143 / 761
side 野々村美咲
1
しおりを挟む
*
(……眠れない…)
私は天井をみつめ、大きな溜め息を吐き出した。
眠いはずなのに、神経が高ぶってちっとも眠れない。
でも、そうなるのも当然だ。
あんなことを聞いたんだもの。
冷静でいられないのも当然だわ。
私の知らない所でそんな奇蹟みたいなことが起きてたなんて、今でも信じられない……
でも、これは明らかに現実……
シュウさんとKEN-Gさんは元はといえば美幸さんの小説のキャラクターで、今は完全のこの世界の人間として生きていて、そして、そのことを記憶しているのはKEN-Gさんだけ。
シュウさんにはその記憶は全くない。
それから、シュウさんが最初にこっちの世界に来られた時に接触した方々の記憶からもシュウさんに関する記憶は一切消えている…いや、その事実そのものがなかったことにされている…と。
だから、青木さんや美幸さんはシュウさんのことを一切覚えてらっしゃらない…
青木さん達には、シュウさんとは出会われなかった五年間があらたに現実として存在し、なのに、私はシュウさんがこちらに来られたことを知っている…
そのことは何度考えてもとても怖い…
うまく合流して何事もなく過ごしてはいるけれど、私と青木さんは一部だけ違う時間の流れを歩んで来たことになるんだから。
まさに、奇蹟だ…
奇蹟以外の言葉がみつからない。
でも、KEN-Gさんと話し合えて本当に良かった。
少なくとも、真実を知ってる人がこの世に二人はいるわけだから。
この秘密は一人で抱えるには重すぎる。
そういえば、もしもあの小説が公開されていて、たくさんの人の目に触れてたらどうなってたんだろう?
今の事態は変わってたんだろうか?
まだまだわからないことだらけで、これから先どんなことになっていくのかと考えると、私はますます目が冴えてしまった。
(……眠れない…)
私は天井をみつめ、大きな溜め息を吐き出した。
眠いはずなのに、神経が高ぶってちっとも眠れない。
でも、そうなるのも当然だ。
あんなことを聞いたんだもの。
冷静でいられないのも当然だわ。
私の知らない所でそんな奇蹟みたいなことが起きてたなんて、今でも信じられない……
でも、これは明らかに現実……
シュウさんとKEN-Gさんは元はといえば美幸さんの小説のキャラクターで、今は完全のこの世界の人間として生きていて、そして、そのことを記憶しているのはKEN-Gさんだけ。
シュウさんにはその記憶は全くない。
それから、シュウさんが最初にこっちの世界に来られた時に接触した方々の記憶からもシュウさんに関する記憶は一切消えている…いや、その事実そのものがなかったことにされている…と。
だから、青木さんや美幸さんはシュウさんのことを一切覚えてらっしゃらない…
青木さん達には、シュウさんとは出会われなかった五年間があらたに現実として存在し、なのに、私はシュウさんがこちらに来られたことを知っている…
そのことは何度考えてもとても怖い…
うまく合流して何事もなく過ごしてはいるけれど、私と青木さんは一部だけ違う時間の流れを歩んで来たことになるんだから。
まさに、奇蹟だ…
奇蹟以外の言葉がみつからない。
でも、KEN-Gさんと話し合えて本当に良かった。
少なくとも、真実を知ってる人がこの世に二人はいるわけだから。
この秘密は一人で抱えるには重すぎる。
そういえば、もしもあの小説が公開されていて、たくさんの人の目に触れてたらどうなってたんだろう?
今の事態は変わってたんだろうか?
まだまだわからないことだらけで、これから先どんなことになっていくのかと考えると、私はますます目が冴えてしまった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。
【書籍化】家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました【決定】
猿喰 森繁
ファンタジー
【書籍化決定しました!】
11月中旬刊行予定です。
これも多くの方が、お気に入り登録してくださったおかげです
ありがとうございます。
【あらすじ】
精霊の加護なくして魔法は使えない。
私は、生まれながらにして、加護を受けることが出来なかった。
加護なしは、周りに不幸をもたらすと言われ、家族だけでなく、使用人たちからも虐げられていた。
王子からも婚約を破棄されてしまい、これからどうしたらいいのか、友人の屋敷妖精に愚痴ったら、隣の国に知り合いがいるということで、私は夜逃げをすることにした。
まさか、屋敷妖精の一声で、精霊の信頼がなくなり、国が滅ぶことになるとは、思いもしなかった。
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【転生先が四天王の中でも最弱!の息子とか聞いてない】ハズレ転生先かと思いきや世界で唯一の氷魔法使いだった俺・・・いっちょ頑張ってみますか
他仲 波瑠都
ファンタジー
古の大戦で連合軍を勝利に導いた四人の英雄《導勝の四英傑》の末裔の息子に転生した天道明道改めマルス・エルバイス
しかし彼の転生先はなんと”四天王の中でも最弱!!”と名高いエルバイス家であった。
異世界に来てまで馬鹿にされ続ける人生はまっぴらだ、とマルスは転生特典《絶剣・グランデル》を駆使して最強を目指そうと意気込むが、そんな彼を他所にどうやら様々な思惑が入り乱れ世界は終末へと向かっているようで・・・。
絶剣の刃が煌めく時、天は哭き、地は震える。悠久の時を経て遂に解かれる悪神らの封印、世界が向かうのは新たな時代かそれとも終焉か────
ぜひ読んでみてください!
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
天職⁉︎モブ神と始める異世界のお仕事!
テルボン
ファンタジー
とある理由で、大学を辞めてバイト尽くしの日々を過ごす一ノ瀬 隼人(いちのせ はやと)。
ひょんなキッカケで一宿一飯の世話をした娘が、モブな女神だった⁉︎
日常が一変し、神々の仕事に関わる事になった2人は、試行錯誤の末に新たな仕事を創り出す!
これは、異世界の女神が織りなす出会いの物語。
今作は、『スキルが美味しいって知らなかったよ⁉︎』の世界観とリンクする場面も含まれています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる