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第六章 山口観光騒動記

第二百話 水族館は大はしゃぎ

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 零夜達は下関港に辿り着き、下関海響ランドの前に辿り着く。そこは大きな水族館であるが、平日のお客は少ないのが幸いだ。

「水族館は初めての人もいるみたいだから、案内しておかないとね」
「お願いね、ミミ。私達、水族館初めてだから」
「いいわよ。じゃあ、早速行きましょう!」
「「「はーい!」」」

 ミミを先頭に皆が水族館の中に入り、ルートに沿って歩きながら進み始める。中はとても涼しく、快適な温度となっているのだ。
 まず最初は関門海峡潮流水槽。関門海峡をテーマとした水槽で、イサキやスズキ、マダイやマハタ、クエやヒラメ、メバルの仲間、アカエイがいる。
 アカエイが水槽内を泳ぐ姿にマーリンは興味を抱き、アミリス達も様々な魚をじっと見ていた。

「マーリン、アカエイがそんなに気になるの?」
「うん。私の海底都市にはマンタという大きな魚がいるの。私達はそれに乗って移動しているし、アカエイを見ると思い出すからね」

 倫子の質問にマーリンは笑顔で応えながら、アカエイが気になる理由を説明する。
 マーリンの故郷はマンタというエイの仲間に乗って、様々な場所に移動している。しかも一家に一台所有していて、餌代も掛かるので一苦労だ。
 
「あなたの住んでいるところって、私達と違うところがあるのね。非常に興味湧きそうになるわ」
「まあ、所変われば品変わるだからね。次に進みましょう!」

 マーリンは笑顔を見せたと同時に、皆は次の場所に移動する。すると海中トンネルが目の前に映り、エヴァ達は立ち止まってキョトンとしてしまう。

「どうしたの?」
「ここ、通っても大丈夫なの?」
 
 ヒカリが不思議そうにエヴァ達の方を見ると、彼女は心配そうに質問をしてきた。
 エヴァ達は海中トンネルを見たのは初めてで、通ったら濡れてしまうんじゃないかと心配になっているのだ。いくらガラスで防いでいるとは言えども、割れてしまうんじゃないかと心配になるのも無理はない。

「大丈夫よ。ほら、着いてきて。零夜達もサポートをお願い!」
「あいよ!」
「任せて!」

 ミミはエヴァの手を取りながら歩き始め、零夜達もアミリス達を押しながら海中トンネルの中に入る。立ち止まっているのなら、無理矢理にでも押して進むしかないだろう。

「ちょっと、まだ心の準備が……あれ?大丈夫みたい」
「本当だ……凄いところだな……」
「うわぁ……綺麗……こんな景色があるなんて……」
 
 エヴァ達が透明足場を踏んだ途端、すぐに安心感が沸いて落ち着きを取り戻していく。何故なら強化ガラスによる卵型のトンネルなので、どんな水圧でも耐えきれる事ができるのだ。
 更にイワシの群れが様々な動きを見せていて、アミリス達は興味を示しながら見ていた。

「ね?大丈夫だったでしょ?」
「うん。それにしてもイワシって凄いね……群れで生活してこんなパフォーマンスもできるなんて……」
「でしょ?けど、イワシ以外にも色々あるからね。先に進むわよ!」

 ミミはエヴァ達に笑顔を見せたと同時に、そのまま先に進み始める。零夜達も同行し、次のエリアへと向かったのだった。



 フグの展示エリア、クラゲ、サンゴ礁、熱帯雨林、干潟という風にエリアを進む中、干潟エリアではカブトガニという生き物にジャンヌが興味を示す。あまり見た事がないので、凄く気になっているのだ。

「カブトガニは変わった生き物ですね。動きも可愛くて良いと思います!」
「そ、そうなの……?私としてはそうじゃないと思うけど……」 

 ジャンヌはカブトガニを可愛く気に入り、それにマリーは苦笑いをする。人の好みによるが、カブトガニを可愛いと思うのはどうなのだろうか。


 
 スナメリプールではアクアリングのパフォーマンスがあり、その姿にミミ達女性陣は興奮していた。スナメリは白いイルカであり、可愛らしくて人気があるのだ。

「アクアリング、初めて見ました!可愛さあって素敵です!」
「ええ!とても可愛いわ!早速記念写真を撮りましょう!」

 アクアリングのパフォーマンスにジェニーは興奮し、コーネリアが皆で写真を撮る事を提案。それに皆も頷きながら賛同し、彼女達は水槽前に移動して並び始めた。

「行きますよ!サン、ハイ!」

 零夜はスマホで皆の写真を撮り、真ん中にスナメリが映っている見事な写真を撮り終えたのだ。それにジャンヌ達が凄いと感じたのは言うまでもないだろう。

「良い写真です!次はイルカショーですね」
「イルカショーか。確かイルカプールにあるから行ってみようぜ!」

 零夜の合図に全員が頷き、そのままイルカプールに向かう事に。すると彼等の姿を見たお客達も、次第にイルカプールへ向かい始めた。目的はイルカではなく、零夜達だろう。



 イルカプールではイルカとアシカのパフォーマンスに皆が興奮する中、司会のお姉さんがマイクを構えながら零夜達に視線を移す。

「さあ、次はお客さんにイルカの指示をやってみましょう!ブレイブペガサスの皆さん、どうぞ!」
「へ?俺達?」

 司会からの指示に零夜達が驚いてしまい、観客達も彼等に視線を移す。零夜は観光に来た筈なのに何故こうなるかと思う中、ミミ達は乗り気となっていた。

「そうと決まれば行くわよ!ここは私達に任せて!」
「お、おい!」

 ミミ達はステージの方に飛びながら移動したと同時に、一列に並んでイルカに指示を始める。彼女達は動物達に指示する事を既に学んでいる為、イルカの指示はお茶の子さいさいなのだ。

「「「おおーっ!」」」

 ミミ達とイルカ達のパフォーマンスに観客達が興奮し、次々と拍手が響き渡った。まさか選ばれし戦士達がイルカの指示のパフォーマンスをしてくれる事は、二度とないと感じたのだろう。

「アイツ等……ある意味凄いよ。マジで」

 それに零夜は唖然とした表情をしながら、ため息をつくのも無理なかった。彼女達が変な方向に走っていくのではないかと、心配してしまうのも当然の事だと感じたのだろう……



 その後、ペンギンを見た後に水族館から出た後、萩に行く前に下関土産を買う事に。エヴァも狙っていたお土産を手に入れ、ニコニコと笑顔のご満足の様だ。

「これで下関も終わり。次は萩ね!」

 アミリスはスタンプカードを見ながら確認し、残るはあと二つである事を確認する。萩の吉田松陰の生家、山口の瑠璃光寺五重塔の二つさえ巡れば、課題達成なのだ。
 
「吉田松陰の生家だな。ここは電車とバスはあるが、時間が掛かるからな。ここは空を飛んで移動するか!」

 零夜の提案に皆も頷く中、彼のバングルにブーブーと通信が入る。その連絡内容を見ると、彼の父親からである。

「父さんからだ。もしもし……」

 零夜は通信に応じ、父と連絡を始める。皆が零夜の話に気になる中、ミミがある事を察しながら冷や汗を流していた。

「どうしたの?冷や汗を流しているけど……」
「はい……このパターン……大変な事になるかも知れません……」

 美津代の質問にミミが冷や汗を流しながら応える中、零夜は通信を終えて皆に視線を移す。それに彼もまた冷や汗を流している為、嫌な予感は的中していたのだ。

「父さん達が……ミミ姉の家族と共に萩に向かうそうだ……その目的は……俺の恋人が増えた事だ……」
「「「ええっ!?」」」

 零夜からの報告にヒカリ達は驚きを隠せず、ミミはあちゃあと顔を抑えてしまう。萩での観光は零夜とミミの家族が来る事で、波乱が起こりそうになるだろう……
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