237 / 761
side 野々村美咲
1
しおりを挟む
*
「も、もしもし。」
「おぉ、野々村さんが電話をくれるとは珍しい。」
「あ、あの…今、話してて大丈夫ですか?」
「あぁ、今日は仕事が思ったより早くにあがったんで、もう家におるんじゃよ。
なにかありましたかな?」
美幸さんとシュウさんのことをどうしても話したくて、私はKEN-Gさんに電話をかけた。
お忙しい方だからメールの方が良いかとも思いつつ、文字にすればかなりの長文になりそうだったし、やっぱり電話でお話したかったから。
「実は…シュウさんとみゆ…ひかりさんのことなんですけど……」
「なに、シュウとひかりの?
二人になんかあったのか!?」
「え、ええ…!!」
私もつい嬉しくて、あの日、シュウさんがひかりさんを家まで送って下さったこと、そして、プライベートの名刺を渡されたことを話した。
「な、なんと、シュウがそんなことを…!?
野々村さん…それは、やはり今でもシュウの心の中に、ひかりの記憶が残っているということだと思うか?」
「よくはわかりませんが…やっぱり魂に刻まれた記憶のようなものがあって、お二人が出会ったことでそれが少しずつよみがえって来てるんじゃないでしょうか?」
「魂の記憶か……
うん……そうかもしれんな!
そうか、そうか、ひかりとシュウがのう……
実はな、先日、タカミーにシュウのアドレスを教えたことで、シュウには叱られたんじゃよ。
プライベートなメアドや電話番号は、俺が納得した相手にしか教えたくないんだって、きつくな。
それを自ら教えたんじゃから、やはりひかりには特別な感情を持ってるということじゃな。
そうか、そうか……」
KEN-Gさんもやはり私と同じお気持ちのようで、心底喜んでらっしゃるのが電話の声からもとてもよく感じられた。
「本当に良かったです。」
「そうじゃな……それで、その後、二人はどうなんじゃ?
進展してるのか?」
「えっ!?いくらなんでもそんな急には……
第一、ひかりさんは、シュウさんにそんなことをされたことですごく戸惑ってらっしゃいましたし……」
「でも、シュウに電話くらいはしたんじゃろう?
送ってもらったお礼に……」
「それが…なにしろ、ひかりさんは動揺されてて、まだ連絡はなにもされてないようでした。
あんまり早急にああしろこうしろっていうのも逆効果かなと思って、しばらく様子を見たらどうですかって言ったんです……
でも、やっぱりお礼だけは言われた方が良いですよね。
……KEN-Gさん!私、今からまたひかりさんに連絡してみます!」
いてもたってもいられない気持ちで私は電話を切り、すぐにひかりさんにかけ直した。
「も、もしもし。」
「おぉ、野々村さんが電話をくれるとは珍しい。」
「あ、あの…今、話してて大丈夫ですか?」
「あぁ、今日は仕事が思ったより早くにあがったんで、もう家におるんじゃよ。
なにかありましたかな?」
美幸さんとシュウさんのことをどうしても話したくて、私はKEN-Gさんに電話をかけた。
お忙しい方だからメールの方が良いかとも思いつつ、文字にすればかなりの長文になりそうだったし、やっぱり電話でお話したかったから。
「実は…シュウさんとみゆ…ひかりさんのことなんですけど……」
「なに、シュウとひかりの?
二人になんかあったのか!?」
「え、ええ…!!」
私もつい嬉しくて、あの日、シュウさんがひかりさんを家まで送って下さったこと、そして、プライベートの名刺を渡されたことを話した。
「な、なんと、シュウがそんなことを…!?
野々村さん…それは、やはり今でもシュウの心の中に、ひかりの記憶が残っているということだと思うか?」
「よくはわかりませんが…やっぱり魂に刻まれた記憶のようなものがあって、お二人が出会ったことでそれが少しずつよみがえって来てるんじゃないでしょうか?」
「魂の記憶か……
うん……そうかもしれんな!
そうか、そうか、ひかりとシュウがのう……
実はな、先日、タカミーにシュウのアドレスを教えたことで、シュウには叱られたんじゃよ。
プライベートなメアドや電話番号は、俺が納得した相手にしか教えたくないんだって、きつくな。
それを自ら教えたんじゃから、やはりひかりには特別な感情を持ってるということじゃな。
そうか、そうか……」
KEN-Gさんもやはり私と同じお気持ちのようで、心底喜んでらっしゃるのが電話の声からもとてもよく感じられた。
「本当に良かったです。」
「そうじゃな……それで、その後、二人はどうなんじゃ?
進展してるのか?」
「えっ!?いくらなんでもそんな急には……
第一、ひかりさんは、シュウさんにそんなことをされたことですごく戸惑ってらっしゃいましたし……」
「でも、シュウに電話くらいはしたんじゃろう?
送ってもらったお礼に……」
「それが…なにしろ、ひかりさんは動揺されてて、まだ連絡はなにもされてないようでした。
あんまり早急にああしろこうしろっていうのも逆効果かなと思って、しばらく様子を見たらどうですかって言ったんです……
でも、やっぱりお礼だけは言われた方が良いですよね。
……KEN-Gさん!私、今からまたひかりさんに連絡してみます!」
いてもたってもいられない気持ちで私は電話を切り、すぐにひかりさんにかけ直した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
不幸な少女の”日常”探し
榊原ひなた
ファンタジー
夜の暗闇の中、弱々しく歩く少女の姿があった。
03:31という時間なので車や人が通らず、街灯もない道を歩く少女の姿を見る者はいない。
もしその少女の姿を見たら思わず目を背けてしまうだろう。裸足で…異様なほど痩せていて…痛々しい痣や傷を全身に作り、服はだらしなく伸びきっており…肩口が破け…髪はボサボサで…。
だが…その少女は虚ろな目をしながら微かに笑っていた。
………
……
…
これは…不幸な少女の”日常”を探す物語。
_________________________
*一話毎文字数少ないです。
*多分R18じゃないはずです、でも一応そういった事も書いてあります。
*初めて書く小説なので文章力や表現力が無く、所々間違っているかも知れません。
*伝わらない表現があるかも知れません。
*それでも読んで頂けたら嬉しいです。
*本編完結済みです。
姫神の女たち2 ユーノー・ソスピタ(維持する者)のニンフ 【ノーマル版】
ミスター愛妻
ファンタジー
ソル星系外惑星鉄道ステーションの中心、ガリレオ衛星ステーションは特殊な地位にあり、執政官府がおかれている。
執政官はガリレオ・カウンテスとよばれているが、その補佐にあたる管理官たちも、ガリレオ・ヴァイカウンテス――ガリレオ女子爵――とか、ガリレオ・バロネス――ガリレオ女男爵――とかいわれている。
ここはソル星系世界の、宇宙貿易の中心でもあり、なにかと忙しい。
そんな管理官たちの、日常を綴ってみよう。
百年紀のカレンダーのスピンオフ、『姫神の女たち』シリーズの第二短編集。
ガリレオ・カウンティスの続編にあたります。
本作はミッドナイトノベルズ様に投稿していたものから、R18部分を削除、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。
一話あたり2000文字以内と短めになっています。
表紙はティツィアーノ・ヴェチェッリオ フローラ でパブリックドメインとなっているものです。
魔がさした? 私も魔をさしますのでよろしく。
ユユ
恋愛
幼い頃から築いてきた彼との関係は
愛だと思っていた。
何度も“好き”と言われ
次第に心を寄せるようになった。
だけど 彼の浮気を知ってしまった。
私の頭の中にあった愛の城は
完全に崩壊した。
彼の口にする“愛”は偽物だった。
* 作り話です
* 短編で終わらせたいです
* 暇つぶしにどうぞ
才能は流星魔法
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。
そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。
流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。
ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。
井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。
山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。
井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。
二日に一度、18時に更新します。
カクヨムにも同時投稿しています。
【未完】ファミレス転生 〜デザートはケモノ成分大盛りで〜
紅柄ねこ(Bengara Neko)
ファンタジー
強力なスキルを貰って、異世界に召喚されたクロウの第二の人生がここに始まる。
「んっ……また抱きついて……ったく」
小さな小動物みたいな獣人エゾリス族のヤエは、まだ子供である少年の眠る布団に潜り込んでいた。
先日はハーフビーストのサクアが下着姿で寝ていたし、一体何が目的だよ……
長いエゾリス族の耳がピコピコ動いている。
すでに起きているのに、まだ寝たフリか……
「いい加減にしろよ、ヤエっ!」
「ピエッ⁈」
全くもう……大人しくしていれば可愛らしいのに……
まぁ……それでも可愛いけどさ……
〜獣人たちに出会う15年前〜
就活生『三波 烏(クロウ)』は25歳であった。
名前のせいか、面接官の印象もあまり良くないようだ。
今日も就活後には近所のファミレスで、何か資格を取ろうかとパンフレットを読んでいた。
これまでも何かの役に立つかと思って、勉強はしてきた。
実際には働いてからでないと取得できないものもあって、時間を無駄にしてきたかもしれない。
だが、そんな無駄よりも、もっともっと俺の人生が無駄になる事件が起きてしまったのだ。
転生先は剣と魔法の世界だった。
しかし、三波クロウのもらったスキルは『ドリンクバー(スープ・サラダ付き)』だった。
これは……さすがに。
異世界から来たものだから、クロウには魔法は使えなかったのだ。
このスキルだけで、魔物の蔓延る異世界を生き抜くことができるのか???
わたしの婚約者は学園の王子さま!
久里
児童書・童話
平凡な女子中学生、野崎莉子にはみんなに隠している秘密がある。実は、学園中の女子が憧れる王子、漣奏多の婚約者なのだ!こんなことを奏多の親衛隊に知られたら、平和な学校生活は望めない!周りを気にしてこの関係をひた隠しにする莉子VSそんな彼女の態度に不満そうな奏多によるドキドキ学園ラブコメ。
どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。
kana
恋愛
私の目の前でブルブルと震えている、愛らく庇護欲をそそる令嬢の名前を呼んだ瞬間、頭の中でパチパチと火花が散ったかと思えば、突然前世の記憶が流れ込んできた。
前世で読んだ小説の登場人物に転生しちゃっていることに気付いたメイジェーン。
やばい!やばい!やばい!
確かに私の婚約者である王太子と親しすぎる男爵令嬢に物申したところで問題にはならないだろう。
だが!小説の中で悪役令嬢である私はここのままで行くと断罪されてしまう。
前世の記憶を思い出したことで冷静になると、私の努力も認めない、見向きもしない、笑顔も見せない、そして不貞を犯す⋯⋯そんな婚約者なら要らないよね!
うんうん!
要らない!要らない!
さっさと婚約解消して2人を応援するよ!
だから私に遠慮なく愛を貫いてくださいね。
※気を付けているのですが誤字脱字が多いです。長い目で見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる