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第49話:地下倉庫②
しおりを挟む「地下は結構深いのですか?」
〔そうだな、しばらくは階段を下ることになる。松明はないが、私が魔法で足元を照らす。それでも暗いから十分気をつけてくれ〕
「わかりました、ありがとうございます」
ルイ様に続いて扉をくぐる。
中はひんやりした空気に包まれ、地上とは別世界に来た気分だ。
階段は、ギリギリ人がすれ違えそうなくらいの幅。
狭いおかげで、両手で身体を支えながら降りられるね。
壁には松明の類は一個もないけど、ルイ様が小さな光の球で照らしてくれているので、暗いけど階段はよく見えた。
数分降りると、平面にたどり着いた。
〔今明かりをつけよう〕
「松明があるのですか?」
〔なに、見ていればわかる〕
周囲が暗くても魔法文字はキラキラと輝くので、何が書いてあるのかわかった。
ルイ様が光の球をふわりと天井に飛ばす。
空中で五個に分かれると、吊るされたランプに収まった。
室内がパッと明るくなる。
地下倉庫は思ったより広くて、縦横30mくらいの大きな空間だった。
黒くて怖そうな鎧や、宝石の埋め込まれた長剣、小さいけれど不思議と威圧感のある鏡など、見たこともないアイテムがところ狭しと並ぶ。
〔このスペースには、主にアングルヴァン家に伝わる品々を置いている。せっかくだから、少し説明しておこう。あの黒い鎧は“深淵の甲冑”。どんな強力な魔法も無に帰してしまう。そこに立てかけてある長剣は“降臨の剣”。古の時代、天使の降臨に使われていたらしい。あそこにある鏡は……〕
ルイ様はいくつかのアイテムについて説明してくれた。
そのどれもが、普通に生きているだけでは見ることさえないような物ばかりだった。
思わず、感嘆とした声が漏れる。
「す、すごく貴重そうな品ばかりですね。まるで、王宮の宝物庫にいるみたいです」
〔今となっては、どれも無用の長物だがな〕
私は恐れおののいていたけど、ルイ様は何の気なしにサラサラと魔法文字を書かれる。
宝物の後ろには巨大なゴーレムなどもあり、どうやって運んだのだろうと気になった。
「通路の幅より大きなアイテムもあるんですね」
〔大きな物は私が収納魔法を使って運搬したんだ〕
「そうだったのですか。……あの、魔導書はここにはないのでしょうか?」
隈なく探したわけではないけど、ざっと見た感じ本の類はなさそうだった。
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