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第二章 隠されたホムラの陰謀

第五十七話 決別の一撃

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 アルフレッドが魔族になってしまった事で、戦いは混沌の展開になろうとしていた。しかし、零夜達は冷静さを保ちながら戦闘態勢に入っているので、その事については問題ないだろう。
 するとアルフレッドは翼を広げて窓を開けたと同時に、そのまま窓から外に飛び出してしまった。

「まずいぞ!奴が外に飛び出したという事は……救出された人達にも被害が及び、街全体も大変な事になるぞ!」
「「「!?」」」

 トラマツは冷や汗を流しながら叫んでしまい、零夜達も驚きを隠せない表情をしてしまった。このままアルフレッドを放っておくと被害はますます大きくなり、街全体が大変な事になる。
 こうなると危機感がますます強くなるのも無理なく、責任重大と言えるだろう。

「そこにはヒューゴ達がいるが、彼等だけでも心配だ。すぐに奴の後を追うぞ!」
「ノースマンの言う通りだ!一斉に飛び降りるぞ!」

 ノースマンとヒミカの合図に全員が頷き、彼等は一斉に窓から飛び降り始める。そこにはヒカリ達の姿が見えていて、零夜達は彼女達の前に次々と着地する。
 その光景を見たミミ達は、次々と彼等の元に駆け付けてきた。

「零夜。今、化け物が窓から出ていたけど……」
「その化け物がアルフレッドなんだ!」
「「「!?」」」

 ミミからの質問に零夜は変わり果てたアルフレッドを指差すと、彼女達はその姿に驚きを隠せずにいた。あのキザ男がこんな姿になるとは思いもしなかっただろう。
 
「あれがアルフレッド……」
「こんな姿になるなんて聞いてないわよ!」
「どうするんだよ、これ!」

 ガンテツ達はアルフレッドの姿に驚きを隠せずにいたが、ヒューゴは冷静に判断しながら彼に視線を移していた。

(恐らく闇の魔道具によって、今の彼がいる……だが、誰が相手でも……僕は決して引かない!)

 ヒューゴは心の中で決意をしたと同時に、真剣な表情で全員の方を向く。
 
「確かに姿が変わり果てた以上、苦戦は免れないみたいだ。すぐにアルフレッドを倒して終わらせるぞ!」

 ヒューゴの合図で全員が頷きながら戦闘態勢に入ったその時、アルフレッドは両手から闇の光弾を次々と形成し、そのまま連続で放ってきた。

「おっと!」
「チッ!」
「うわっ!」
 
 零夜達は次々と闇の光弾を回避しまくり、そのまま跳躍してアルフレッドに攻撃を開始する。ところが彼は空を飛びながらスピードを上げていき、全ての攻撃をアクロバティックに回避してしまった。

「回避してしまうとは……」
「どうやらこいつは一筋縄ではいかないみたいだ。あれこそ魔族の指輪の真の力だからな」 
「マジか!皆、油断するな!」

 トラマツの説明にアカヤマは驚き、すぐに皆に指示を飛ばし始める。全員が警戒態勢に入ったその時、アルフレッドはジェニーに視線を移して彼女に近付いてきた。

「ジェニー……その姿……奴隷から解放されたみたいだな……」

 アルフレッドはジェニーの服がデニムのカンフー道着と変わっている事に気付き、契約がいきなり強制的に解除された事に気付く。
 アルフレッドはジェニーと契約解除された事は気付いてなく、この時は戦いに没頭していた。しかし、ジェニーの服が変わっている事で、自身との契約は解除されていたと気付いたのだ。

「ええ。これが本来の姿です」
「なら、俺の下に戻れ。お前は俺のおもちゃだからな……」

 アルフレッドがジェニーに対しての発言にヒカリ達の怒りが爆発する。

「巫山戯ないで!ジェニーはあなたのおもちゃじゃないのよ!」
「いくらなんでもあんたのやる事は最低や!」
「すぐに彼女から離れなさい!」

 ヒカリ達からブーイングが響き渡る中、アルフレッドはそれを気にせずにジェニーに近付いていく。それと同時に彼は自身の手を差し伸べ、それを見たジェニーは冷静な表情で前を向く。

「これが私の……答えです!」

 ジェニーはすぐにアルフレッドの手を払い除け、間合いを取ったと同時に駆け出し始める。すると彼女は高く跳躍をしたと同時に、強烈なライダーキックを彼の顔面にぶちかましたのだ。

「ブヘラ……」

 ジェニーに蹴り飛ばされたアルフレッドは地面を引きずりながら倒れてしまい、彼女は怒りの表情で彼を見下す。この光景を見ていた零夜達も、思わずポカンとしてしまったのも無理ない。

「おもちゃ?巫山戯ないでよ!私は自らヒカリさんと共に戦う事を決めた!あなたなんかの言いなりにはならない……私は私の道を突き進む!」

 ジェニーは怒りで目に涙を浮かべながら、決意の表情で宣言する。アルフレッドの魔の手から解放してくれたヒカリの為にも、今後はその道を突き進む事を決断しているのだ。
 それを聞いたアルフレッドは呆然としてしまい、ヒカリはジェニーに駆け寄って抱き着いてきた。

「ジェニー……今の言葉、格好良いわ!」

 ヒカリはジェニーの決断に涙目の笑顔で褒めていて、彼女は笑顔で返しながらヒカリの頭を撫で始める。零夜達もジェニーの決断に笑顔を見せていて、ヒミカはうんうんと納得しながら頷いていた。

「私と零夜様、キララとミミさん。そしてジェニーとヒカリさん。もしかすると私達は選ばれし戦士達の支えとなる戦士達じゃないのかな?」
「ルリカの言う通りね。私達は彼等に助けられて貰った以上、今度は私達が助ける番!」

 ルリカとキララもジェニーの覚悟に気合を入れ、自身も彼女に負けない決意を固めた。するとアルフレッドが立ち上がったと同時に、恨めしそうな表情で彼女達を睨み付ける。
 自身が手に入れた奴隷が裏切られてしまい、更に敵の手に渡ってしまった。その事が自身の中でとても許せず、怒りも最大限度を超えているのだ。

「おのれ……こうなったら……何もかも破壊してやる……!」

 アルフレッドが怒りの表情で叫んだと同時に、辺り一面に咆哮が響き渡る。彼の怒りが最大限に溜まった以上、攻撃力が最大限に高くなるのも無理はない。その分防御力が低くなっているので、スリリングな戦いになるのが予測される。

「憎しみと絶望でここまで暴走するとは……この時点でアルフレッドは理性を完全に失っているだろう」
「ああ。ここまでやるのなら……俺も一歩も引かない。行くぞ、アルフレッド!」

 零夜の叫びと同時に、アルフレッドは怒りの表情で彼等を睨みつける。同時に彼との戦いも最終局面に入ろうとしてい、風も強く吹き始めたのだった。
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