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星の流れる夜に

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(どうか、パパとママが早く帰って来ますように!)



みつけた流れ星に、僕は必死で祈った。



(どうか、マルセルの熱が下がりますように!)
(このまま、みつからずに安全な所へ逃げられますように!)
(おいしいものが食べられますように!)



夢か奇蹟のように、次から次に流れ星はみつかった。
その度に僕は心からの願いをかけた。
昔のような平和で穏やかな家に戻りたくて、僕は必死だったんだ。
平和だった頃を思い出すと、不思議と涙が浮かんで来る。
思い出される家族の顔は、皆、笑顔なのに……









(ハッ……)



ものすごい寒さで僕は目が覚ました。
気付かないうちに眠ってしまってたみたいだ。
起きようとしたら、世界がぐるんと大きく周って胸がむかつき、起きあがることが出来なかった。

マルセルも眠っている。
こんな寒い所で眠ったら、ますます熱が上がりそうだ。
僕は恐る恐る身体の向きを変えて、這いながらマルセルの傍に近付いた。



「マルセル……」

そっと触れたマルセルの額はとても冷たい。
それは、熱が下がったというものではなく、まるで血が通ってないような冷たさで……僕は本能的に悪い予感を感じていた。



「マルセル?マルセル!……マルセルーーーー!!」

小さな弟の身体は人形のようだった。
どこにも力はなく、僕が揺さぶるままにがくんがくんと動くだけ……



助けて!
誰か、マルセルを……僕を助けて!!



僕はもうどうしたら良いかもわからなくて…怖くて怖くてどうしようもなくて……ただ叫んで泣く事しか出来なかった。







「もう心配はいらないよ。」

僕が目を覚ましたのは、どこかわからない…薬のようなにおいがする明るい部屋だった。



僕は親切な人に発見され、保護されたんだ。



その後、警察が調べてくれて、あの人達は親戚でもなんでもない悪い人だってことがわかって……僕は、今、施設で穏やかに暮らしている。



流れ星は願いを叶えてくれた…



あの晩、僕ははっきりと見たんだ。
パパとママがマルセルの手を引いて、天に上っていくのを……



あの時のマルセルはとても幸せそうな顔してた。
いつもみたいな無理して作った笑顔じゃなくて、心からの笑顔を浮かべてた。



いろいろと思うことはある……
でも、マルセルのあの顔を見たら…きっと、これで良かったんだって……僕にはそう思えた。



なのに、涙が溢れて来るのはなぜだろう?
そう思うのは本心じゃないのか、それとも、ひとりぼっちになってしまったせいなのか……



(ねぇ、マルセル…君は、最期に何を祈ったんだい…?
……君の願いは叶ったのかな?)



~fin
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