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第三章 花咲くロベリア革命

第九十話 雷轟との戦い

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 雷轟との戦いは第二ラウンドに入り、彼が先に先手を打ち始める。

「数は多いほうがいいからな……ふん!」

 雷轟は召喚魔術を発動させ、多くのモンスターを召喚する。ケルベロス、ゾンビ、ゾンビ侍、マーダーピエロ、ウイングインプ、デスオーガ、アシュラ、ドラキュラ、フランケンシュタインが召喚されるが、アンデッド系が多いのが特徴だ。

「アンデッド系が多いみたいね。ここは二手に分かれましょう!ケルベロスについてはマジカルハートで仲間にするわ」
「ええ!雷轟についてはソニアさん達でお願いします!」

 ヒカリとジェニーの作戦に全員が頷きながら承諾し、二手に分かれ始める。その内容はこうなっているのだ。

雷轟:ソニア、杏、零夜、ルリカ、倫子、日和、アミリス、マーリン
モンスター:ヒカリ、ジェニー、ミミ、キララ、エヴァ、コーネリア、ジャンヌ、マリー

「さて、始めるとするか!」
「これ以上好き勝手させない為にもな!」
「容赦なく倒すんだから!」 

 ソニア達は一斉にそれぞれの武器を構え、雷轟とモンスターの軍勢にに立ち向かう。
 現在の数としては雷轟達の方が上だが、戦力としては零夜達の方が上手。後はこの戦いをどうコントロールするかで勝敗が決まるのだ。

「油断はするな!数は多いといえども、相手にならない。しかし、その油断が命取りになるぞ!」
「忠告ありがとう!それならこれで容赦なくやらせてもらうわ!」

 屋根の上にいるトラマツからの忠告に、コーネリアは笑顔で応える。そのまま自らの爪を光らせたと同時に、強烈な引っ掻きでウイングインプを次々と倒してしまう。

「まだまだ!」

 ヴァンパイアの爪の威力は人それぞれだが、コーネリアは敵を惨殺する威力を持っている。特異耐性を持つ彼女だからこそ、この様な事も可能だ。

「やるじゃない!私も!」

 マリーはサーベルを構えながらアシュラを相手に立ち向かい、攻撃を次々と捌きながら彼にダメージを与えていく。彼女の剣さばきも訓練によって上達しているのだ。

「そこ!」

 そして斬撃を炸裂させ、アシュラを消滅させる事に成功。マリーは武器を構えながらウインクをした。

「私達も遅れを取るわけにはいかないわ!」
「私も負けません!アチョーッ!」

 キララ、ジェニーの二人も負けじと駆け出して後に続く。
 キララはデスオーガの棍棒攻撃を躱しつつ、ジャンプしたと同時に爪での強烈切断で、デスオーガを真っ二つにして倒す事に成功。
 ジェニーはゾンビ達を次々と心臓部分に拳を当てまくり、そのまま彼等を塵にして倒していた。

「あの四人……頑張っているな。アタイ等も行くぞ!」
「「「おう!」」」

 杏、ルリカ、マーリン、日和も負けじと雷轟に向かい出し、次々と連携攻撃を当てながら追い詰め始める。更に零夜達の援護攻撃も炸裂しまくり、見事な連携で相手を追い詰める事に成功する。

「コーネリアとマリーが活躍すれば、キララ、ジェニー、杏、ルリカ、マーリン、日和も負けずに動き出す。もしかするとパートナーで構成された新たなチームもありじゃないか?」

 この様子を屋根の上で見ていたノースマンはトラマツに提案し、その内容に彼は少し考え始める。確かにルリカ達は成長しているが、チームを組むにはまだ早い部分もある。本格的に独立をするとしたら、さらなる経験を積ませる必要があるだろう。

「確かにありかも知れない。だが、今は彼女達は自身の役目を果たす事だ。アークスレイヤーとの戦いが終わり次第、その事を考えておかないと」
「そうだな。だが、そろそろ増援が出るはずだ」

 ノースマンが向こうの方を見ると、モンスター達の増援が次々と姿を現した。しかもその数は百体以上。

「数が多いみたいね。それなら皆、出ておいで!」

 ヒカリはミノタウロス達を召喚し、彼等は増援となるモンスター達に襲い掛かる。
 いきなりの奇襲を受けた増援のモンスター達は攻撃する前に次々とやられてしまい、数も半数に減らされた。

「更にマジカルハート!」

 ヒカリはケルベロスにマジカルハートを浴びせ、スピリットになって、彼女のバングルの中に入った。

「よし!ケルベロス、出て来い!」

 ケルベロスはヒカリによって召喚され、そのままドラキュラ達に襲い掛かった。

「ヒカリさんが頑張っている分、私達も頑張らないと!」
「私も張り切らないとね!」
「私も負けられないわ!」

 ミミは炎のリングブレード『フレイムリング』を駆使し、ゾンビ侍を次々と斬り裂き倒していく。
 更にアミリスの弓矢での援護射撃、エヴァの強烈な拳も決まり、モンスター達の数は四分の一に減らされた。

「モンスター達についてはヒカリさん達が何とかしてくれている!俺達は雷轟に集中だ!」
「「「了解!」」」

 零夜の合図で彼等は雷轟に集中攻撃を仕掛け、次々と彼に大ダメージを与えていく。鎧はダメージを受ける毎に、傷や罅が入ってしまっていた。

「おのれ、戦士達!よくも俺の鎧を!こいつを喰らえ!」

 サンダートライデントの槍の先から、雷の球であるサンダーボールが発射。しかし、ジャンヌが駆け付けながら前に出て、自らの槍のオーブに吸い込ませてしまったのだ。

「ちっ!」
「貰いました!」

 ジャンヌが笑顔を見せた途端、彼女の槍はサンダートライデントへと変化した。雷轟の武器と同じデザインであるが、その威力は倍になっている。

「このアマ!俺の武器をパクりやがって!絶対倒す!」

 雷轟は槍を振り回しながらジャンヌに襲い掛かるが、彼女は丁寧に槍をさばき、攻撃を次々と受け流しながらダメージを与えていく。
 ジャンヌは生前は戦乙女であるからこそ、雷轟に対しても引けを取らない。更に戦いの差が明らかになっている以上、彼は次第に追い詰められているのだ。

「くそっ!舐めるな!」

 雷轟は全身から雷を放出し、ジャンヌはバックステップで離れて回避する。彼も本気になった以上、気を引き締めなければならないだろう。

「どうやら本気を出してきたみたいね。皆、大丈夫?」
「勿論大丈夫ですよ!」
「こっちもだ!」

 倫子の掛け声に零夜達はコクリと頷いた直後、雷轟が地面に手を当てながら電流を流してきた。その電流はまるで獲物を狙う様な目で迫ってきていて、当たったら感電確定だ。

「「「はっ!」」」

 零夜達はアクロバティックジャンプで回避し、地面に着地。そのまま雷轟を睨みつける。

「雷轟はますます強くなっていく……こうなると油断大敵みたいだけど、零夜君は戦えるの?」
「勿論です。俺はあいつを絶対に許せない……孤児達を殺した罪は償ってもらうぜ!」

 零夜は怒りの表情で雷轟を睨みつけ、彼との戦いも後半戦に突入する。彼等によって死んでしまったノア達の仇を討つ為にも……
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