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第六章 山口観光騒動記

第二百五話 殿町の闇堕ちの真実

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 デビルキラーズの首謀者が元いじめっ子の殿町であるだけでなく、残りの六人もそのチームに入っている可能性がある。刺客を全て倒したとしても、殿町がいる限りは戦いは終わらないだろう。

「まさかあのいじめっ子達が、デビルキラーズを結成していたなんて……」
「不思議な事もあるけど、奴等は零夜を狙っているみたいね……」

 ミミとキララの考えに倫子達も同意し、零夜に視線を移していた。まさか奴等が仕返しの為、アークスレイヤーに入っていたとは予想外である。刺客を放ったのも其の為であったのだろう。
 しかし零夜は冷静に対応していて、刺客を使って襲い掛かってきた理由に納得していた。もし、それが殿町などのいじめっ子でなければ、別の誰かがやっている可能性もあっただろう。

「奴等がアークスレイヤーにいるとはな……恐らく小学生時代の頃を恨んでいるだろう」
「あの人達と何か関係があるの?」

 零夜の真剣な推測に、コーネリアが疑問に感じながら彼に視線を移す。倫子、ヒカリ、美津代、エヴァの四人はその話を聞いているが、コーネリア達はまだ知らないので首を傾げていたのだ。

「ああ。俺が神室に虐められていた時、その頃の小学校はグループ抗争が勃発していた。当時の学年は三年だったが、学年毎のグループ抗争によって滅茶苦茶になっていたそうだ」
「「「どんな学校だったの(ですか)!?」」」

 零夜からの説明を聞いたルリカ達は、あまりにも展開過ぎる内容に盛大にツッコミを入れてしまう。ミミ達はその話を懐かしんでいて、倫子、ヒカリ、美津代は苦笑いしていた。普通の小学校でもここまで荒れる事はないが、異常すぎると言ってもいいぐらいだ。

「俺の学年では神室率いるデビルサバイバーズが有力だった。しかし神室が俺にやられたのを切欠に、そのチームは消えてしまった」
「その後にいじめっ子達が次々と零夜に襲い掛かってきたけど、全員返り討ちにされて倒されたわ」

 零夜とミミの話を聞いたコーネリア達は、納得の表情をしていた。
 零夜が神室を倒した事は有名となっていて、多くのいじめっ子達は彼を標的にしていた。しかし、零夜を甘く見ていたのが間違いだった為、いじめっ子達は次々と倒されてしまい、たった一人の彼によって呆気なく全滅してしまった。
 これによってグループ抗争は終わりを告げ、小学校は平和を取り戻した。いじめっ子達やグループ抗争に関わった者達は転校していたが。

「けど、いじめっ子達とグループ抗争に関わった者達は転校したみたいだけど、その後どうなったの?」

 エヴァは先程零夜の話を聞いた時、気になる事があって彼に質問する。小学校でのグループ抗争をした者達は転校していたが、神室、殿町以外のメンバーはどうなったのか気になっていた。
 その話を聞いた栞は、エヴァや皆に対して説明を行う。

「話によれば少年院に送られた者もいれば、転校先でいじめを受けたりした者もいる。今じゃ神室や殿町の様に闇堕ちした者もいるし、人それぞれだからね」

 栞はいじめっ子達のその後の事を簡潔に説明し、その内容に一部が納得していた。
 詳しく言えば転校先で虐められて自殺した者もいれば、少年院に入れられて社会に出てやり直す決意をした者もいる。更にお寺に入って鍛えなおされたりする者もいれば、親の悪事などによって一家が離散してしまった者もいる。
 しかし、殿町や神室が闇堕ちした様に、元いじめっ子達も闇堕ちしている可能性もあり得るだろう。零夜にやられた事を恨んでいる者は半分以上いる為、闇堕ちしてしまう確率は六十パーセントぐらいとなる。

「それにしても殿町の奴、どうして闇堕ちなんかしていたんだ?」
「あいつに一体何があったのか気になるな……」

 ソニアと杏が殿町が闇堕ちした理由が気になる中、アミがパソコンを持ちながら殿町のデータを確認する。アミは情報収集も得意としているので、敵のデータもすぐに揃える事が出来るのだ。

「そうなると思って殿町のデータを収集したわ」
「アミお姉ちゃん!」

 アミはウインクしながら情報を集めた事を伝え、ミミ達は彼女の周りに集まり始める。データを集める事を得意とするアミがいるとなると、心強くて頼もしい存在である事に間違いないだろう。ただし、金儲けの悪い癖がなければの話だが。

「殿町は転校した後にいじめを受けていて、自殺しそうになった時期もあったわ。その後はフリーターとして活動していたけど、異世界に転移して神室と出会い、今の姿があるという事よ」
「そうなんだ……じゃあ、殿町が送り出した刺客は……」
「全部殿町の能力による物よ。そこで彼は様々な物や人を強化させる能力を手に入れ、仕事人軍団「デビルキラーズ」を結成したからね」

 アミからの真剣な説明に、零夜達も真剣な表情で納得していた。殿町もいじめによって辛い思いをしていた経験があり、それを乗り越えて普通に生活していた。しかし、彼がアークスレイヤーに所属している事は予想外であり、これによって他の元いじめっ子達も影響してくる可能性があるのだ。
 この観光中に倒した刺客が殿町によって生み出されたのだとしたら、奴を根本的に倒して殺すしか方法はない。このまま放っておいたら、今後も零夜達に対して刺客を出して襲い掛かるだろう。

「いずれにしても倒さなければならないか……恐らく奴は五重塔で刺客を倒した時、必ず出てくる可能性が強いだろうな」
「そうですね。そうなると私達の手で終わらせましょう!殿町は零夜様を狙っていますし、このまま放っておける理由にはいきません!」

 零夜の真剣な推測にルリカは拳を握りしめていて、ミミ達も真剣な表情で倒す事を決断。殿町は零夜を倒す事を諦めていないとなれば、決着は早めに着ける必要があると言えるだろう。
 それに修吾も同意する中、彼は真剣な表情で零夜達に視線を移していた。

「恐らく明日は五重塔に行く事になるが、油断は禁物だ。殿町は最強の刺客を放つかも知れないだろう」
「そうなると気を引き締めて戦う事になるわ。油断せずに気を付けて」

 修吾と文香のアドバイスに、零夜達が強く頷きながら応える。明日の五重塔での観光は最強の刺客だけでなく、殿町まで出現する可能性もある。一瞬の隙を突かれてしまえば、あっという間にやられてしまう可能性もあるからだ。

「了解。夕食を食べたら修行しておかないとな。ここで休んではいられないし!」
「ストップ!」
「あだっ!」 

 零夜はすぐにジャンプしながら立ち上がり、訓練に向けてストレッチをし始める。するとミミが零夜の後頭部をチョップしていて、彼は思わず頭を抑えてしまった。

「訓練する気持ちは分かるわ。けど、時には休む事も大切よ。それに戦い続きで疲れもある以上、無茶は厳禁だからね!」
「マジかよ……!くっそー……」

 ミミからの指摘に零夜はガックリと項垂れ、それに皆が笑ってしまうのも無理なかった。とにかく旅行の二日目も無事に終わり、残るは山口市だけとなった。果たして無事に課題をクリアできるのだろうか?それは進んでみないと分からないだろう。
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