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白い日

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(もうどこだかわからないわね……)



目の前に広がるのは、眩しい程の白い平野……



(今年は本当に雪が多いわね……) 



今もなお、白い雪が舞い落ちる。
音もなく、だけど、小さな白は確実に広がって……



あなたは、今もここのどこかにいる。



あれから、瞬く間に月日が流れた。
まさか、こんなにも長い間みつからないなんて思ってもみなかった。

あの時、あなたはちょうど仕事もやめて、新しい彼女と暮らすとか言って家も引き払ってたものね……

タイミングが良かった……ただそれだけのこと。



だけど、自分の犯した罪を畏れ、いつバレるかと怯える日々は辛かった。
私が死んでしまえば良かったと思う程に……



特に、春が怖かった。
雪解けと共にあなたが出てくるんじゃないかって……
あんなに深く埋めたんだもの。
そう簡単に出てくるはずもないのに。



なのに、そんな日々から数年後、私は優しい人に巡り合い、幸せな家庭を築いた。
あの時、どうしてあんなにあなたに執着してしまったのかも、今となってはわからない。



二度と来ることがないと思っていたここにも、私はこんなに穏やかな気持ちで来ることが出来た。



「おかあさーん!」



走ってきたのは、上の娘。
来年からもう大学生。



「寒いから戻ろうってお父さんが言ってるよ。」

「そうね……本当に寒いわ。」

「ねぇ……おかあさん、何を見てたの?
特に何もないのに……」

「……あなたは若いからまだわからないのよ。
この真っ白な平野を見てたらね……若い頃のことを思い出すの。」

「えっ!なになに?過ぎ去りし日のロマンスとか…?」



娘の軽口に私は笑う。



あんなことを思い出の一つに変えてしまった私は鬼かもしれない。



だけど、私は今本当に幸せで……



そして、私はすべてを包み込んでくれる真っ白な雪が好き…… 
 
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