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side 野々村美咲
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「あ、そうだ…美幸さん。
昨夜、KEN-Gさんとちょっと話してたんですが、美幸さんは携帯小説ってお好きですか?」
「え…え、ま、まぁ…読まないことはないかな。」
「どういうジャンルですか?
やっぱり、恋愛?
最近読まれたのは?」
なんとなく歯切れの悪い美幸さんに反して、私は自分でも驚く程すらすらと質問を口にしていた。
「そ、そうだね。
まぁ、一応、恋愛が好きかな…
今は『赤い電車のあなたへ』ってのを読んでるんだ。
ほら、携帯小説の恋愛ものってみんなエロだと思ってる人がいるけど、そういうんじゃなくて、真面目っていうか純粋な恋愛で、ちょっとミステリー仕立てだったりもして、切ない感じもするし面白いんだよ。」
「そうなんですか、じゃあ、後で私にもその小説のURL教えて下さいね。
そういえば、携帯小説って素人さんが書かれてるんですよね。
美幸さんは読まれるだけですか?
ご自分で書かれたりはしないんですか?」
以前から気になっていたことを、私はついに美幸さんにぶつけた。
美幸さんがシュウさんの小説を書いてたことはどうなってるのか…それもずっと知りたいと思いながら、なかなか訊く機会がなかったのだけど、今ようやくそのチャンスがやってきたんだもの。
「えっ!…わ、私……
……実はね……書いてたこともあるんだけど全然読者つかないし、自分でも面白くないって思うくらい文才ないから、やめちゃった……」
やっぱり…
そのあたりのことは、あの不思議な体験の前だから変わってるはずはないと思ってたはいたけど、どこか不安だった。
だけど、心配する事なかった。
美幸さんはやはりシュウさんの小説を書かれてた!
「そんなことないと思いますよ。
文才があるかないかなんて、本人にはなかなかわからないことですよ。
第三者に読んでもらうのが一番じゃないかしら?
ね、美幸さん…良かったら、私に読ませて下さいよ!
どんなストーリーなんですか?」
「ストーリーって……
まだ、主人公を決めただけなんだ。
恋愛ものにするつもりで相手役を考えてたんだけど、考え過ぎて余計に思いつかなくなっちゃって…それで、つい…」
「つい…どうされたんですか?」
「ううん、別に……なんでもないよ。」
そうか…美幸さんはご自分を主人公にされてたけど、それは、シュウさんの相手役が思いつかなかったからなんだわ。
はっきり答えられないのはきっと照れてらっしゃるんだと思う。
昨夜、KEN-Gさんとちょっと話してたんですが、美幸さんは携帯小説ってお好きですか?」
「え…え、ま、まぁ…読まないことはないかな。」
「どういうジャンルですか?
やっぱり、恋愛?
最近読まれたのは?」
なんとなく歯切れの悪い美幸さんに反して、私は自分でも驚く程すらすらと質問を口にしていた。
「そ、そうだね。
まぁ、一応、恋愛が好きかな…
今は『赤い電車のあなたへ』ってのを読んでるんだ。
ほら、携帯小説の恋愛ものってみんなエロだと思ってる人がいるけど、そういうんじゃなくて、真面目っていうか純粋な恋愛で、ちょっとミステリー仕立てだったりもして、切ない感じもするし面白いんだよ。」
「そうなんですか、じゃあ、後で私にもその小説のURL教えて下さいね。
そういえば、携帯小説って素人さんが書かれてるんですよね。
美幸さんは読まれるだけですか?
ご自分で書かれたりはしないんですか?」
以前から気になっていたことを、私はついに美幸さんにぶつけた。
美幸さんがシュウさんの小説を書いてたことはどうなってるのか…それもずっと知りたいと思いながら、なかなか訊く機会がなかったのだけど、今ようやくそのチャンスがやってきたんだもの。
「えっ!…わ、私……
……実はね……書いてたこともあるんだけど全然読者つかないし、自分でも面白くないって思うくらい文才ないから、やめちゃった……」
やっぱり…
そのあたりのことは、あの不思議な体験の前だから変わってるはずはないと思ってたはいたけど、どこか不安だった。
だけど、心配する事なかった。
美幸さんはやはりシュウさんの小説を書かれてた!
「そんなことないと思いますよ。
文才があるかないかなんて、本人にはなかなかわからないことですよ。
第三者に読んでもらうのが一番じゃないかしら?
ね、美幸さん…良かったら、私に読ませて下さいよ!
どんなストーリーなんですか?」
「ストーリーって……
まだ、主人公を決めただけなんだ。
恋愛ものにするつもりで相手役を考えてたんだけど、考え過ぎて余計に思いつかなくなっちゃって…それで、つい…」
「つい…どうされたんですか?」
「ううん、別に……なんでもないよ。」
そうか…美幸さんはご自分を主人公にされてたけど、それは、シュウさんの相手役が思いつかなかったからなんだわ。
はっきり答えられないのはきっと照れてらっしゃるんだと思う。
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