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第三章 花咲くロベリア革命

第七十三話 戦士達への課題

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 零夜達が地球へと帰還し、ヒーローアイランドに本拠地を構えてから一ヶ月が過ぎていた。
 零夜、ミミ、倫子、ヒカリ、日和の五人は自身の今の仕事を取り組みながら、選ばれし戦士とパートナーとしての任務をしっかり取り組んでいる。特に零夜はプロレスラーになる夢を諦めず、ドリームバトルレスラーズの道場に通い続けているのだ。
 エヴァ達も美津代の指導で地球の文化を体験しつつ、任務をしっかり果たしている。彼女達も最初は戸惑っていたが、次第に慣れて今では定着しているのだ。



 そんなある日、零夜は美津代と共に異世界アンビリードのクエストに取り組み、大型モンスターのアルマジロ型モンスター「ラピズラ」を撃破し終えていた。美津代の魔術のサポートもあり、二人でも無事に倒す事ができたのだ。

「まさか美津代さんが魔術を覚えているとは驚きました。短期間で取得するなんて」

 零夜は苦笑いをしながら、美津代の方に視線を移す。彼女は寮母の担当だけでなく、皆を守る為にも魔術や格闘術を取得する事を決断していた。しかも僅か三日で完全に取得していて、今ではどんな相手でも立ち向かう事ができるのだ。
 更に服装も変わっていて、白いスポーツブラとサスペンダー付属の黒いダメージジーンズとなっている。動きやすさを重視しているのでこの服装になっているのだ。

「自ら学ぼうと決意したからね。ん?」

 美津代が苦笑いした後に向こうの方を見ると、見かけない鳥を見つけた。
 姿は緑色のカモの頭をしていて頭に虹色の鶏冠、身体はダチョウのサイズで羽毛は緑系の色となっているのだ。

「あれはガルグァだ!鳥竜属の一種で草食動物となっている」
「なるほどね……じゃあ、ちょっと待ってね」

 零夜の説明に美津代は納得した後、冷静にガルグァに近付き始める。そのまま彼の足元をよく見ると……足に怪我をしているのを見つけたのだ。

「可哀想に。今から治すからね」

 美津代は指を光らせながらガルグァの傷口に当てると、そのまま傷がみるみる治っていく。終わった時には無くなっていて、僅か数分で治っていた。

「ありがとう。お陰で助かったよ」
「ひゃっ!喋った!?」

 ガルグァが喋った事に美津代は驚きながら尻もちをついてしまい、彼は彼女に近付いて笑顔を見せる。

「大丈夫。オイラはサンペイ。ガルグァ族は喋れるし、優しいからね」
「そ、そうなのね……」

 美津代はサンペイの自己紹介に苦笑いしながら応えた後、彼はそのまましゃがんで彼女を背中に乗せようとする。助けてくれたお礼として彼女の支えになると決意したのだろう。
 
「さっ、オイラの背中に乗りな」
「う、うん……」

 サンペイはそのまま美津代を背中に乗せた後、立ち上がって零夜の方に移動してきた。

「美津代さんの優しさで懐いちゃいましたね」
「うん。けど、ウカウカしていると追い抜かれるかも知れないわよ」
「うぐ……気を付けないとですね……」

 美津代からの苦笑いの指摘に、零夜はグサリと心に刺さりながら頷くしかなかった。そのまま彼等は足元に魔法陣を展開し、元の世界へと転移しながら帰還した。



 それから数時間後、広場ではメディアが皆を集めて話をしようとしていた。零夜達は真剣に彼女の話を聞こうとしていて、リリアがマイクをメディアに渡した。

「まずはホムラ支部討伐おめでとう。早速だけど、あなた達選ばれし八人に渡す物があるの。皆、前に出て」

 メディアの指示に零夜達が前に出たと同時に、リリアが魔術でオーブを八つ召喚する。赤、青、黄色、緑、ピンク、水色、白、黒の八色で、そのまま宙にうかんでいた。

「では、まずは零夜からね」
「はい」

 零夜は前に出たと同時に、黒いオーブが動き出して零夜のバングルに浸透する。オーブはそのまま半分浮き出た状態となり、バングルと一体化していたのだ。

「これこそ選ばれし戦士達の真の証であるヒーローバングル。その黒いオーブは闇の属性と言われていて、忍者の貴方に似合うと思うわ」
「なるほど。これはありかも知れませんね。ありがとうございます」

 零夜が一礼しながらお礼を言った後、残り七つのオーブはそれぞれの戦士達のバングルに移動し始める。
 ミミはピンク色の幻想オーブ、倫子は青の水属性オーブ、ヒカリは黄色の雷属性オーブ、エヴァは水色の風属性オーブ、アミリスは緑の森属性オーブ、ソニアは赤の炎属性オーブ、ジャンヌは白の光属性オーブがそれぞれのバングルに浸透し、零夜のバングルと同じく一体化したのだ。

「ヒーローバングルは他のところもそうだけどね。後は皆も通信用のバングルを新調しておくわ」

 メディアが指を鳴らした途端、ルリカ達の着用しているバングルが次々と新調し始めた。特に彼女、キララ、ジェニー、日和、コーネリア、マリー、杏、マーリンのバングルはデザインが変わっていて、紋章も刻まれているのだ。

「紋章が刻まれているのは、選ばれし戦士達とのパートナー契約の証よ。彼等のサポートを宜しくね」
「「「はい!」」」

 メディアの説明にルリカ達は敬礼しながらその依頼に応え、彼女は頷いたと同時に真剣な表情をする。

「今後の事についてだけど、あなた達が八人揃ったわ。ここからあなた達は三つの試練に挑む事になるけど、内容も既に決まっているわ。その課題がこちらよ」

 メディアはバングルを起動させてウインドウを召喚。画面に映る内容を零夜達に見せる。

・山口県を観光せよ
・(共通課題)チーム名を決めておく。
・アルメリアスの紋章を探せ

 課題の内容を見た零夜達は納得の表情をする中、彼はすぐにある事を思い出す。

「なるほど……チーム名についてはもう考えているけどな」
「もう考えたの?」

 零夜は前からチーム名を考えていて、全員が気になる表情で一斉に彼の方を向く。

「ブレイブペガサスだ。俺達は勇気あるからこそ、ここまで来れた。今後も厳しい戦いが続く事になるが、俺達の勇気がある限りは止まらない。皆もそうだろ?」

 零夜の説明を聞いたミミ達も納得の表情をしていて、承諾しながら頷く。
 確かに零夜達は何事も諦めずに立ち向かう覚悟があるこそ、今の自分達がいる。それによってホムラ支部を滅ぼす事に成功したのだ。

「確かに零夜の言う通りね。チーム名は無事に終わって残りは二つ。観光については大丈夫だけど、アルメリアスの紋章は一番の課題ね。何処にあるのか分からないわ……」

 ミミは不安の表情をしながら考え込み、他の皆も同様に悩んでしまう。アルメリアスの紋章の在処は全然知らない為、探すのに一苦労なのは確定だろう。すると、マーリンがアルメリアスの紋章を聞いてある事を思い出す。

「その紋章なら聞いた事あるわ。確か異世界ハルバータにあるトンガラ渓谷だけど、あそこは恐るべき魔物がいると言われているの。しかもそのレベルは五十以上」

 マーリンからの説明に零夜達はゴクリと息を呑んでしまう。自身のレベルは三十ぐらいだから、返り討ちに遭うのは確定。また、いきなり紋章を取りに行く事も無謀レベルなので、今のままではあまりオススメできないのだ。

「そうね。今後はレベルアップを中心に行いましょう。方針についてはまた後で伝えるわ。では、解散!」

 メディアの合図と同時に今回の集会は解散となり、全員がそれぞれの持ち場に移動したのだった。
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