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side 野々村美咲
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「あぁ……確か、若手イケメン社長っていう…
その人が青木さんでカズさん?」
「え、えぇ、まぁ…」
早くこの話題が終わるようにと願いながら、私はごく簡単に返事を返した。
「そうか、俺の師匠もカズさんっていうんだ。
ま、よくある名前ではあるよね。」
「師匠って…何の師匠なんじゃ?」
「俺を育ててくれた人なんだ。
師匠って呼ぶと、俺は芸人でも武道家でもないって怒るんだけど…でも、やっぱり師匠って言葉が一番しっくり来るんだ。」
シュウさんが、カズさんって方をとても尊敬して慕われているんだということが、その言葉からとても強く感じられた。
それにしてもシュウさんの話しぶりを聞いていると、まるでずっとこの世界にいらっしゃったように聞こえる。
一体、どうなっているんだろう?
それに、戸籍は…?
こんなお店を持つくらいだから、戸籍がなければそんなことは出来ない筈だ。
考えれば考える程、わからないことが増えて行く。
それにしても、また亜理紗さんに出会うなんて…
しかも、亜理紗さんと噂になってた人がよりにもよってシュウさんだったなんて…
(あ……)
美幸さんがやけに沈んでらっしゃる…
やっぱり、亜理紗さんのことがショックだったのかしら?
ってことは、美幸さんはやはりシュウさんのことが気になってらっしゃる…!?
お互い、記憶を失っても、やっぱりひかれるものがあったってことなのかしら?
でも、シュウさんは……特に変わった様子はないような…
ジョーさんはその後なかなか戻って来られず、その代わりに他の方がいらっしゃったのだけど…
やはり、亜理紗さんの乱入で興醒めした感は否めず、その後はあまり盛りあがることはなかった。
「じゃ、また寄らせてもらうよ。」
「はい、お待ちしております。
今日は本当にどうもありがとうございました。」
ホストさん達が深々と頭を下げる中、私達は店を後にした。
ようやくお開きになった頃にはもう三時近くになっていた。
KEN-Gさんにも美幸さんにもお話したいことはいっぱいあったけど、今夜はとても無理そうだ。
お酒はほんの少ししか飲んではいないけど、私も睡魔に襲われて今にも瞼が閉じそうで……
私達は呼んでいただいたタクシーに乗り込み、家路に着いた。
その人が青木さんでカズさん?」
「え、えぇ、まぁ…」
早くこの話題が終わるようにと願いながら、私はごく簡単に返事を返した。
「そうか、俺の師匠もカズさんっていうんだ。
ま、よくある名前ではあるよね。」
「師匠って…何の師匠なんじゃ?」
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師匠って呼ぶと、俺は芸人でも武道家でもないって怒るんだけど…でも、やっぱり師匠って言葉が一番しっくり来るんだ。」
シュウさんが、カズさんって方をとても尊敬して慕われているんだということが、その言葉からとても強く感じられた。
それにしてもシュウさんの話しぶりを聞いていると、まるでずっとこの世界にいらっしゃったように聞こえる。
一体、どうなっているんだろう?
それに、戸籍は…?
こんなお店を持つくらいだから、戸籍がなければそんなことは出来ない筈だ。
考えれば考える程、わからないことが増えて行く。
それにしても、また亜理紗さんに出会うなんて…
しかも、亜理紗さんと噂になってた人がよりにもよってシュウさんだったなんて…
(あ……)
美幸さんがやけに沈んでらっしゃる…
やっぱり、亜理紗さんのことがショックだったのかしら?
ってことは、美幸さんはやはりシュウさんのことが気になってらっしゃる…!?
お互い、記憶を失っても、やっぱりひかれるものがあったってことなのかしら?
でも、シュウさんは……特に変わった様子はないような…
ジョーさんはその後なかなか戻って来られず、その代わりに他の方がいらっしゃったのだけど…
やはり、亜理紗さんの乱入で興醒めした感は否めず、その後はあまり盛りあがることはなかった。
「じゃ、また寄らせてもらうよ。」
「はい、お待ちしております。
今日は本当にどうもありがとうございました。」
ホストさん達が深々と頭を下げる中、私達は店を後にした。
ようやくお開きになった頃にはもう三時近くになっていた。
KEN-Gさんにも美幸さんにもお話したいことはいっぱいあったけど、今夜はとても無理そうだ。
お酒はほんの少ししか飲んではいないけど、私も睡魔に襲われて今にも瞼が閉じそうで……
私達は呼んでいただいたタクシーに乗り込み、家路に着いた。
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