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第四章 エルフの森の怪物騒動

第百三十八話 ネオベルセルクの新たな姿

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 ネオベルセルクは零夜達に向けて柿を次々と投げまくるが、尽く回避されるだけでなく、柿まで回収されていた。これではキリが無いと言えるだろう。

「柿ではキリがないな……それならこいつだ!」 

 ネオベルセルクは翼を広げて零夜に襲い掛かるが、彼は回避したと同時に敵の背中の上に乗る。忍者だからこそ、アクロバティックな動きはお手の物である。

「何!?」
「そんな攻撃が通じるか!これは土産だ!」

 零夜は懐から火薬玉を次々と投げまくり、次々と翼に当てて爆発を起こす。翼は火薬玉を次々と受けてボロボロになっていき、所々が黒焦げとなっていた。

「うおっ!翼が!」
「まだまだこれからだ!その翼を破壊してくれる!」

 零夜は二つの忍者刀を引き抜き、そのまま村雨へと変化。刀身には水のオーラが纏わり、彼は獲物を狙うような目で忍者刀の柄を強く構える。

村雨斬むらさめざん!」
「ぐおっ!」

 水の双剣斬撃がネオベルセルクの翼を切り裂き、そのまま結合崩壊に成功する。かなりのダメージを受けているだけでなく、飛行能力も低下してしまったのだ。

「零夜、今の技って……」
「村雨斬。南総里見八犬伝の村雨を元に開発した技だ。初めてだったが、上手く成功できて良かった……」

 零夜がミミ達に今の技の説明をした後、忍者刀の刃を見て微笑んでいた。初めてでありながら村雨を上手く使いこなせる姿は、まさに新たな犬塚信乃と言われるべきだろう。
 しかし、ネオベルセルクは翼を結合崩壊されてしまい、怒りの咆哮で活性化してしまう。その様子だとまだまだこれからだ。

「おのれ!よくも俺の翼をやってくれたな!こうなるとお前等を倒さなければ気が済まないんだよ!」

 ネオベルセルクは怒りで我を忘れてしまい、そのままスピードを上げて襲い掛かってくる。まずはヒカリをタックルで突き飛ばし、彼女の背中を木に激突させた。幸い木は折れなかったが、今の一撃はかなり痛い。

「うぐ……痛い……」
「ヒカリさん!」
「さーて……まずお前には服を脱がせる必要があるな……」

 更にネオベルセルクはヒカリに近付いたと同時に、彼女を右手で掴む。そのまま左手の鉤爪を光らせ、ヒカリの服を切り裂こうとしていた。
 この行為はまさに犯罪行為としか言えず、強姦魔と言ってもいいだろう。

「アイツ、ヒカリを全裸にするつもりだ!しかも裸オーバーオールなのに、これ以上服を切り裂かれたら……」
「その先は分かっているから!私としても見過ごせないわ!」
「ひっ……止めて……」

 ヒカリは服を切り裂かれそうになり、恐怖のあまり涙を流してしまう。その直後にジェニーが駆け出し、自身の拳に紅のオーラを纏わせ始める。

「させません!紅蓮破壊撃ぐれんはかいげき!」
「ぐほっ……」

 ジェニーの拳はネオベルセルクの顔面に激突し、彼はよろけてヒカリを手から離してしまう。

「今だ!」

 すぐに零夜がヒカリをお姫様抱っこでキャッチし、彼女は涙を流しながら彼を強く抱き締める。服を切り裂かれそうになった恐怖はまだ残っていて、相当怖かったに違いない。

「二人共、ありがとう……怖かったよ……」
「大丈夫です。後は……任せてください」

 零夜はヒカリを優しく慰めながら、彼女をゆっくりと地面に降ろす。同時にジェニーと共に並び立ち、ネオベルセルクに接近し始めたのだ。

「おい、ネオベルセルク……お前はやってはいけない事をした……女性を泣かせる奴は……許さないぜ!」

 零夜は村雨を構えながら刀身にオーラを込め始め、怒りの表情でネオベルセルクを睨みつける。ジェニーも自身のパートナーを傷つけた怒りが籠もっていて、ギロリと目を光らせながら睨みつけていく。

「よくも邪魔をしてくれたな!お前等を倒さなければ気が済まないんだよ!」
「やれる物ならやってみろ。返り討ちにしてくれる!」
「あなたの野望は終わらせます!」

 ネオベルセルクは散々策略をぶち壊しにされた怒りで、ボロボロの翼で空を飛び始める。そのまま狙いを定めながら急降下してくるが、零夜達は上手く回避する事に成功する。

「そこだ!」

 すかさず零夜は手裏剣を投げ飛ばし、ネオベルセルクの足に三枚突き刺す事に成功する。しかし、あまり威力はないので、効果はないと言えるだろう。
 
「その程度か……うっ!?」

 するとネオベルセルクの足に激痛が走り、動きが鈍くなる。どうやら零夜が投げた手裏剣に、何か仕掛けがあるだろう。

「知っているか?手裏剣には様々な薬品を使って塗り込み、敵に当てるというやり方があるんだよ。今投げたのは動きを鈍くする薬、激痛薬、麻痺薬を塗っておいたからな!」
「こ、こいつ……」

 零夜の説明を聞いたネオベルセルクは、歪んだ表情で彼を睨み付けていた。まさか手裏剣ごときでこの様な事態になってしまったのは、甘く見ていた自分にも原因があったのだろう。

「手裏剣には奥が深いのか……だが、今がチャンスだ!」

 チャンスと感じた風子達が駆け出し、次々とネオベルセルクに攻撃を当て始めた。動きが鈍っている今だからこそ、チャンスとしか言えないのだ。

「おのれ……うぐ……!?傷が……」

 ネオベルセルクが反撃しようとしたその時、彼の顔面と膝にも激痛が走ってくる。激痛薬は足だけでなく、全身にも効果がある。それによって全身に激痛が走るのも無理ないのだ。

「隙だらけです!シャインランス!」
「ファイアーブレイド!」
「ダンシングサイクロン!」

 ネオベルセルクが危機感を感じたその時、ジャンヌの槍、ヒカリの炎の剣、ミミの風の剣舞がネオベルセルクの尻尾を攻撃し、そのまま結合崩壊を起こした。

「レッドスナイプ!」
「ドラゴンスラッシュ!」
「狼牙羅刹弾!」
「サイコストライク!」

 アミリスの紅蓮の弓矢、ソニアのカタールでの斬撃、エヴァのオーラを纏った拳の一撃、倫子のエスパー波動弾がネオベルセルクの両手も結合崩壊してしまい、彼に大ダメージを負わせる事に成功する。

「グアアアアアアア!!」

 ネオベルセルクはあまりの大ダメージで悲鳴を上げてしまい、片膝をついてしまう。その様子は息も荒く、残り体力もあと僅かだ。

「これで勝ったのかしら?」
「いや、奴は新たな姿に変わる可能性があるだろう。油断は禁物だ!」

 セリアがネオベルセルクの姿に勝ったと感じるが、風子は油断できないと真剣な表情をしていた。ネオベルセルクはここでやられる理由にはいかないだけでなく、新たな姿も隠し持っている可能性があるのだ。

「調子に乗るな……ゴミ共め……!」

 ネオベルセルクが呟いた途端、彼の身体が闇のオーラに包まれて変化し始める。それは禍々しいオーラでありながら、近付くと火傷してしまう恐れもあるだろう。
 オーラが消えた途端、ネオベルセルクは新たな姿に変わった。猿の顔をして身体は雪男、悪魔の角にドラゴンの長さの尻尾、更には黒き翼竜の羽が背中に生えていた。

「まさか真の姿になるとはな……ここまで追い詰めたのはアンタ等が初めてだ」
「これがお前の真の姿なのか!?」

 変わり果てたネオベルセルクの姿に誰もが驚きを隠せず、冷や汗を流す者までいたのだ。

「そうだ!この姿こそバーサーク!テメェ等まとめて殺してやる!」

 ネオベルセルク改めバーサークが、零夜達に対して宣戦布告した。それと同時に、ベルセルクとの戦いもラストラウンドに入ったのだった。
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