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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百三十八話 サポートする者達の覚悟

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 エヴァ達と魔女との戦いが激しさを増している中、ドリトン達は目的地である魔女の家へと辿り着いていた。そこはお菓子でできた家であり、美味しそうな匂いがしているのだ。
 しかし、今回の目的は魔女の家の秘密を探る事。彼女の秘密を探れば、野望を打ち砕く可能性があるだろう。

「よし!ここは俺に任せろ!」

 コバルトは懐から針金を取り出し、そのまま鍵穴に差し込み始める。カチャカチャと音を鳴らす中、そのまま鍵の解除に成功した。

「扉が開いた。進むぞ!」

 ドリトンの合図で彼等は突入し、魔女の家の中を見始める。そこは普通の家であるが、生き物達の鳴き声が聞こえている。そこには多くの生き物が牢屋に入れられていて、コウモリ、クモ、犬、カラスなどが閉じ込められていたのだ。

「こいつ等……魔女によってやられたのか?」
「いや、飼っているのだとしたら……解放したらまずいだろ」
「結局その辺りはどうなのか?」

 リッパー達がざわざわと話し合う中、ベンはクモ達を見ながら真剣な表情をする。生き物達には何か秘密があると感じていて、調べずにはいられないのだろう。

「分かりました。ここにいる生き物達ですが、その正体は子供です!」
「「「子供!?」」」

 ベンからの報告にリッパー達は驚きを隠せず、ドリトンとコバルトは真剣な表情をしていた。ドリトンは長年の経験で生き物の正体を知っていて、コバルトは敵との戦いで同様に知る事ができるのだ。

「はい。彼等は魔女に騙されたと同時に、特殊な薬で生き物に変えられたのです。それがこの薬です!」

 ベンは机の上に置いてある一本の薬瓶を取り出し、それをドリトン達に見せる。彼はその薬をじっと見つめたと同時に、その正体をすぐに察する事に成功する。

「なるほど。これは生き物変化薬じゃ。この薬によって生き物に変化され、元に戻る事は不可能とされておる。しかし、あの薬なら大丈夫じゃ!」

 ドリトンはコバルト達に説明した後、机の上にある緑の瓶の薬を手に取る。その薬には「元戻し薬」のラベルが貼り付けられていて、彼はそのまま近くにいる子犬に薬をかけ始めた。

「どうなったんだ!?」

 コバルト達は気になって子犬の方を見ると、なんと子犬は元である子供の姿になったのだ。それを見たコバルト達は驚きを隠せず、元の姿に戻った事に安堵していたのだ。

「おお!元の姿に戻った!」
「これさえあればバッチリだな!他の奴等にも掛けておこうぜ!」

 コバルトは薬をドリトンから受け取り、リッパー達はコウモリと虫達などを牢屋から出し始める。そのままコバルトは薬をコウモリ達に次々と掛けまくり、子供達の姿に戻しまくった。これで囚われていた子供達は救出され、そのまま魔女の家から飛び出して帰り始めた。

「気を付けろよー!」

 ビストロが子供達に注意しながら叫んだ後、すぐに仲間達に視線を移す。魔女の家についての秘密はそれだけではなく、他にも隠された秘密があると考えているだろう。

「他にも魔女の秘密があるかも知れない。それを見つける事ができれば、エヴァ達のサポートになると思うが……」
「なるほど。となると、隅々まで探す必要があるな。徹底的に探し出すぞ!必ず魔女を倒す道具があるかも知れないからな!」
「「「おう!」」」

 コバルトの合図と同時に、ドワーフ達は一斉に魔女の家の探索を始めた。隅々まで調べまくる中、ビストロは竈にあるお鍋を見つける。それは薬が煮込んでいて、液体の色は灰色となっている。見ただけでもゾッとしていて、危険な薬品である事には間違いないだろう。

「おい、これ……薬が煮込んでいるぞ!」
「何?」

 ビストロの合図を聞いたドリトンは、彼の下に移動して鍋の中に視線を移す。灰色の薬を見たドリトンは真剣な表情をした後、すぐにある作戦を思いついた。
 ドリトンは閃きの天才であり、それによって多くの戦いを乗り越えていた。この閃きがあるからこそ、彼がリーダーになるのは当然であるだろう。

「いい作戦が浮かんだぞ!この薬品は何かに使える!」
「何かいい案があるのか?」
「まあな。全員集合!ここで作戦会議を行うぞ!」

 ビストロの質問にドルトンはニヤリと返した後、すぐに仲間達を集め始める。同時に彼等による作戦会議が開かれようとしているのだった。



 同時刻、モック、マック、ムックの三匹の子豚は、とある一軒家の前に立っていた。それはいわゆる普通の一軒家だが、異様な空気を放っている。その様子からすれば、普通の家ではないのは確かだ。

「本来なら狼撃退用に作ったが、その狼はエヴァ達によってやられてしまったからね」
「だが、魔女が来た事でピンチの展開になったからな。今こそ使う時だ!」

 マックが一軒家にあるスイッチを押すと、家がからくり仕掛けで変化し始める。すると多くのアームが次々と飛び出し、更には専用のクレーンまで出てしまった。
 これぞ狼専用のお仕置きマシンであるが、魔女には有効なのか気になるところだ。

「魔女には効果有るかどうかだが、魔力を封じる銃も用意すればいいと思うな」
「よし!急いでセッティングを終わらせるぞ!」

 三匹の子豚は頷き合ったと同時に、お仕置きマシンの調整などを正確に始めた。相手は魔女なのでお仕置きマシンをどう改造するかがポイントだが、三匹が力を合わせればこのぐらいはお手の物だ。

「ここはこのぐらいだな。後は金属バットを用意しないと」
「魔女には効果抜群だな。後はドリトン達から連絡があるそうだが、良いアイテムを持ってくると聞いている。一体何を持って来るんだ?」

 ムックがドリトン達の持ってくるアイテムに対し、思わず疑問に感じながら作業をしていた。すると、ドリトン達が大鍋を台車で運びながら、三匹の子豚達の元に駆け付けてきた。しかも、その鍋の中には石の薬品が入っているのだ。

「待たせたのう。これが石の薬じゃ。掛けられると石になってしまうぞ」
「石の薬……じゃあ、この薬を魔女に掛ければ、固まって動けなくなるのか……後は魔女をどうおびき寄せるかだな」

 マックはドリトンの説明に納得するが、後は魔女をどうおびき寄せるかに悩み始める。魔女は魔術を駆使しながら、どんな状況を乗り越えていた。そんな彼女をどうおびき寄せるかが問題である。
 するとコバルトが手を挙げ、マックの元に近づいてきた。

「ここは俺に任せてくれ。あいつの悪口を知っているし、それを聞けば周りを忘れてしまい、一つの事に集中してしまうからな」

 コバルトの説明を聞いたマック達は、その内容に頷きながら納得する。魔女の性格さえ分かっていれば、後は問題なく作戦通りに進められる。コバルトが教えてくれなかったら、どうなるのか分からなかっただろう。
 
「じゃあ、その件については頼んだぞ!」
「あいよ!」

 コバルトはグッドサインで応えたと同時に、お仕置きマシンの調整を手伝い始める。エヴァ達がピンチになる前に早めに完成したいところだが、果たして上手くいくのだろうか。
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