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第一章 戦士達の集結

第二十五話 戦士達の集結

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 零夜達はジャンヌの案内でヘンダル鉱山に辿り着き、キョロキョロと辺りを見回す。そこは炭鉱内で生活するドワーフ達の住処であり、鍛冶場も多いのが特徴。
 更に採掘場では鉄、鉄鉱石、金銀パールなどの宝石が多く取れる事で有名で、多くの国との取引が盛んなのだ。

「ここがヘンダル鉱山……」
「うん……初めて見たけど、凄いところね……」
「行ってみて正解だったな……」

 零夜達は鉱山内を興味津々で見ていたその時、彼等の目にエルフの女性と竜人族の女性が待っていた。

「お待たせしました!連れてきました!」
 
 ジャンヌは二人の女性に対して手を振り、連れてきた事を報告する。アラビア服のズボンスタイルがアミリスで、オールインワンのアオザイ姿がソニアだ。
 彼女達は二人一緒に行動していたところでジャンヌと出会った後、この鉱山に移動して休んでいた。その時にフルール基地から果し状が届いていたので、ジャンヌは零夜達を探しに向かい、今に至るのだ。

「この姿……アミリスとソニアだ!」
「じゃあ……私達は全てのメンバーを集めたという事なの!?」

 零夜の微笑みの叫びにミミが驚きを隠せず、アミリスとソニアが彼等に気付いて笑顔で駆け寄ってきた。

「あなた達が来る事を待っていたわ。まさかここで出会う事になるとはね」
「アタイもだけど、これで八人揃ったな!イヤッホーイ!」

 アミリスは笑みを浮かべ、ソニアに至っては嬉しさのあまりエヴァに飛び付いてしまう。彼等はメンバーが揃った事で、抱き合いながら再会を喜んでいた。
 夢の中で会ってから僅か一週間ぐらいだが、ここで再会できた事はまさに奇跡としか言いようがないだろう。

「これでメディアチームのメンバーは揃ったわね!」
「ええ!やっとチームとしても活動できるし、こんなに早く合流するなんてね」
「こんなに早く合流するなんて運が良いかも!」

 零夜達が嬉しそうに話をしている中、この様子を見ていたヒューゴ達は微笑みながら見守っていた。すると、彼等の前に一人のドワーフが姿を現す。
 その姿はバイキングの格好をしていて、筋肉質で髭も生えていた。年齢といえば外見からすれば三十代後半と言えるだろう。

「わいどんが選ばれし戦士達か」
「あなたは?」

 ヒューゴ達がドワーフの方を向いた途端、彼はこのドワーフが誰なのかすぐに気付く。

「もしかすると、あなたがガンテツさん?」
「うむ。おいはガンテツ。こけ住んじょるドワーフでごわす」
「ガンテツ……もしかしてヒューゴ達と同じく選ばれし戦士達の一人なのか!?」

 ガンテツの自己紹介を聞いた零夜達は一斉に彼の方を向き、彼は気になる事をガンテツに質問する。
 その質問を聞いたガンテツはコクリと真剣な表情で頷く。

「そん通り。おいもヒューゴと同じ選ばれし戦士。だが、今はそれどころでは無か」
「ああ……あの果し状ね」

 ガンテツの説明にエヴァは納得の表情をする。事情についてはジャンヌから知っているので大体は分かるのだ。

「それでその果し状は?」
「これでごわす」

 ガンテツは果し状をヒューゴに渡し、彼はその内容を真剣な表情で確認する。
 その内容はホムラ支部の下部組織『フルール基地』からの刺客をこの鉱山に送り込むとの事だった。
 恐らく強敵を送り込む可能性が高いだけでなく、アラベスクや部下達を倒してくれた理不尽な仕打ちを清算する事まで含まれている。どうやらボルグレンの策略に違いない。

「なるほど。ホムラ支部の下部組織『フルール基地』からの刺客か……攻め込むのはいつ頃になる?」
「確か……1週間後ぐれじゃ」

 ガンテツの説明を聞いた零夜はすぐに真剣な表情をする。彼はこの鉱山をどう守るかだけでなく、襲撃を事前にどう防ぐのか考えていた。
 仮に守りに徹したとしても、基地に攻め込まなければこの状況は延々と続く。その事を防ぐ為にはどうすればいいのか、零夜は真剣な表情で色々考えているのだ。
 それに気付いたエヴァは、心配そうな表情をしながら彼の顔を覗き込む。

「零夜?」
「悪い……考え事をしていた。そのフルール基地については何処にあるんだ?」
「あそけあっとがフルール基地じゃ」

 ガンテツが指差す方を見ると、黒い建物が遠くから見えた。アークスレイヤーのアジトは黒い建物が基本なので、あれこそフルール基地に違いない。
 しかも奴等が攻め込むとしたらひとたまりもなく、鉱山が陥落してしまうのも時間の問題だ。

「なるほどな……そうなると……明日攻め込む必要がある」
「「「攻め込む?」」」

 零夜の真剣な推測に、倫子達は疑問に感じながら首を傾げてしまう。襲撃してくるのに敵の基地に攻め込むのは勿論、いきなり無鉄砲でな行動で突撃する事は考えてなかったのだ。

「ああ。まずは敵の情報についてだが、何か分かっている事はあるのか?」
「敵については大将だけ知っちょい。風使いんボルグレンじゃ」
「ボルグレン……聞いた事がある」

 ガンテツの話を聞いたヒューゴは、真剣な表情でボルグレンの事を思い出し始める。その様子だと何か知っているみたいで、零夜は彼に視線を合わせる。

「ヒューゴは知っているのか?」
「ああ。彼はかつて悪徳ギルドで働いていて、多くの犯罪を犯した極悪人と言われている。その彼がアークスレイヤーによってスカウトされるのもおかしくないだろう……」

 ヒューゴが真剣な表情で説明しながら今の状態を推測し、クロエもアークスレイヤーに関してある事を思い出す。

「私が卒業した魔術学院にも、卒業してから落ちこぼれとなってしまい、闇の魔導師となった人もいるわ。彼等がアークスレイヤーにスカウトされてもおかしくないからね……」

 クロエの説明を聞いた零夜は、真剣な表情で推測する。
 アークスレイヤーにいるメンバーは極悪人、落ちこぼれ、無職、貧乏人、不良、興味本位、更にはとある事情で入った人達もいる。どんな理由があろうとも、敗れた者は消滅してしまう義務があるのは承知の上だ。
 クロエがかつていた魔術学院でも、卒業生の中で優秀な生徒が落ちこぼれてしまい、闇落ちしてしまったのも少なくない。皮肉な現実としか言えないだろう。

「そう言う事か……だが、今夜はもう遅いし、俺達は明日、奴等のアジトを襲撃する。被害が及ぶ前に早めに潰しておかないとな」

 零夜が推測しながら提案するが、それに関してエヴァが真剣な表情で手を挙げる。どうやら何か言いたげだろう。

「どうした?」
「この行動については私は反対するわ」
「えっ!?」

 エヴァは零夜の提案には反対していて、その発言に彼は驚いてしまうのも無理はない。この状況に緊迫した空気が漂ってしまい、ミミ達は思わず冷や汗を流してしまった。
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