聖なる言霊を小言と馬鹿にされ婚約破棄されましたが、普段通りに仕事していたら辺境伯様に溺愛されています

青空あかな

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第53話:特別③

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「こ、これは何の魔法ですか……? 美しくて綺麗で、心が洗われます」
〔古の時代に生きていた動物や魔物を表現する魔法のようだ。当時の詳細な資料としても使えるな〕

 ルイ様も嬉しそうな、感嘆とした表情で魔法の行く末を見守る。
 薄暗い地下倉庫は魔法の光で昼間のごとく明るくなり、まるで舞踏会が開かれているような華やかさだった。

「ルイ様、こんな特別な魔法を見せてくださり……本当にありがとうございます。美しすぎて……胸が震えてしまいます」

 心が洗われ、目の端に薄らと涙が浮かぶのを感じる。
 ふと、ルイ様が私の前で魔法文字を書かれたのに気づいた。

〔私にとっては……君が特別なんだ〕

 小さくて綺麗な魔法文字……。 
 その言葉を最後まで読んだ瞬間、私の胸はドキリと高鳴った。
 嬉しさと戸惑いが入り交じったような気持ちとともに……。

「わ、私が特別とは……どういう意味でしょうか……」
〔い、いや、何でもない。気にしないでくれ〕

 ルイ様は急いで消すと、乱れた文字で書き直してしまった。
 そのまま、スタスタとお屋敷への階段に向かう。
 もう少し聞きたかったけどしょうがない。
 私もなぜかドキドキが収まらない心臓を落ち着かせながら後を追った。
 外の明かりが差し込み周囲が少しずつ明るくなってくると、聞き慣れた男女の声が聞こえる。

「……ほら、アレン。もっと腰を入れて拭きなさい」
「姉さんも説教ばかりしてないで掃除してよ」

 エヴァちゃんとアレン君だ。
 執務室の窓を拭きながら言い合う。
 机の上には、ガルシオさんが色んな食べ物(特にお肉)を並べていた。
 私たちに気づくと、しどろもどろでお話しされる。

『これはえっと……準備だ。そう、準備。お前たちが腹減って戻ってきたら、すぐに渡せるようにだな……』
〔ガルシオ、見苦しいぞ〕
 
 大好きなみんなと、柔らかな日差しが私とルイ様を迎えてくれた。
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