列で待機し始めた。

「お前達に命ずる!本戦出場を果たしたチームのいる世界は、侵略行為を禁止する!それ以外の世界は思う存分破壊せよ!」
「つまり、選ばれし戦士達のチームを減らす事ですね。やるからにはいい仕事しておきます!」

 神室はザルバッグの命令をすぐに理解したと同時に、すぐに任務に取り掛かり始める。頭の回転ではトップエイトの中で一番早く、すぐに取り掛かるのが彼の良いところだ。

「我々も向かいましょう!」
「手柄を独り占めしないで頂戴!」

 ピエール達も後に続いて任務に取り掛かり、話し合いをしながら駆け出した。それを見たザルバッグは椅子に座ったと同時に、真剣な表情をしながらウインドウの画面に再び視線を移す。

「選ばれし戦士を野放しにすれば、私の野望は阻まれてしまう。何が何でも……達成するのみだ!」

 ザルバッグが心の底から決意を固めたと同時に、外の風の音が強くなり始める。間もなくこのエリアは嵐になろうとしているのだった。
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