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side 和彦
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「それで、あなたがシュウと美幸を会わせたんですか?」
「そうではない、これは偶然だったんじゃ。
まるで、ひかりとシュウの魂が引き合わせたかのような偶然だった。」
「どういうことです?
そもそも、シュウはどうしてホストなんかに?」
「それはじゃな…以前、赤い流れ星の奇蹟のお蔭でシュウがこっちに来た時は、戸籍がなくて困ったということを聞いておった。
だから、シュウをこっちに送る時、あいつにはシュウの人生を書いた紙を持たせたんじゃ。」
「シュウの…人生?」
大河内さんは大きく頷いた。
「わしはひかりのアイディアにより賢者となった。
賢者は、ひかりの中では魔法使いのような者のことらしく、わしにはいろいろな魔法が使えるという設定だったのじゃ。
それで、わしはシュウに人間界で困らない人生を与えた。
それはそのまま、現実の世界に組み込まれた。
本当はありもしなかったシュウが生まれてからあの年になるまでの人生が、この世に組み込まれたのじゃ。」
ネイサンが冷やかすような口笛を吹いた。
「それじゃあ、あなたがシュウをホストに?」
「いや、そうではない。
わしが考えたのは両親や生まれた日のことだけじゃ。
その後は、シュウの性格などに合わせて、自動的に形成される。
だから、わしはシュウがホストになっていたことは全く知らなかった。」
「では、どうして出会えたんですか?
美幸と運命的な出会いだったとおっしゃいましたが…」
「実は、わしが偶然野々村さんとひかりに会った時、今日はホストクラブの開店日で、そのパーティに呼ばれているとの連絡があったんじゃ。
わしはそんなところに行くつもりはなかったんじゃが、店のすぐそばに来ていたし、顔を出すだけでも…と言われ、ひとりならおそらくいかなかっただろうが、ひかりと野々村さんについて来てもらえるなら…と、行くことにしたんじゃ。」
(美幸の奴…
シュウとは先日初めて会ったと言いながら、本当は以前から会ったことがあったんだな。
嘘を吐きやがって…)
「そこはわしの持ってるビルのひとつなんじゃ。
行ってみて、びっくりしたぞ。
なんと、そこにおったんはシュウだったんじゃからな。
あの日、ひかりや野々村さんに会わなかったら、わしはきっとパーティには行かなかった。
そしたら、シュウがこんな近くにいることにもなかなか気付かなかったじゃろう。
そもそも、ふたりがこんな近くに来ていたこと自体、やはり運命のようにわしには思えるんじゃ…」
そう言って、大河内さんは瞳を潤ませた。
「そうではない、これは偶然だったんじゃ。
まるで、ひかりとシュウの魂が引き合わせたかのような偶然だった。」
「どういうことです?
そもそも、シュウはどうしてホストなんかに?」
「それはじゃな…以前、赤い流れ星の奇蹟のお蔭でシュウがこっちに来た時は、戸籍がなくて困ったということを聞いておった。
だから、シュウをこっちに送る時、あいつにはシュウの人生を書いた紙を持たせたんじゃ。」
「シュウの…人生?」
大河内さんは大きく頷いた。
「わしはひかりのアイディアにより賢者となった。
賢者は、ひかりの中では魔法使いのような者のことらしく、わしにはいろいろな魔法が使えるという設定だったのじゃ。
それで、わしはシュウに人間界で困らない人生を与えた。
それはそのまま、現実の世界に組み込まれた。
本当はありもしなかったシュウが生まれてからあの年になるまでの人生が、この世に組み込まれたのじゃ。」
ネイサンが冷やかすような口笛を吹いた。
「それじゃあ、あなたがシュウをホストに?」
「いや、そうではない。
わしが考えたのは両親や生まれた日のことだけじゃ。
その後は、シュウの性格などに合わせて、自動的に形成される。
だから、わしはシュウがホストになっていたことは全く知らなかった。」
「では、どうして出会えたんですか?
美幸と運命的な出会いだったとおっしゃいましたが…」
「実は、わしが偶然野々村さんとひかりに会った時、今日はホストクラブの開店日で、そのパーティに呼ばれているとの連絡があったんじゃ。
わしはそんなところに行くつもりはなかったんじゃが、店のすぐそばに来ていたし、顔を出すだけでも…と言われ、ひとりならおそらくいかなかっただろうが、ひかりと野々村さんについて来てもらえるなら…と、行くことにしたんじゃ。」
(美幸の奴…
シュウとは先日初めて会ったと言いながら、本当は以前から会ったことがあったんだな。
嘘を吐きやがって…)
「そこはわしの持ってるビルのひとつなんじゃ。
行ってみて、びっくりしたぞ。
なんと、そこにおったんはシュウだったんじゃからな。
あの日、ひかりや野々村さんに会わなかったら、わしはきっとパーティには行かなかった。
そしたら、シュウがこんな近くにいることにもなかなか気付かなかったじゃろう。
そもそも、ふたりがこんな近くに来ていたこと自体、やはり運命のようにわしには思えるんじゃ…」
そう言って、大河内さんは瞳を潤ませた。
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