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第一章 戦士達の集結

第二十三話 モンスターの融合現象

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 零夜達はヘンダル鉱山に向けて駆け出している中、エヴァが急にピタッと止まってある事に気付いた。

「そう言えば、ヒカリと紬が手に入れたモンスター達なんだけど、あれって融合とか進化できるのかな?」

 エヴァの感じた疑問にヒカリと紬もハッと気付き始め、思わず止まってしまう。モンスターを召喚したり捕まえる事はできても、融合や進化まではあまり知らないみたいだ。

「そう言えば、私も疑問に感じていたわ。今いるモンスターを融合できれば良いんだけど……」
「私もです。今後の戦いも楽になりますし……」

 ヒカリと紬が真剣な表情でうーんと考える中、その様子を見たトラマツがトコトコと彼女達に近付く。

「モンスターについてだけど、融合したり、進化したりする事が可能なんだ」
「えっ?できるのですか!?」

 トラマツの説明に紬とヒカリがピクリと反応して食い付き、彼に接近してきた。
 トラマツはモンスターについても知っているので、モンスターの進化や融合も詳しい一面もある。その為、ヒカリや紬から懇願されるのも無理ないのだ。

「うん。じゃあ、ヒカリのモンスターから見てみようか」

 ヒカリと紬に接近されたトラマツは冷静になりながらも、ヒカリに指示を出す。
 ヒカリはすぐにバングルを起動させ、自身のモンスター達を呼び出し始める。

「皆、出ておいで!」

 するとヒカリのバングルの中からスピリットが次々と飛び出してモンスターに変化。スライム、ツノラビ、ファルコス、ブラックボア、カーバンクル、ジャックランタン、ウルフ、トレント、ミノタウロスが召喚された。

「じゃあ、確認するよ」

 トラマツはヒカリのモンスター達をじーっと見ながら観察し、確認し終えた後にヒカリの方に視線を移す。

「ジャックランタンについてはウルフと融合が可能だ」
「えっ?本当!?」

 トラマツはジャックランタンを指さしながら融合できる事を説明し、ヒカリは驚きを隠せないのも無理なかった。

「オイラがウルフと融合なのか。けど、どうやってやるんだい?」
「君、喋れるのか!?」

 ジャックランタンが普通に喋った事に、ヒューゴは驚いてしまう。モンスターは普通喋れない筈なのに、いきなり喋った事は誰だって驚くのも無理ないからだ。

「一部は喋れるけどな。それよりも方法を……」

 ジャックランタンは普通にヒューゴに説明をした後、融合の方法をトラマツに質問する。
 それに関してトラマツはすぐにコクリと頷きながら説明する。

「召喚士による融合魔術を使えば大丈夫」
「なるほど。やってみるわ!」

 融合の仕方の説明を受けたヒカリは、両手に魔力を込め始めたと同時に、ジャックランタンとウルフに向けて魔術を放とうとする。

「マジカルハンド!」

 両手から融合の光線が放たれて、ジャックランタンとウルフに直撃。
 すると、ジャックランタンとウルフは光に包まれたと同時に融合し始める。その数秒後に光が収まり、彼等は新たな姿に変わっていた。

「どうなったんだ?」

 零夜達が融合し終えたジャックランタン達の方に視線を移すと、ジャックランタンはウルフの背に乗っていて、手には剣と盾が構えられていた。
 更に身体には鎧が身に纏っていて、まさに騎士の姿其の物と言えるだろう。

「まるで騎士みたいね」

 ヒカリもジャックライダーの姿を見ながら同様に感じていて、トラマツが彼女に説明をする。

「この姿はジャックライダー。スピードと攻撃を兼ね揃えたモンスターで、その先には進化も可能だ」
「凄い!私、このモンスターを仲間にして良かったかも!」

 トラマツの説明を聞いたヒカリは喜びの表情で興奮する中、ジャックライダーはウルフの上に乗りながら彼女に視線を移す。

「新たな姿になった以上、俺はアンタを精一杯助けるよ。宜しくな!」
「こちらこそ!」

 ジャックライダーの笑顔にヒカリも笑顔で応え、この様子に倫子達は笑顔で微笑んでいた。
 トラマツはジャックライダー以外の他のモンスター達も確認し始め、どれが融合できたり進化したりできるのか確認する。
 トレントに関しては人形を与えれば進化可能で新たな姿へと進化が可能。ツノラビ、ファルコスもレベルを上げたら進化する事ができる。
 スライムに関しては様々な姿に進化できるが、育て方次第で変なモンスターになる事もあり得るので要注意だ。

「納得したけど、スライムに関しては気を付けないとね……」

 トラマツの説明にヒカリ達は苦笑いしてしまうのも無理ないが、十分な説明を聞いただけでも満足していた。

「ヒカリは終わったから、次は紬の番だね」
「はい!」

 ヒカリがモンスター達をスピリットに変えてバングルの中に戻したと同時に、紬はバングルを起動させてモンスター達を召喚し始める。

「皆、出てきて!」

 紬の合図と同時に、彼女のバングルからスピリットが飛び出し、モンスターに変化。
 インプ、ゴブリン、ガーゴイル、ジャックランタン、マンドラゴラ、スライムの六匹が彼女の召喚獣だ。
 トラマツはすぐに紬の召喚獣達を確認し始める。

「ジャックランタンについては先程言われた通り、ウルフが必要。けど、単体でも進化が可能なんだ」
「本当ですか!?」

 トラマツの説明を聞いた紬はすぐに食いつき、彼に接近してくる。彼女は自身のモンスターの成長を見守るのが好きなので、進化や融合と聞くと黙ってはいられない。
 この件に関してはヒューゴは苦笑いしていて、クロエは呆れている。

「ああ。レベルを上げたらジャックナイトやジャックファイターなどに姿を変える事ができる。スライムと同じく育て方は君次第さ」
「分かりました。他はどうですか?」

 紬はインプ達の方を指さしながら、彼等も融合や進化ができるのかを質問する。
 トラマツは真剣にインプ達も確認し、すぐに紬に視線を移す。

「インプ、ゴブリンに関してはジャックランタンと同じく姿を変えられるし、マンドラゴラとの融合も可能だよ」
「マンドラゴラと融合できるの!?」

 トラマツの説明にクロエは信じられない表情で驚きを隠せず、彼は冷静にコクリと頷く。

「そう。誰とマンドラゴラを融合するかは君次第だからね」
「じゃあ、インプでやってみます!マジカルハンド!」

 紬はインプとマンドラゴラに融合の光線を当てた途端、インプとマンドラゴラは光りに包まれながら融合し始め、新たなモンスターに変化した。

「どうなったのかな?」
「姿が変われば良いけど……」

 倫子とミミが成功したのかと心配する中、緑色の肌をしたインプが姿を現す。更に彼の手には剣が握られていて、腰布も巻かれていた。

「インプファイター。魔法と剣を使える心強い存在だ」
「これが俺の新たな姿か。やるからには本気で突き進むのみ!宜しくな、マスター!」
「ええ!」

 インプファイターの笑みに紬も笑顔で返したと同時に、彼女のモンスター確認は終わりを告げた。
 モンスター達はスピリットとなり、次々と紬のバングルの中に入った。

「取り敢えずモンスターについては大丈夫だね。じゃあ、次はトキコさんが言っていた奴隷だけど、僕も奴隷については知っているし、折角だから教えてあげるよ」

 ヒューゴは皆に対して説明を行う事を決意し、それを聞いた零夜はすぐに彼に接近する。どうやら奴隷に関しては黙ってられないのだろう。

「悪いが宜しく頼む。奴隷に関しては許せないところがあるからな」
「君の気持ちはよく分かるから落ち着いて……」

 零夜に詰め寄られたヒューゴは苦笑いしながら彼を落ち着かせ、そのまま彼等に説明を始めようとしていた。
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