ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第三章 花咲くロベリア革命

第九十六話 ルブランでの戦い

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 娼館での夜から翌朝、零夜達は二手に分かれて行動する事に。ルブランとブラースに向かうチームを決めた後、コンコルドに合流するというプランだ。
 チーム分けについてはこうなっている。

ルブラン:零夜、ルリカ、ミミ、キララ、エヴァ、コーネリア、ジャンヌ、マリー、トラマツ
ブラース:倫子、日和、ヒカリ、ジェニー、アミリス、マーリン、ソニア、杏、ノースマン

「準備はできているね。よし!出発!」

 トラマツの合図で零夜達と倫子達は一斉に空を飛び始め、それぞれの目的地へと向かい出した。



 零夜達は空を飛びながら、ゼルベルのいるルブランへと向かっていた。しかし彼は昨日の影響で寝不足となっていて、あまり体調も良くないだろう。

「うう……昨夜は酷い目に遭った……浴槽の中で抱き合いながら皆で身体を洗っていたからな……」

 零夜は昨夜の事を思い出しながらため息をついていて、ミミ、エヴァ、ルリカの三人が彼をギロリと睨みつける。
 昨日はミミ達もオーバーオールスタイルのデニム水着で浴槽に入り、零夜に抱き着きながら身体をゴシゴシと洗っていた。まあ、彼が彼女達を放ったらかしにしていたので、自業自得と言えるが……
 
「元はといえば零夜が一人で情報収集するのが悪いんでしょ!私達を置いて勝手に一人で飲みに行くから!」

 ミミはガルルと威嚇の表情で、零夜に圧力をかけながら睨みつける。更にエヴァとルリカも頬を膨らましながら、プイッと横を向いてしまう。

「そうそう!ポーラとキスをしていた事を根に持っているからね!」
「不潔ですよ!」

 どうやら零夜に放ったらかしにされた恨みはとても強く、下手したら離れる可能性もあり得るだろう。マリー達が苦笑いしてしまうのも無理ない中、彼女はふとある事を思い出す。

「ルブランといえば、お菓子の街として有名みたい。」

 マリーが目的地であるルブランの事を話した途端、急にジャンヌ達がピクッと反応してしまう。どうやらお菓子が気になったのだろう。

「お菓子か……何だか食べたくなってきた」
「私も!じゃあ、急いで向かいましょう!」
「お、おい!」

 ミミたちはお菓子欲しさにスピードを上げてしまい、零夜とトラマツは慌てながらも彼女を追い掛けた。女性は甘い物好きだからこうなるのも無理はないだろう。



 ルブランに着いた零夜達は、ベルザルのいるアジトを真剣に探していた。しかし、ミミ達はアジトの事など興味なく、キョロキョロとスイーツを探していた。

「お前等!スイーツ探している場合か!俺達の目的を忘れたのか!?」

 零夜がミミ達に対して注意しながら叫ぶが、彼女達は馬の耳に念仏で全然聞いてなかった。すると、エヴァが突然何処からか甘い匂いを感じ取り、嗅覚で正体を探り始める。

「チョコレートの匂いがするわ!折角だから行きましょう!」
「「「はーい!」」」
「コラーッ!」

 エヴァの合図で彼女達はそのまま匂いのした所に向かい、零夜達は追いかけ始める。その前方には匂いの元となる建物があり、看板には『お菓子の森』と書いていた。

「なんだこの看板!?明らかに不自然だろ!」
「「「お菓子!お菓子!」」」

 零夜が看板の名前にツッコみ、ルリカ達が喜んで建物の中に入ってしまう。その中には既にベルザルが待ち構えていて、その様子に彼女達は固まってしまう。

「待ちくたびれたぞ、選ばれし戦士達よ!」
「「「本当に敵がいた~」」」

 ベルザルの宣言にミミ達は涙を流しながら座り込んでしまい、零夜とトラマツも中に入って彼を睨みつける。

(あいつがベルザル……ポーラが言っていたアークスレイヤーの戦士か……どうやらこれは……一筋縄ではいかないみたいだな……)

 零夜は冷や汗を流しながらも、ベルザルを睨みつけながら戦闘態勢に入る。しかし、ミミ達はまだショックで涙を流しているので、戦うには時間が掛かりそうだ……

「ベルザル……ポーラから話は聞いた。アンタが元気を殺し、彼女を奴隷にしたそうだな……」
「彼女から話を聞いていたのか。だが、俺を殺そうとしても無駄だという事を教えてやる!選ばれし戦士達でもこの俺には敵う筈はないのだよ」

 ベルザルからの余裕の挑発に、零夜はニヤリと笑いながら忍者刀を引き抜く。そしてそのままベルザルに対し、こっちに来いよの挑発をしてきたのだ。

「それはやってみなければ分からないぜ。僅か数分で終わらせてやるよ。このろくでなしが」
「こいつめ!」

 零夜の挑発に乗せられたベルザルは、怒りで彼に襲い掛かる。すかさず零夜は忍者刀を光龍刀に変化させ、強烈な斬撃を放とうとする。

光翼斬こうよくざん!」
「ぐはっ!」

 光の斬撃がベルザルに直撃し、彼は絶大なダメージを受けて吐血してしまう。
 ベルザルは闇属性だからこそ、光には弱い。更に今の一撃は零夜の怒りが込められていた為、絶大なダメージを受けてしまったのだ。

「ポーラの話を零夜は真剣に聞いたとなると、あれだけ絶大ダメージを与えるのも無理はない……本格的にベルザルを殺す覚悟があるということだからね……」
 
 トラマツは真剣な表情で零夜に視線を移す中、ベルザルは態勢と呼吸を整えていた。
 今でも零夜は怒りの表情でベルザルを睨みつけていて、確実に殺そうとしている。ポーラの話を聞いた以上は黙っている事さえできず、確実に倒しに向かう覚悟が秘められているのだ。

「チッ……たったの一撃でここまでやるとはな……だが……こいつは避けられないぜ!」

 ベルザルは闇のオーラによって姿を変え、真の最強形態である狼男の姿になった。零夜は冷静な表情で彼を見つめつつ、そのまま作戦を考えて構えの体勢に入る。

「ほう!自殺行為か!なら、お望み通り殺してやる!死ねェェェェ!!」

 それを見たベルザルは隙ありだと直感し、零夜に向かって最大全速力で襲い掛かってきた。獲物を狙う様な目をしているだけでなく、あの様な突進攻撃を喰らったらひとたまりもないだろう。

「はっ!」

 しかし零夜は跳躍から宙回転のバック転で回避してしまった。

「何!?」
「まだまだ行くぞ!」

 零夜はすかさず懐からリンゴを取り出して投げ飛ばし、それをベルザルに食わせる。その瞬間、零夜はニヤリと笑いながら彼を指差していた。

「リンゴ型の爆弾はどうだ?」
「な!?しまっ……」

 零夜からの質問にベルザルは気付くが、既に遅かった。爆弾はの口の中で爆発し、そのまま彼はまっ黒焦げになってしまった。
 零夜は爆弾を召喚する事もできるが、様々な姿に変化させる事も可能。リンゴなどの食べ物は勿論、氷や雷の属性爆弾もあっという間にできるのだ。

「今だ!この技で終わらせてやる!」

 零夜は素早くベルザルの胴体を背後から抱き抱え、そのまま跳躍。空中で胴体を拘束しつつ、逆さまに落下しながら床に激突しようとしていた。

「飯綱落とし!!」
「あがァァァァァァ!!」

 強烈な飯綱落としが炸裂し、ベルザルの脳天は床に叩き付けられる。そのまま彼は悲鳴を上げた直後、塵となって消滅してしまった。

「ポーラを悲しませ、元気を殺した罪はとても重い。続きは地獄で裁かれな」

 零夜が手を叩いたその時、ベルザルの消えた跡地に一本の剣が置かれていた。彼はその剣を拾ってよく見ると、鞘の部分に名前が彫られていた。

(『GENKI』……間違いなく元気の遺品だ!届けておく必要があるが、今は戦いの最中。終わり次第、届けておかないとな……)

 零夜は遺品をポーラの元に届けようと決心し、すぐに建物から出ようとする。

「休んでいる暇はない!すぐにコンコルドへ向かうぞ!」
「零夜の言う通りだ。さあ、落ち込んでないで行くぞ!」
「「「むーっ……」」」

 零夜とトラマツの合図にミミ達は不貞腐れながらも、渋々彼等の後に付いて行った。ルブランでお菓子を食べれなかった事が心残りであるが、休んでいる暇はないのであった。
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