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第三章 花咲くロベリア革命

第九十二話 ロベリアでの羽休め

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「バカな!たった一日でシャングリとアルストールが攻め落とされたのか!?」

 コンコルドにある会議場では、ロベスピエール達が兵士からの報告に驚きを隠せずにいた。シャングリにはバブーフ、アルストールには雷轟がいたが、彼等は零夜達によってやられてしまったのだ。

「はい!特にアルストールでは零夜達の怒りが爆発し、ゴロツキ達を容赦なく殺しまくりました!彼等は本格的に我々を倒そうとしています!」
「そうか。下がれ」

 ロベスピエールの合図で兵士が去った直後、突然設置されたモニターにアビスの映像が映し出された。

「アビス様!」
『たった一日でシャングリとアルストールは解放され、残るはここを含めて後三つとなった。アルストールの件については私の策が甘かったのも無理はない……』

 アビスは俯きながら自らの失策を悔やんでいて、ロベスピエール達も同様に俯いていた。
 孤児院襲撃は零夜達の怒りを買ってしまい、アルストールは一日足らずで陥落してしまった。触れてはいけない逆鱗に触れた以上、自業自得である。

「残るはコンコルド、ルブラン、ブラースの三つ。全て失えば革命は終わりを告げられ、我々に待つのは処刑のみとなりますね……」
『そうだ。私はルブラン、ブラースにも戦士達を送り込んだ。コンコルドにはお前達が用意した奴等がいるが……あの悪い癖はどうにかならないのか?』

 アビスは真剣な表情でロベスピエールと話をするが、コンコルドにいる変態三兄弟については唖然としていた。奴等に関してはとんでもない行動をしていて、お尻の穴が見えるOバックパンツやTバックパンツを履いている。
 三人は明らかに変態としか言えないが、ジャコバンズのリーダーである事は確かだ。一体誰が彼等をリーダーにしたのか気になるが……詮索すると逆にやられるので伏せておこう。

「どうにもできません。我々も注意をしていますが、逆に……」
『そうか……まあいい。バブーフと雷轟がやられた以上、こちらからはベルザルとオルベイルの二人だけだ。彼等二人もやられたら……こちらから援助ストップをさせてもらう』

 アビスからの冷酷な通達に、ロベスピエールは冷や汗を流しながらもコクリと頷く。
 ロベリアの革命は彼が宣言したのが始まりだったが、アビスからの援助無しではここまで成し遂げる事はできなかった。しかし、零夜達の登場で二つの都市が解放されてしまい、革命は失速をし始めている。ルブランやブラースまで解放されたら、支援も途切れて絶体絶命となるだろう。

「その事については覚悟は出来ています。やるからには……奴等を倒します!」
『そうか。健闘を祈る』

 モニターの電源が切られて通信が終わった直後、ロベスピエールは冷静な表情で残っている議員達の方を向く。そのまま彼等は真剣な表情をしながら、今後に向けての会議を始めたのだった。



 アルストールから帰還した零夜達は、孤児達の仇を取った事を報告しに向かっていた。アンジェリックとコルディはレジスタンスに既に保護されていて、彼等が用意してくれた宿屋に住んでいるのだ。

「あった!あれがアンジェリック達がいる宿屋だ!」

 零夜達は宿屋に向かってスピードを上げようとしたその時、アンジェリックとコルディが駆け付けてきた。

「皆!その様子だとアルストールでの戦いは勝ったのね!」
「ああ!大成功だぜ!」

 ソニア達の笑顔にアンジェリックとコルディも釣られて笑顔になる。ノア達の仇を取ってくれた事はとても嬉しく、彼等もきっと喜んでいるだろう。

「皆、私の孤児達の仇を取ってくれてありがとう。けど、油断は禁物よ」

 コルディは笑顔から真剣な表情へと変化し、零夜達も真剣な表情をする。
 シャングリとアルストールを倒したのは良いが、革命軍やジャコバンズも黙ってはいられない。エリアボスが二人やられたとなると、警備強化や零夜達を倒そうとする輩も続出する可能性もある。
 残る街はルブラン、ブラース、コンコルドの三つ。攻め落とす事に成功したら革命は終わるが、一つでも残っていたら継続する事になる。つまり、根絶やしをする必要があるとの事だ。
 
「この件に関しては敵も黙ってはいられない。こっちに攻めてくる可能性もあり得るからな」

 ノースマンは真剣な表情でコルディに同意し、零夜達も思わず息を呑んでしまう。一日で二つのエリアをを解放したとなると、革命軍も黙ってはいられない。サンタカルナを攻め落としに向かう可能性もある為、明日は全てのエリアを解放させる必要があるだろう。

「ともかく、この状況をひっくり返すとすると、ゼルベルとブラースは二手に分かれて行動。その後にコンコルドに合流するとしよう」
「そうだな。明日は一気に三つのエリアを陥落させて、革命を終わらせる。ロベリア支部を倒すのはその後だ」

 トラマツの提案に零夜も同意しながら、自ら考えたプランを説明。ミミ達もその事に同意しつつ、真剣な表情でコクリと頷いた。
 空はすっかり夕暮れとなっていて、そろそろ夜が始まる頃。そのまま皆は宿屋に戻り、戦いの疲れを癒やす事を決断した。

「そろそろ宿屋に戻って、ゆっくり休みましょう。今日は疲れた……」
「お風呂入りたーい……」
「ベッドでゆっくりしたーい」

 倫子達はぐったりとした表情で、歩きながら宿屋に向かっていく。二つのエリアを解放した挙げ句、激しい戦いも行っていたので無理もないだろう。
 倫子達が宿屋に入る様子を見た零夜は、キョロキョロと辺りを見回していた。どうやら何か気になる事があったに違いないが、彼女達の行動も気になっていただろう。

「どうしたの?」

 コルディが気になる表情で零夜に声をかけ、彼は苦笑いしながら彼女に視線を移す。その様子だと何か隠しているに違いないが、今は冷静な対応をする事が大事だと判断しただろう。
 
「いや、ちょっと一人で飲みに行こうかと思います。トラマツに事前に伝えていますので」
「でしたら、向こう側に居酒屋があるけど、その向かい側は娼館もあるわよ」

 コルディからの説明を聞いた零夜は納得した直後、すぐに頭の中である閃きを思いつく。娼館という言葉が気になるのも無理なく、一度行ってみる価値はあるかも知れないと感じたのだ。
 
「娼館については聞いた事があります。革命によって娼館に送り出されていた者もいますし、彼女達から話を聞くのもありだと思います」

 零夜からの真剣な説明にアンジェリックは納得するが、同時に危機感を感じる。娼館はボッタクリ系の店などがあるので騙される傾向が高く、下手したら恋愛関係まで発展してしまう恐れもあるのだ。
 特にそれがミミ達の耳に入ればとんでもない事になるのは確定で、フルボッコだけでは済まされないだろう。

「情報収集をするのは良いけど、娼館は危険なところと言われているわ。あまり調子に乗ると痛い目に遭うから、十分に気をつけてね」
「了解。じゃあ、行ってきます!」

 アンジェリックからの忠告に零夜は頷き、そのまま娼館へと向かい出す。それと同時にジャコバンズについての情報収集も始まりを告げられたのだった。
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