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side 野々村美咲
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「今ね、おじいさんから電話だったんだ。
なんで、野々村さんじゃなくて私にかけてくるんだろうね?
あ、普段も特におじいさんとよく話したりメールしてるわけじゃないからね!
それでね、今、野々村さんと一緒だって言って変わろうと思ったんだけど、おじいさん、今忙しいらしくって……本当にごめんね。」
「はぁ……」
なんで美幸さんがそんなことを気にされるのかわからなかったけど……
やっぱり相手はKEN-Gさんだったようだ。
「それで、用件はなんだったんですか?
シュウさんのお店に行く日のことですか?」
「そう!そうなんだ!
タカミーさんが明日は少し早めに終われるらしくって、それで明日にしようって。
あぁ…今日、靴買っといて良かったぁ…」
美幸さんは心底ほっとされたような声でそう言われた。
「明日ですか。
ずいぶん急ですね。」
「そうでもないよ。
だって、今週中って言ってたじゃない。
あ!そうだ、タカミーさんにはどこに行くか言わないようにって。」
「そうなんですか?
言ったってタカミーさんならいやがられはしないと思いますが……わかりました。」
「……あ、あの、さ……」
美幸さんの様子が急にもじもじとした落ちつきのないものに変わった。
「……なんですか?」
「あの…明日いくことになったこと、純平君に連絡した方が良いかな?」
それは質問だったけど、美幸さんがYESの答えを期待されてることは明らかだった。
でも、だからといって私はそうするのもなんだかいやで……
「……そういうことなら、KEN-Gさんがもうシュウさんに連絡されてるんじゃないでしょうか?
きっと今度もまた個室を予約されるはずですし……あ、そうだわ!
タカミーさんのためにお食事も頼まれるはずですから、きっと連絡されてますよ。
だから、純平さんももうご存知なんじゃないかしら?」
「あ……そうだね。
でも……行く日が決まったら連絡するって約束しちゃったし……どうしよう?」
……そう訊ねられた美幸さんの瞳は恋する女の子の瞳だった。
まずいことになりそうだとは思いつつ……でも、ここで頑なに連絡しない方が良いというのも不自然だ。
「じゃあ、メールで簡単に連絡されたらどうですか?」
「そ、そうだよね?
知ってたとしても、約束は約束だもんね!」
美幸さんはそう言って嬉しそうな笑みを浮かべられ、それを見た私は不安な気持ちを感じた。
なんで、野々村さんじゃなくて私にかけてくるんだろうね?
あ、普段も特におじいさんとよく話したりメールしてるわけじゃないからね!
それでね、今、野々村さんと一緒だって言って変わろうと思ったんだけど、おじいさん、今忙しいらしくって……本当にごめんね。」
「はぁ……」
なんで美幸さんがそんなことを気にされるのかわからなかったけど……
やっぱり相手はKEN-Gさんだったようだ。
「それで、用件はなんだったんですか?
シュウさんのお店に行く日のことですか?」
「そう!そうなんだ!
タカミーさんが明日は少し早めに終われるらしくって、それで明日にしようって。
あぁ…今日、靴買っといて良かったぁ…」
美幸さんは心底ほっとされたような声でそう言われた。
「明日ですか。
ずいぶん急ですね。」
「そうでもないよ。
だって、今週中って言ってたじゃない。
あ!そうだ、タカミーさんにはどこに行くか言わないようにって。」
「そうなんですか?
言ったってタカミーさんならいやがられはしないと思いますが……わかりました。」
「……あ、あの、さ……」
美幸さんの様子が急にもじもじとした落ちつきのないものに変わった。
「……なんですか?」
「あの…明日いくことになったこと、純平君に連絡した方が良いかな?」
それは質問だったけど、美幸さんがYESの答えを期待されてることは明らかだった。
でも、だからといって私はそうするのもなんだかいやで……
「……そういうことなら、KEN-Gさんがもうシュウさんに連絡されてるんじゃないでしょうか?
きっと今度もまた個室を予約されるはずですし……あ、そうだわ!
タカミーさんのためにお食事も頼まれるはずですから、きっと連絡されてますよ。
だから、純平さんももうご存知なんじゃないかしら?」
「あ……そうだね。
でも……行く日が決まったら連絡するって約束しちゃったし……どうしよう?」
……そう訊ねられた美幸さんの瞳は恋する女の子の瞳だった。
まずいことになりそうだとは思いつつ……でも、ここで頑なに連絡しない方が良いというのも不自然だ。
「じゃあ、メールで簡単に連絡されたらどうですか?」
「そ、そうだよね?
知ってたとしても、約束は約束だもんね!」
美幸さんはそう言って嬉しそうな笑みを浮かべられ、それを見た私は不安な気持ちを感じた。
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