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side 美幸
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「え…ええっ!あ、青木さんが私に…?」
野々村さんはそう言うと、目の前の包みを開けようともせずただじっとみつめてた。
私はおじいさんの家に行く時で良いかと思ってたんだけど、兄さんがネックレスを野々村さんに早く渡せっていうから、月曜の仕事の帰りに野々村さんと例のファミレスで会うことにした。
珍しく、食事代だって兄さんがおこずかいまでくれたから、私にとってはラッキーなことだったんだけど…
「あ…あのね…
この前、野々村さんと別れた後、皆でカラオケに行ったって言ったよね?
その時、兄さん、記憶がなくなる程飲んで酔っ払って…それで、反省したのか、迷惑かけたからって私にゲーム機を買ってくれることになったんだ。
でね、買い物に行ってた時、マイケルさんやアッシュさんにも何かあげようと思ったらしくて、二人が良く行くアクセサリー屋さんに行って、そこで私にもネックレスを買ってくれたんだけどね、その時、野々村さんにも買おうって思い付いたみたいだよ。
野々村さんには、私も兄さんも普段からお世話になってるもんね。」
「そ、そ、そんな…お世話だなんて…それは、むしろ、私の方なのに……
ど、どうしましょう…」
野々村さんの視線は包みに釘付けになってるのに、まだそれに手を伸ばす事はなかった。
「あ…野々村さん…
そんなに高いもんじゃないから、気にしない……で……」
その時の野々村さんの様子は、心底困ってるみたいで…
私は話ながら咄嗟に気付いた。
そうだ…
野々村さんは恐縮したり遠慮してるんじゃなくて、おじいさんのことが好きだから、兄さんからのプレゼントを迷惑がってるんだ…
そうだよね。
食べ物とかなからまだしも、アクセサリーだもん。
さすがに、野々村さんはおかしな勘違いはしないだろうけど、好きでもない男性からのアクセサリーのプレゼントって…そりゃあ、困るよね…
……でも、かといって返されたら、それはそれで兄さんが可哀相だ。
(どうしたら……あ……!)
その時、私の脳裏にうまい考えが思い浮かんだ。
「え…ええっ!あ、青木さんが私に…?」
野々村さんはそう言うと、目の前の包みを開けようともせずただじっとみつめてた。
私はおじいさんの家に行く時で良いかと思ってたんだけど、兄さんがネックレスを野々村さんに早く渡せっていうから、月曜の仕事の帰りに野々村さんと例のファミレスで会うことにした。
珍しく、食事代だって兄さんがおこずかいまでくれたから、私にとってはラッキーなことだったんだけど…
「あ…あのね…
この前、野々村さんと別れた後、皆でカラオケに行ったって言ったよね?
その時、兄さん、記憶がなくなる程飲んで酔っ払って…それで、反省したのか、迷惑かけたからって私にゲーム機を買ってくれることになったんだ。
でね、買い物に行ってた時、マイケルさんやアッシュさんにも何かあげようと思ったらしくて、二人が良く行くアクセサリー屋さんに行って、そこで私にもネックレスを買ってくれたんだけどね、その時、野々村さんにも買おうって思い付いたみたいだよ。
野々村さんには、私も兄さんも普段からお世話になってるもんね。」
「そ、そ、そんな…お世話だなんて…それは、むしろ、私の方なのに……
ど、どうしましょう…」
野々村さんの視線は包みに釘付けになってるのに、まだそれに手を伸ばす事はなかった。
「あ…野々村さん…
そんなに高いもんじゃないから、気にしない……で……」
その時の野々村さんの様子は、心底困ってるみたいで…
私は話ながら咄嗟に気付いた。
そうだ…
野々村さんは恐縮したり遠慮してるんじゃなくて、おじいさんのことが好きだから、兄さんからのプレゼントを迷惑がってるんだ…
そうだよね。
食べ物とかなからまだしも、アクセサリーだもん。
さすがに、野々村さんはおかしな勘違いはしないだろうけど、好きでもない男性からのアクセサリーのプレゼントって…そりゃあ、困るよね…
……でも、かといって返されたら、それはそれで兄さんが可哀相だ。
(どうしたら……あ……!)
その時、私の脳裏にうまい考えが思い浮かんだ。
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