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side 和彦
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「おはよう、カズ。
ずいぶん遅いお目覚めだね。」
俺がリビングに行くと、柱時計がまるで俺を出迎えるようなタイミングで昼の時間を告げる軽やかなメロディを奏でた。
なんで、もう昼なんだ?
それに、アッシュの奴…なんで、そんなさわやかな顔してるんだ?
俺はアッシュと時計に理不尽な怒りを感じていた。
昨夜は完全に飲み過ぎた。
苛々する気持ちを発散するために俺はカラオケで歌い続けた。
もちろん、それは俺の十八番のハードロック。
間違っても、昨日必死で練習した歌なんて歌わない。
なんで、俺、あんなに練習したんだろう…自分で自分の気持ちがわからない。
激しい曲を声をからしてさんざん歌い、いいかげん発散したはずなのに、それでも酒量は全然落ちなかった。
最後のあたりはもうほとんど何も記憶がなく、アッシュ達が連れて帰ってくれたんだろうが、皆目その記憶がない。
俺が覚えてるのは、美幸がつまらなさそうにしていたのと、眠いから帰りたいと言うのを無理に引きとめたことだけだ。
美幸はハードロックなんて少しも好きじゃないし、あいつが歌うのはアニメやゲームの曲ばかりだから、後半はあえてマイクを渡さなかった。
美幸は酒も飲まないし、つまらないのも当然だ。
……仕方ない。今日はなにかあいつの好きなものでも買ってやろうか…
珍しく俺は小さな罪悪感を感じてた。
「カズ、何食べる?
軽い物が良いよね?」
「いや…コーヒーだけで良い。
飛びきり苦いのを頼む。」
「OK!」
リビングで寛いでいると、そこへどこか不機嫌な様子の美幸が現れた。
美幸はちらりと俺を見ただけで、テーブルの向かい側に黙って腰かけた。
「美幸、昨夜はすまなかったな…」
「あぁ…」
なんだ、なんだ、それだけなのか?
我が妹ながら、愛想がないというかなんというか…
それとも、昨夜のことを怒っているのか?
「おはよう、カズ。
ずいぶん遅いお目覚めだね。」
俺がリビングに行くと、柱時計がまるで俺を出迎えるようなタイミングで昼の時間を告げる軽やかなメロディを奏でた。
なんで、もう昼なんだ?
それに、アッシュの奴…なんで、そんなさわやかな顔してるんだ?
俺はアッシュと時計に理不尽な怒りを感じていた。
昨夜は完全に飲み過ぎた。
苛々する気持ちを発散するために俺はカラオケで歌い続けた。
もちろん、それは俺の十八番のハードロック。
間違っても、昨日必死で練習した歌なんて歌わない。
なんで、俺、あんなに練習したんだろう…自分で自分の気持ちがわからない。
激しい曲を声をからしてさんざん歌い、いいかげん発散したはずなのに、それでも酒量は全然落ちなかった。
最後のあたりはもうほとんど何も記憶がなく、アッシュ達が連れて帰ってくれたんだろうが、皆目その記憶がない。
俺が覚えてるのは、美幸がつまらなさそうにしていたのと、眠いから帰りたいと言うのを無理に引きとめたことだけだ。
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……仕方ない。今日はなにかあいつの好きなものでも買ってやろうか…
珍しく俺は小さな罪悪感を感じてた。
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「いや…コーヒーだけで良い。
飛びきり苦いのを頼む。」
「OK!」
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美幸はちらりと俺を見ただけで、テーブルの向かい側に黙って腰かけた。
「美幸、昨夜はすまなかったな…」
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