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第一章 戦士達の集結

第二十六話 それぞれのレベルアップ

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「どういう事だ?」

 エヴァが反対意見を出した事で、零夜は真剣な表情で彼女の方を向く。この様子に緊迫した空気が流れるが、彼女は冷静に説明を始める。

「ボルグレンのレベルを確認したけど、彼のレベルは十五だと明らかになっている。それに比べて私達のレベルはまだ七となっているわ」
「なんだって!?」

 エヴァの意見を聞いた零夜は驚きを隠せずにいたが、すぐに確かめるかの様に自身のステータスを確認する。


東零夜
レベル7
武器:忍者刀☓2、手裏剣、苦無、火薬玉
スキル一覧:韋駄天、跳躍力、変化術、属性忍法、自動回復術
固有スキル:不屈の逆転劇


 自身のレベルが七である事については間違いなく、確かに今の状態のままで突っ込んでしまったら完全にやられてしまう。
 エヴァはその事に危機感を抱いている為、零夜はそれに気付いていなかった。この事に関してはエヴァの方が正しいというべきだろう。

「確かにこの状態で無理に突っ込んだらやられてしまうな。気付いてなかった俺が間違っていたよ」
「気にしないで。誰だって間違いはあるから」

 零夜は自らの間違いを認め、すまなさそうな謝罪をする。その姿を見たエヴァは彼の頭を撫でながら微笑んでいた。
 二人の姿はまるで姉弟其の物だと感じるが、この状況にミミは嫉妬でぷくーっと頬を膨らましたのは言うまでもない。

「それよりも問題はレベルをどう上げていくかね。何か方法があれば……」

 エヴァが真剣な表情でどう強くするか考えたその時、ガンテツがある事を思い出して彼女達に視線を移しながら近づく。

「そうゆ事なら、修練場があっ。そこでレベルアップすりゃよか」
「修練場?この鉱山に修練場があるのか?」

 ガンテツからの話を聞いた零夜達は疑問に感じてしまう。鉱山内に修練場があるのは予想外としか言えなく、そうなってしまうのも無理はない。
 そんな中でもガンテツは冷静でいると同時に、自信満々でコクリと頷く。

「じゃっど。おい等ドワーフ族は鍛冶を担当しちょっし、修練場も余裕で作るっ。しかも!ここん修練場はかつて無か厳しさを誇っどん、そいでもやっとかな?」

 ガンテツは説明をした後に皆に質問する。ここでの修練場はかなりの厳しさを誇っていて、選ばれし戦士達でも下手をしたら怪我をしたり死んでしまうのもおかしくないレベルだ。
 零夜は真剣な表情ですぐに決意を固めたと同時に、ガンテツに視線を合わせながら伝え始める。

「やるに決まっているだろ。ここで逃げたら夢なんて掴む事は不可能で、アークスレイヤーも倒す事は不可能。やるからには……受けて立つ!」

 零夜の覚悟の決意でガンテツに宣言し、彼もコクリと頷く。零夜は最後まで諦めずに戦う性格の為、どんな訓練でも耐えきる覚悟がある。その為、この修練場でも最後まで諦めずに乗り越える覚悟があるのだ。

(覚悟決めたんだ……よし!)

 その様子にエヴァも感化され、彼の背中に抱き着きながらガンテツの方を向く。その視線はまっすぐに彼を見つめていて、瞳の奥には更なるやる気が込められていた。

「私もやる!ここで立ち止まる理由にはいかないし、もっと強くなって最強のシルバーウルフになるんだから!」
「ほう!嬢ちゃんやっ気じゃな!よか顔をしちょっぞ!」

 エヴァも参加する事を決断し、ガンテツがうんうんと頷く。彼女も自ら最強のシルバーウルフになる事を決意している為、ここで引く事は許されないだろう。
 その様子をを見たヒカリとミミも決意を固め、零夜とエヴァの周りに移動する。

「私も戦う覚悟はできているし、何よりもモンスター達をパワーアップさせないと!」
「私も強くなる!零夜が無茶な行動を取る以上、放っておけないから!」
(言われてみればそうかもな……)

 ミミの宣言に零夜は赤面してしまい、恥ずかしながら心から思ってしまう。確かに彼は無茶な行動をするのが多い為、幼馴染であるミミがしっかりと彼の面倒を見ているのだ。それによって零夜は迷惑をかけてすまなさそうになるのも無理はないだろう。
 更に倫子、アミリス、ジャンヌ、ソニアも決意を固めながらお互い頷き合い、すぐに零夜達の元に移動する。

「ウチも戦う!皆がやる以上、メンバーの中で最年長のウチがしっかりせんと!」
「私も戦う覚悟はできている!」
「私も参ります!」
「アタイもやってやるぜ!」

 倫子達も真剣な表情で修練場に向かう決意を固めていて、ガンテツは勿論コクリと頷く。
 同時に零夜達のチームは全員修練場に参加する事が決定したのだ。

「私達も!」
「ええ!」

 更にヒューゴ達も零夜達に負けずに決意を固めたと同時に、ガンテツの前に移動して視線を合わせる。

「僕達もこの修練は受ける覚悟だ。それにアークスレイヤーに攻め込むとなると、この鉱山にも刺客が放たれてくる可能性もあり得る。僕達はこの鉱山を守る為にも、強くなりたい」

 ヒューゴの決意の表情を見たガンテツは、思わず笑みを浮かべながらグッドサインを出した。どうやら全員が強くなる決意を固め、この修練場を使う事に嬉しさを感じているだろう。

「よっしゃ!ならば善は急げ!いっき行っど!」
「おい、待ってくれ!」

 ガンテツは零夜達を連れて鉱山内にある修練場へと向かい出す。それを見たヒューゴ達は慌てながら彼を追いかけだした。



 フルール基地にある玉座では、ボルグレンがヘンデル鉱山に出動するメンバーをどうするか考えていた。しかし彼は零夜達がヘンデル鉱山に辿り着いている事を知らず、普段通りにメンバーを選んでいた。

「……よし!」

 ボルグレンは決意を固めたと同時に、テーブルに置いてあるベルを鳴らす。すると、三人の戦闘員が駆け付けたと同時に彼の前に片膝を床につく。

「一週間後、鉱山に向かうメンバーについては決まった。スパイラーを派遣するとしよう」

 ボルグレンはスパイラーをヘンデル鉱山に派遣する事を発表し、戦闘員達は一礼しながら承諾する。

「では、スパイラー様にお伝え申し上げます。後は攻め込んできたら如何致しましょうか?」

 戦闘員からの質問にボルグレンは真剣な表情でムムムと考える。すると、観念したように皆の方に視線を移した。

「……考えてなかった」

 ボルグレンは観念して正直に話し、戦闘員達は盛大にずっこけてしまう。ヘンデル鉱山と奴隷の女の事しか考えてなかった為、そうなるのも無理はない。

「だが、ここはナマハゲを使おう。奴はかなり手強く、力持ちだ。奴に敵う者は誰もいないからな」
「では、彼にご連絡します」
「よし!一週間後に備えて鍛えるように!」
「「「はっ!」」」

 ボルグレンの合図で戦闘員達は一斉にその場から移動し、彼はそのまま奴隷達のいる部屋へと向かい出した。
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