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第二章 隠されたホムラの陰謀
第六十三話 マルセルとの戦い
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マルセルの姿を見た零夜達は警戒態勢を取る中、ガンテツは真剣な表情をしながらマルセルに声を掛ける。どうやら気になる事があるので、質問しようとしているのだ。
「マルセル、わいには聞こごたっ事があっ」
「なんだ?」
「シルバーウルフん村ん襲撃、ホムラん領主親子ん件……全てべムールが指示をしちょったんな本当でごわすか?」
ガンテツは真剣な表情でマルセルに質問し、彼は冷静に頷きながら返した。
「そうだ。二人はべムール様からの指示で動いていたが、君達に倒された……因みに俺は奴隷の管理だ。」
「つまりべムールが黒幕みたいやね。何故そんな事したん!?」
倫子が納得しながら怒りの表情でマルセルに視線を移し、更に彼女も気になる事を彼に質問する。
「俺達はベムール様の命令でやっただけ……詳しい事は……彼から知りな!」
マルセルは鉤爪を両手に装着し、そのまま零夜達に立ち向かう。その様子を見た零夜はすぐに手裏剣を構え、戦闘態勢に入る。
「マルセルはアサシンの為、素早さが高いのが特徴だ。それなら俺が立ち向かう!」
「了解しました!ですが、あまり無理はしないでください!」
「任せな!」
ルリカからの忠告に零夜が頷きながら応えた直後、二枚の手裏剣をマルセルに向けて投げてきた。
マルセルは素早く天井に貼り付いて回避するが、手裏剣はブーメランの様に回転してマルセルのお尻の穴に刺さってしまった。
「のあ゙ァァァァァァ!?」
マルセルは衝撃の痛みで落下してしまい、床に背中をぶつけて激突する。痛みは背中だけでなく、お尻にも手裏剣が刺さっているのでかなりきつい。それでもマルセルは根性で立ち上がろうとしている為、余程諦めが悪いと思われているだろう。
「ブーメランを知っているか?ブーメランは獲物を外すと持ち主の元に返ってくる。今、投げた手裏剣も同じ原理で返ってくる。これがブーメラン手裏剣だ!」
「おお!こんな手裏剣もあるのね!」
零夜の説明にアミリスは興味深そうに感心し、ルリカは尻尾をブンブン振りながら笑顔を見せていた。しかしマルセルはお尻の穴に手裏剣を刺されてしまった事で、自身の怒りがヒートアップしているのだ。
「おのれ……俺のケツをよくも……こんな手裏剣を出すのなら、こっちもお返しだ!」
マルセルは手裏剣をお尻の穴から引き抜いた後、零夜に向かってクロー攻撃を仕掛けてきた。その攻撃のスピードは怒りによって早くなり、一般の人なら切り刻まれるのは確定だ。
「おっと!」
零夜は次々とマルセルのクロー攻撃をヒラリヒラリと回避していくが、マルセルはすかさず闇の波動弾を左の掌から発射した。
零夜は跳躍して回避したと同時に、床に着地してミミ達に視線を移す。
「マルセルは俺達が立ち向かう!ミミ姉達は奴隷達を解放してくれ!」
「分かったわ!あまり無理はしないでね!」
零夜の指示にミミは頷いたと同時に、倫子達と共に奴隷救出に向かい出す。残ったのは零夜、ヒューゴ、ヒカリ、エヴァ、ガンテツ、アカヤマの五名と一匹だ。
「まずはお前からだ!ダークウェーブ!」
マルセルは床に両手を当てて、そのまま強烈な波動を周囲から起こし始める。それと同時に波動の高さは大きくなってしまい、スピードも上がって零夜に直撃してしまう。
「ぐおっ!」
「零夜!」
零夜は闇の波動のダメージを受けて弾き飛ばされるが、すぐに宙返りバック転をしながら体制を整えて着地する。零夜はプロレスで見た技や動きを覚えながら練習をしていて、宙返りバック転もお茶の子さいさいだ。
「俺を甘く見るなよ。今までの奴等とは大違いだ!」
マルセルは更に強烈な波動攻撃を連発し、零夜達は次々と回避しながら攻撃を仕掛けようとする。しかし、マルセルは鉤爪を駆使しながら零夜に襲い掛かり、そのまま強烈な引っ掻きでダメージを与えてしまった。
「ぐっ……!(今のは流石に効いたかもな……手強過ぎるぜ……)」
零夜は心の中で思いながら、すぐに後ずさりをして態勢を整える。しかし、引っ掻かれた傷口から血が出てしまい、それを見たヒカリは冷静な表情で特殊召喚を発動させる。
「お願い、スライム!」
「「あいよ!」」
「?」
倫子はバングルを光らせたと同時に、そこからスピリットが二つ飛び出してスライムになった。彼等は零夜に近付いてひっつき始め、そのまま彼の怪我を治癒し始めたのだ。
「怪我が治っていく……これがスライムの効果なのか?」
零夜はスライム達のひっつきで自身の怪我が治っていく事に驚く中、ヒカリは笑顔で彼に説明を始める。
「大丈夫!スライムはひっつくと体力と怪我を治す効果を持っているの!」
「へ!?スライムにその様な効果が!?」
「信じられない……」
(そんな馬鹿な……こんな事って……)
ヒカリの説明に皆がポカンとするのも無理なく、マルセルは予想外の展開に冷や汗を流してしまう。自身の攻撃が上手く行ったにも関わらず、まさかのスライム治癒で今までの攻撃が水の泡となってしまったのだ。
二匹のスライムは零夜のダメージ回復を終えた後、彼から離れてヒカリの元に移動する。それと同時に零夜は自身の身体をよく見ると、最初の状態と同じ状態で傷も消えていたのだ。
「凄い……あっという間に治った……ありがとな!」
「気にするなよ。さあ、反撃の準備はいいかい?」
「勿論大丈夫だ!さあ、やられた分はやり返さないとな!」
零夜はスライムに対して礼を言った後、彼からの合図と同時にすぐに戦闘態勢に入る。マルセルにやられた分は仕返しをする為、二度と同じ技を喰らうわけにはいかないのだ。
「何度やっても同じだ!」
「それはどうかな?」
マルセルはクローを使いながら零夜に攻撃を与えようとするが、彼は下にしゃがみながらローキックのカウンターで迎撃した。膝に対してのキックはとても痛く、それによってバランスを崩されるのは確定と言えるだろう。
「ぐおっ!?」
「今だ!はっ!」
マルセルが痛みでバランスを崩してしまった直後、零夜はチャンスとばかりに忍者刀を引き抜いて襲い掛かる。そのまま右斜め上からの一閃でマルセルを切り裂き、すぐに彼から間合いを取る。
「がは……この俺が……こんな所で死ぬなんて……」
「甘くみていたのはお前の方だったな。続きは地獄で裁かれな」
零夜が忍者刀を鞘に納めた直後、マルセルは消滅して武器と金貨になってしまった。これで残るはべムールのみとなったのだ。
「これでマルセルも倒したか」
「後はべムールのみね。零夜、怪我は大丈夫?」
エヴァは残りの敵がべムールである事を確認する中、マルセルによって付けられた零夜の怪我が大丈夫なのか心配していた。出血を伴う怪我をしたら心配するのも無理はない。
「もう大丈夫。完治したから!」
「良かった……心配していたけど、無事で良かったわ」
エヴァは安堵の表情でため息をついた後、すぐに真剣な表情で前を向いて皆の方を向く。
「ともかく、今は先に向かいましょう!ミミ達も奴隷を解放しに向かっているし、合流しないと!」
「そうだね。確かにその方が効率的だ。すぐに彼女達と合流しよう!」
エヴァの提案にヒューゴも賛同し、彼等はそのままミミ達の元に合流しに向かい出した。
※
一方、奴隷のいる部屋の扉の前では、ソニアが既に針金で鍵を解除していた。彼女の鍵開け能力は針金一本あれば、どんな扉でも余裕で開けられる事ができるのだ。
「開いたぞ!」
「よし!」
倫子が扉を開くと、その中には三十人ぐらいの女性奴隷達がいた。皆はべムールが来るかとビクビクと怯えていたが、倫子達が来た事で安堵の笑みを浮かべていた。
「もう大丈夫!助けに来たから!」
倫子の笑顔に女性達は笑みを浮かべながら喜んでいる中、一人の女性が駆け出して倫子に抱き着いてきた。衣装は白いへそ出しタンクトップに薄黄色の運動用ロングパンツ、黒い髪をおさげポニーテールにしているのだ。
「ありがとうございます、倫子さん!怖かったです~!」
「へ?なんでウチの事を……もしかして!」
女性からの涙ながらのお礼の言葉に倫子がキョトンとするが、声を聞いてすぐに分かったと同時に彼女の顔に視線を移す。ミミも彼女の顔に視線を移すと、その顔に驚きを隠せずにいたのだ。
「アンタ……もしかして……栗原涼風!?」
「はい……!お久しぶりです……」
ミミの質問に涼風は彼女に視線を移しながら、ペコリと一礼する。彼女達の世界では話題のZ世代タレントなのに、まさかこの世界で奴隷にされていたのは衝撃的としか言えない。
この展開にアミリス達はポカンとしながら立ち尽くしてしまい、紬に関しては口をあんぐりと開けたまま呆然としていたのだった。
「マルセル、わいには聞こごたっ事があっ」
「なんだ?」
「シルバーウルフん村ん襲撃、ホムラん領主親子ん件……全てべムールが指示をしちょったんな本当でごわすか?」
ガンテツは真剣な表情でマルセルに質問し、彼は冷静に頷きながら返した。
「そうだ。二人はべムール様からの指示で動いていたが、君達に倒された……因みに俺は奴隷の管理だ。」
「つまりべムールが黒幕みたいやね。何故そんな事したん!?」
倫子が納得しながら怒りの表情でマルセルに視線を移し、更に彼女も気になる事を彼に質問する。
「俺達はベムール様の命令でやっただけ……詳しい事は……彼から知りな!」
マルセルは鉤爪を両手に装着し、そのまま零夜達に立ち向かう。その様子を見た零夜はすぐに手裏剣を構え、戦闘態勢に入る。
「マルセルはアサシンの為、素早さが高いのが特徴だ。それなら俺が立ち向かう!」
「了解しました!ですが、あまり無理はしないでください!」
「任せな!」
ルリカからの忠告に零夜が頷きながら応えた直後、二枚の手裏剣をマルセルに向けて投げてきた。
マルセルは素早く天井に貼り付いて回避するが、手裏剣はブーメランの様に回転してマルセルのお尻の穴に刺さってしまった。
「のあ゙ァァァァァァ!?」
マルセルは衝撃の痛みで落下してしまい、床に背中をぶつけて激突する。痛みは背中だけでなく、お尻にも手裏剣が刺さっているのでかなりきつい。それでもマルセルは根性で立ち上がろうとしている為、余程諦めが悪いと思われているだろう。
「ブーメランを知っているか?ブーメランは獲物を外すと持ち主の元に返ってくる。今、投げた手裏剣も同じ原理で返ってくる。これがブーメラン手裏剣だ!」
「おお!こんな手裏剣もあるのね!」
零夜の説明にアミリスは興味深そうに感心し、ルリカは尻尾をブンブン振りながら笑顔を見せていた。しかしマルセルはお尻の穴に手裏剣を刺されてしまった事で、自身の怒りがヒートアップしているのだ。
「おのれ……俺のケツをよくも……こんな手裏剣を出すのなら、こっちもお返しだ!」
マルセルは手裏剣をお尻の穴から引き抜いた後、零夜に向かってクロー攻撃を仕掛けてきた。その攻撃のスピードは怒りによって早くなり、一般の人なら切り刻まれるのは確定だ。
「おっと!」
零夜は次々とマルセルのクロー攻撃をヒラリヒラリと回避していくが、マルセルはすかさず闇の波動弾を左の掌から発射した。
零夜は跳躍して回避したと同時に、床に着地してミミ達に視線を移す。
「マルセルは俺達が立ち向かう!ミミ姉達は奴隷達を解放してくれ!」
「分かったわ!あまり無理はしないでね!」
零夜の指示にミミは頷いたと同時に、倫子達と共に奴隷救出に向かい出す。残ったのは零夜、ヒューゴ、ヒカリ、エヴァ、ガンテツ、アカヤマの五名と一匹だ。
「まずはお前からだ!ダークウェーブ!」
マルセルは床に両手を当てて、そのまま強烈な波動を周囲から起こし始める。それと同時に波動の高さは大きくなってしまい、スピードも上がって零夜に直撃してしまう。
「ぐおっ!」
「零夜!」
零夜は闇の波動のダメージを受けて弾き飛ばされるが、すぐに宙返りバック転をしながら体制を整えて着地する。零夜はプロレスで見た技や動きを覚えながら練習をしていて、宙返りバック転もお茶の子さいさいだ。
「俺を甘く見るなよ。今までの奴等とは大違いだ!」
マルセルは更に強烈な波動攻撃を連発し、零夜達は次々と回避しながら攻撃を仕掛けようとする。しかし、マルセルは鉤爪を駆使しながら零夜に襲い掛かり、そのまま強烈な引っ掻きでダメージを与えてしまった。
「ぐっ……!(今のは流石に効いたかもな……手強過ぎるぜ……)」
零夜は心の中で思いながら、すぐに後ずさりをして態勢を整える。しかし、引っ掻かれた傷口から血が出てしまい、それを見たヒカリは冷静な表情で特殊召喚を発動させる。
「お願い、スライム!」
「「あいよ!」」
「?」
倫子はバングルを光らせたと同時に、そこからスピリットが二つ飛び出してスライムになった。彼等は零夜に近付いてひっつき始め、そのまま彼の怪我を治癒し始めたのだ。
「怪我が治っていく……これがスライムの効果なのか?」
零夜はスライム達のひっつきで自身の怪我が治っていく事に驚く中、ヒカリは笑顔で彼に説明を始める。
「大丈夫!スライムはひっつくと体力と怪我を治す効果を持っているの!」
「へ!?スライムにその様な効果が!?」
「信じられない……」
(そんな馬鹿な……こんな事って……)
ヒカリの説明に皆がポカンとするのも無理なく、マルセルは予想外の展開に冷や汗を流してしまう。自身の攻撃が上手く行ったにも関わらず、まさかのスライム治癒で今までの攻撃が水の泡となってしまったのだ。
二匹のスライムは零夜のダメージ回復を終えた後、彼から離れてヒカリの元に移動する。それと同時に零夜は自身の身体をよく見ると、最初の状態と同じ状態で傷も消えていたのだ。
「凄い……あっという間に治った……ありがとな!」
「気にするなよ。さあ、反撃の準備はいいかい?」
「勿論大丈夫だ!さあ、やられた分はやり返さないとな!」
零夜はスライムに対して礼を言った後、彼からの合図と同時にすぐに戦闘態勢に入る。マルセルにやられた分は仕返しをする為、二度と同じ技を喰らうわけにはいかないのだ。
「何度やっても同じだ!」
「それはどうかな?」
マルセルはクローを使いながら零夜に攻撃を与えようとするが、彼は下にしゃがみながらローキックのカウンターで迎撃した。膝に対してのキックはとても痛く、それによってバランスを崩されるのは確定と言えるだろう。
「ぐおっ!?」
「今だ!はっ!」
マルセルが痛みでバランスを崩してしまった直後、零夜はチャンスとばかりに忍者刀を引き抜いて襲い掛かる。そのまま右斜め上からの一閃でマルセルを切り裂き、すぐに彼から間合いを取る。
「がは……この俺が……こんな所で死ぬなんて……」
「甘くみていたのはお前の方だったな。続きは地獄で裁かれな」
零夜が忍者刀を鞘に納めた直後、マルセルは消滅して武器と金貨になってしまった。これで残るはべムールのみとなったのだ。
「これでマルセルも倒したか」
「後はべムールのみね。零夜、怪我は大丈夫?」
エヴァは残りの敵がべムールである事を確認する中、マルセルによって付けられた零夜の怪我が大丈夫なのか心配していた。出血を伴う怪我をしたら心配するのも無理はない。
「もう大丈夫。完治したから!」
「良かった……心配していたけど、無事で良かったわ」
エヴァは安堵の表情でため息をついた後、すぐに真剣な表情で前を向いて皆の方を向く。
「ともかく、今は先に向かいましょう!ミミ達も奴隷を解放しに向かっているし、合流しないと!」
「そうだね。確かにその方が効率的だ。すぐに彼女達と合流しよう!」
エヴァの提案にヒューゴも賛同し、彼等はそのままミミ達の元に合流しに向かい出した。
※
一方、奴隷のいる部屋の扉の前では、ソニアが既に針金で鍵を解除していた。彼女の鍵開け能力は針金一本あれば、どんな扉でも余裕で開けられる事ができるのだ。
「開いたぞ!」
「よし!」
倫子が扉を開くと、その中には三十人ぐらいの女性奴隷達がいた。皆はべムールが来るかとビクビクと怯えていたが、倫子達が来た事で安堵の笑みを浮かべていた。
「もう大丈夫!助けに来たから!」
倫子の笑顔に女性達は笑みを浮かべながら喜んでいる中、一人の女性が駆け出して倫子に抱き着いてきた。衣装は白いへそ出しタンクトップに薄黄色の運動用ロングパンツ、黒い髪をおさげポニーテールにしているのだ。
「ありがとうございます、倫子さん!怖かったです~!」
「へ?なんでウチの事を……もしかして!」
女性からの涙ながらのお礼の言葉に倫子がキョトンとするが、声を聞いてすぐに分かったと同時に彼女の顔に視線を移す。ミミも彼女の顔に視線を移すと、その顔に驚きを隠せずにいたのだ。
「アンタ……もしかして……栗原涼風!?」
「はい……!お久しぶりです……」
ミミの質問に涼風は彼女に視線を移しながら、ペコリと一礼する。彼女達の世界では話題のZ世代タレントなのに、まさかこの世界で奴隷にされていたのは衝撃的としか言えない。
この展開にアミリス達はポカンとしながら立ち尽くしてしまい、紬に関しては口をあんぐりと開けたまま呆然としていたのだった。
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